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「抗加齢プログラム」 No.4 サプリメント療法ガイドライン(1)

過日の講演会でも取り上げましたが、サプリメントに関心を持たれた方が多いように感じました。

抗加齢医学の概念では、サプリメント(健康食品)に関しても、患者さんへの指導と情報提供をすべきであると考えています。しかし、市場にはあまりにも多くの「まがい物」があふれており、全く効果がないにも関わらず、高価な価格で売られているサプリメントがたくさんあるのです。

最も健康的な食生活をしている人でも、各種ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸, 抗酸化剤など必要な量を1日で全て摂取することは不可能だといわれています。よって運動療法や食事療法を補助する意味でもサプリメントの摂取はアンチエイジングライフにとって有効であります。

また、最近の食物には必要な栄養素が少なくなってきているともいわれています。長年にわたる過度な農業生産、化学肥料や農薬の使用、酸性雨などの環境汚染によって土壌のビタミンやミネラルが奪われてしまった結果です。たとえ色や形が昔と同じでも、私たちが今口にするトマトやほうれん草は味や風味ばかりではなく、含まれる栄養素も三十年前のものとは大きく違っているのです。

加えて、現代人の生活は、昔に比べると多くのストレスが存在します。たしかに旧石器時代の人々にとっては、厳しい自然と対峙しながら生き延びること自体が大変だったと思われます。しかし、現代人ほどの多くのストレスは抱えてはいませんでした。車の排気ガスや工業排水、排煙、部屋に充満するタバコの煙、スモッグ、オフィスのほこり、飽和脂肪の多い食品群、食品に含まれる精製糖や添加物などとは全く無縁の生活だったからです。つまり、私たちの体は今世紀になって出会ったこうした新しい敵に順応するには、まだ進化の年数が足らず、それなりに人為的な武装が必要なのです。すなわち、食物から充分なビタミンやミネラルを摂取するのが困難なのであれば、サプリメントとして摂取せざるを得ないというわけです。こうすることによって、毎日の食事に適切な栄養素を補充することで、栄養不足は解消され、健康状態は著しく改善されることになるでしょう。

市販されているサプリメントの質や成分は実にさまざまで、中には、実際の量がラベルに表示してある量に満たないものもあれば、低品質な成分や吸収性の悪い成分、安価な栄養素を使っている悪質なものなどもあって、サプリメントの選択にはある程度の知識と慎重さが必要です。一般的に普及しているビタミンやミネラル系のサプリメントの場合は値段によって中身も違うと考えてよいでしょう。

次回は推奨されるサプリメントの紹介をしたいと思います。

米井 嘉一(よねい よしかず)

米井 嘉一(よねい よしかず)

1958年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在、日本鋼管病院内科・人間ドック脳ドック室長、(株)サウンドハウス産業医。
米井抗加齢研究所所長(http://www.yonei-labo.com/) Anti-Aging Medicine(抗加齢医学)の伝道師としてテレビ、ラジオ、雑誌等で活動中
日本抗加齢医学会HP

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