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「抗加齢プログラム」 No.3 精神療法ガイドライン

「病は気から」という格言どおり、病気に対抗するためばかりでなく、健康を維持しながら加齢や老化に対抗するためには、健全で調和のとれた精神活動、すなわち「心」の安定がきわめて重要なファクターとなります。

精神療法1:ストレスコーピング

ストレスマネージメント、ストレス管理など、みな同じことをさします。要するに受けたストレスを放置せず、いろいろな方法をとおしてそれを軽減してゆこうという試みをいいます。ストレスコーピングには、アロマテラピーに代表される手法である「よいにおいをかぐ」という簡単なものから、自己暗示や催眠の手法を応用した「自律訓練法」までさまざまな方法があります。

精神療法2:健康意識を自分で啓発する方法

「健康意識」を自分で啓発する方法で、自律訓練の手法を応用しているおすすめのプログラムを紹介しましょう。自律訓練というのは「結果を意識的に再現して、その結果を生じさせる根本的な要因をコントロールするという精神医学的な手法」です。例えば、リラックスした状態で現れる体症状は「筋肉の弛緩」、すなわち「筋肉の緊張も余分な力もとれ、ゆったりとした状態」です。生理学的には筋肉内の血管が広がり、血行が良い状態といえます。「さあ、リラックスしてください」と言われても、どうしたらよいかわからないでしょう。それが、こうした自律訓練によって自分が望む時にリラックスができるようになるのです。健康意識を自分自身の力で啓発することによって「前向きな考え方」「ストレスに対する抵抗力」「良い生活習慣」を身につけようというわけです。

精神療法3:音楽療法

私の趣味は音楽です。しかし、アンチエイジングメディシン全体の治療効果を百とすれば、癒しの音楽の効果は五にも満たないかもしれません。それでも、音楽が好きな人や、興味がある人にとっては、魅惑のアンチエイジングミュージックセラピーになる可能性があります。

精神療法4:アンチエイジング入浴法

入浴には、単に体を洗い清潔をたもつ目的以外に、疲労した筋肉の凝りをほぐし、心身をストレスから開放させるという高いリラクゼーション効果があります。

それではアンチエイジングメディシンのガイドラインに沿った入浴法をご紹介します。この入浴に関する基本的なガイドラインは、いかに長い時間、のんびりと風呂を楽しむことができるかということです。

1)お湯の温度は30~33度

夏場はもっと低温度で、29度くらいがよいでしょう。目安は、一度入ったら外になかなか出られない「ちょっと、ぬるいかな」という程度の温度です。追い炊きを開始するのは体がお湯の温度になじんだ後にしましょう。給湯システムにもよりますが、追い炊きは数秒でもいいし、1~2分かけても構いません。寒い時は、湯船の中で四肢を頻繁に動かしてください。だんだんと血行がよくなってきます。40度に近づけば、四肢や筋肉のこりが軽くなったことに気づくはずです。

2)10分間以上入浴する

仕事や義務の事を少しでも忘れられればそれで十分です。もっとてっとり早く試してみたいという方は、休みの日の朝、起きたら何も考えずに服を脱いで、昨夜の残り湯にドブンとつかってみてください。そして、湯船につかってから、慌てて、追い炊きボタンを押すのです。秋、冬のほうが、効果があります。さあ、あなたは何分、風呂にはいることができたでしょうか。

3)入浴生活の充実をはかる

長湯の妙味を知ったあなたは、さらに入浴生活の充実をはかるようににしましょう。本や新聞を読むのもよし、音楽を聴くのもよし、シーズン中ならばナイター中継に没頭するのもいいでしょう。

これらのことには、ちゃんとした医学的裏付けがあります。まず、「ちょっと寒いな」と感じる程度の寒冷刺激を皮膚が受けると、血管が広って血行がよくなります。そのために脈拍や呼吸数が増え、新陳代謝が高まることになります。これは環境変化が体に与える良質な刺激効果です。不規則な生活や過剰なストレスが続くと、体内のリズムが乱れてさまざまな病気が頭をもたげてきます。そんなとき、このような入浴法は体によい刺激を与えることになるので、不規則な生活で失われた体のリズムを安定させることができるのです。

米井 嘉一(よねい よしかず)

米井 嘉一(よねい よしかず)

1958年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在、日本鋼管病院内科・人間ドック脳ドック室長、(株)サウンドハウス産業医。
米井抗加齢研究所所長(http://www.yonei-labo.com/) Anti-Aging Medicine(抗加齢医学)の伝道師としてテレビ、ラジオ、雑誌等で活動中
日本抗加齢医学会HP

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