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「抗加齢プログラム」 No.1 食事療法ガイドライン

アンチエエイジングライフを実現する重要なカギは「食生活」です。加齢による生理的な老化現象は避けることのできない体の変化ですが、食生活の改善や適度な運動によってある程度進行を遅らせることができます。

■食事療法の基本方針

生活習慣病の予防に寄与する食事

栄養やエネルギーバランスが悪く食事が不適正であり続けると体内環境が乱れ、癌、脳血管疾患、心臓病などの「生活習慣病」が忍び寄ってきます。これを逆に解釈すれば、食習慣を改善することで生活習慣病を防ぎ改善することができるという論理が成り立つのです。そしてどれだけ早くから「抗生活習慣病食」をスタートさせるかによってどれほど長く健康を維持し「命の回数券」を何枚使うことができるかが決まってくるのです。

成長ホルモンの効果を活かす食事

抗加齢医学による加療の効果を最大限に高めるためには、血糖値を低めに維持することが重要な課題です。肥満は内因性成長ホルモン(GH)放出の妨げとなるので、適性体重を維持するよう心がけてください。また、高アミノ酸食品はGH放出を促進するので良質のタンパクを多く摂ることも重要です。糖質やでんぷん質を多く含む食品は急激なインスリン分泌を促すため、食の中に占める割合を減らす必要があります。また、脂肪や塩分の過剰摂取には細心の注意が必要です。

免疫機能を高める食事

私たちの体の免疫機能は驚異的な働きをもっています。体内に適切な栄養分が入ると、免疫系は活発に働いて、風邪、細菌やウイルスによる感染症、そして癌でさえも私たちの気づかないうちに発見し除去してしまいます。しかし加齢や老化とともに免疫機能は低下していきます。従って加齢とともに低下しがちな免疫力を高めてくれる食品を積極的に食べることが重要となるわけです。

抗酸化作用のある食事

体を細胞レベルでオキシダントによるダメージから守るためには、抗酸化作用(抗オキシダント作用)のある食品を多く摂る必要があります。これらの物質は果物や野菜に豊富に含まれますが、食物繊維の効用を考えジュースよりもそのまま食べてください。またジュースとして飲むと、急激なインスリンの上昇を起こす恐れがあります。果物では、ブルーベリー、ラズベリー、プラム、プルーン、キウイ、オレンジ、グレープフルーツ(ピンク)、ブドウ(レーズンも含む)、イチゴ等、野菜では、あずき、ほうれん草、ナス、タマネギ、ピーマン(赤)、アルファルファの芽、ブロッコリー、芽キャベツ、とうもろこし等が抗酸化物質を多く含みます。

低インスリン・ダイエット

カシューナッツやマカデミアナッツなどのナッツ類、アジやサバなどの青魚には「オメガ-3脂肪酸」が豊富に含まれています。またマグロの刺身は赤身であってもきわめて良質な蛋白源です。これらのものを食べると血糖がゆるやかに上昇して、空腹感を感じない程度の血糖値を長時間にわたり維持することができるのです。反対にチョコレートやケーキなどは食べた直後に急激な血糖上昇をもたらし、大量のインスリン分泌をひき起こします。「昼食かわりにケーキでも」とか「ケーキのバイキング」などは抗加齢医学の観点からも絶対に捨て去るべき習慣です。とにかくインスリンを急激に上昇させないことが大切です。

喫煙について

ただ一言「タバコはやめてください」です。WHO、世界保険機関は禁煙によって減らすことのできる年間死亡者数を全世界で約四千万人、わが国でも約十万人と推定しています。これはなんと交通事故の死亡者数の約十倍に相当するので、もはや抗加齢医学どころの話ではありません。わたしは今後、禁煙をすすめても試みない患者さんは再診をお断りしようとまで思っているほどです。

アルコールについて アルコールは、蛋白質やビタミン、ミネラルなどの栄養素をまったく含んでいないばかりか代謝されてエネルギーになる過程で大量の栄養素を消費してしまいますので、お酒を飲むときには良質の食品を必ず摂る必要があります。

余談:フレンチ・ディナーだって条件次第

六本木のフレンチレストラン「ヴァン・サン」のオーナーシェフ、城悦男さんは「フランス料理は、実はとても健康的なのです」と言っています。例えば黄金色のコンソメスープには野菜と肉のエキスがたっぷり含まれているにもかかわらず、驚くほど低カロリーで低塩分。肉や魚にかかっている色々なソースの甘味は野菜の持っている天然の甘味成分から引き出された味で、精製糖などは決して使いません。年齢や体型に合わせて一皿ずつの量を調整すれば、総合のカロリー制限にもわけなく対応できるそうです。

六十歳になっても七十歳になっても「フランス料理が食べたいな」と思うようなら、それは若くて元気な証拠です。決して我慢する必要はありません。そのためにも、総合カロリー制限など、自らの食習慣を律する術を身につけることが、結局は幸せな食生活をもたらしてくれるのだという法則をここで確認しておきましょう。

米井 嘉一(よねい よしかず)

米井 嘉一(よねい よしかず)

1958年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在、日本鋼管病院内科・人間ドック脳ドック室長、(株)サウンドハウス産業医。
米井抗加齢研究所所長(http://www.yonei-labo.com/) Anti-Aging Medicine(抗加齢医学)の伝道師としてテレビ、ラジオ、雑誌等で活動中
日本抗加齢医学会HP

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