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加齢と老化のメカニズム 其の2

老化に関係する3つの要因

  1. 酸化作用―活性酸素・フリーラジカルの攻撃によって「錆びる」
  2. 内分泌の変化―ホルモン分泌の減少によって「しぼむ」
  3. 精神的弱体化-プラス志向を失って「風化する」

1.酸化作用―活性酸素・フリーラジカルの攻撃によって「錆びる」

老化は、活性酸素の酸化作用で進行してゆきます。いわゆる、体が錆びて行くという表現がぴったりな老化の代表的プロセスです。水と酸素は、ヒトが生きてゆくためには絶対不可欠な物質ですが、皮肉なことに、この絶対不可欠な物質が反応すると、からだにとっては有害な物質が体内で発生するのです。これが、活性酸素などの「フリーラジカル」です。フリーラジカルは、一つ余分に電子をもっているために、構造が不安定で、他の物質とすぐに反応しようとラジカル(過激)な動きをしてしまいます。

2.内分泌の変化―ホルモン分泌の減少によって「しぼむ」

実年齢を重ねるにしたがって、体内のホルモン分泌が減少して行きます。悪い生活習慣や食習慣をそのままにしておくと、老化に関係の深い重要なホルモンの分泌低下は意外に早くやってきます。代表的なホルモンについて簡単に押えておくことにしましょう。

  • メラトニン―脳の松果体から分泌されるホルモンです。メラトニンの分泌は、睡眠と覚醒の周期を司り、体内時計の役割があります。メラトニンレベルは子供の頃が最も高く、その後急速に低下します。
  • DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)―副腎で作られるすべてのホルモンの源として知られており、もっとも豊富に存在する天然のステロイド系ホルモンです。DHEAそのものには、免疫力を高める作用、ストレスに対して抵抗力を高める作用があります。
  • 女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)―エストロゲンは卵巣で作られ「卵胞ホルモン」と呼ばれます。女性らしさに関与して女性生殖器および乳腺、子宮粘膜の増殖、分泌を促進します。欠如すると、更年期障害と言われる状態になり、肌の健康や女性らしさ、性的欲求、性的機能が低下してしまいます。また、骨粗しょう症、女性の痴呆症にも関連があります。
  • 成長ホルモン―人体にとって最も重要なホルモンの一つであり、睡眠中、特に眠りの質が最も高い時間帯に、脳の下垂体から分泌されます。からだの成長が止まったあとの成人においても大切な役割があります。代表的なものとしては健康的でうるおいのある皮膚を作ったり、しわを減らしたり、骨を丈夫にしたり、また、エネルギーレベルや性的な能力を高める働きがよく知られています。また、免疫システムを強化したり、心臓の出力を強化するのをはじめ、視力を良くしたり、時には気分を良くし、記憶力を高めるなど、その作用は実に多岐にわたるのです。

3.精神的弱体化-プラス志向を失って「風化する」

精神活動が正常に営まれていれば、健康は維持され、たとえ病気になっても回復することができます。私たちはこうした回復力のことを「自然治癒力」や「恒常性」と呼び、昔から治療に役立てようとしてきました。精神活動の失調が大きければ、病状は更に悪化することを臨床的に知っていたからです。キャッチフレーズは「病は気から、老化も気から」です。

米井 嘉一(よねい よしかず)

米井 嘉一(よねい よしかず)

1958年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在、日本鋼管病院内科・人間ドック脳ドック室長、(株)サウンドハウス産業医。
米井抗加齢研究所所長(http://www.yonei-labo.com/) Anti-Aging Medicine(抗加齢医学)の伝道師としてテレビ、ラジオ、雑誌等で活動中
日本抗加齢医学会HP

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