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皮膚の構造と老化

見た目のよしあしが、精神面に大きな影響を及ぼすことがよく知られています。他人から見れば、ささいなことであっても、本人にとっては一大事なのです。

気分が前向きになると、高血圧・ガン・喘息などの病気の治療にもよい結果をもたらします。反対に、生活習慣病などの病気をきちんと治療すれば、肌も元気になります。抗加齢医学(アンチ・エイジング医療)によってからだを最高の健康状態にしてあげれば、美容外科による治療でせっかくきれになった肌を、最大限に長く保つことができるでしょう。そのためにも皮膚の構造と老化のしくみを理解しておくことも大切です。

■皮膚の構造

皮膚という組織は、身体の表面にあるという性質上、加齢や老化に伴う変化や病気が目立ちやすいという特徴があります。皮膚は、図のように表皮、真皮、皮下組織(脂肪組織)の3層からできています。肌の細胞サイクルは約28日で1周期、特に夜の睡眠の質が高まるころに活発に分裂します。だから睡眠は重要なのです。今のあなたのお肌は1ヶ月前のあなたを反映しています。

■皮膚の構成成分

コラーゲン(膠原線維)ゴムの束みたいなもの・エラスチン(弾性線維)バネのようなもの・ヒアルロン酸(保湿因子)ゼリー状で、肌に水をキープする。・線維芽細胞(修復因子)センイを生みだす細胞。肌のほころびをなおす。

皮膚は身体の表面をおおうことによって、体温の調節をしたり、汗をかいたり不感蒸泄によって水分の排泄をしたり、紫外線や刺激物、有毒物質による刺激からだを護る働きがあります。表皮と真皮の間にある基底膜と呼ばれる部分には、紫外線や水分をカットするバリアーの働きがあります。

■加齢や老化に伴う肌の変化

肌というのは皮膚の目にみえる部分を示す言葉で、外から様々な刺激を受けやすい部分です。肌は、おなかのさまざまな内臓機能を表わします。便秘や腸内異常発酵があると、肌のクスミや吹き出物がでてきます。肝臓の機能が低下すると、目のそばにシミや吹き出物、腎臓なら目の下のクマ、心臓ならば鼻や唇が赤黒く変化します。加齢や老化に伴う肌の変化としては、次のものが代表的です。

  • しみ、くすみなどの皮膚の色調変化
  • しわ、たるみ、乾燥、弾力の低下など皮膚の質的変化
  • ほくろ、いぼ、血管腫などの皮膚組織の増殖性疾患
  • 肥満、脂肪減少などの加齢に伴う脂肪量の変化
  • 脱毛や毛が濃くなるといった毛量の変化

■紫外線の種類と特徴

の老化の原因としては、その約8割が光老化であると言われています。光の中でも紫外線(UV:Ultraviolet)は光エネルギーが強く、皮膚へのダメージばかりでなく、遺伝子損傷・発癌との関連から注目されています。若くて健康な皮膚は、コラーゲン線維やエラスチン線維が規則正しく配列した構造にあります。紫外線などの刺激により、これらの構造は障害をうけてしまいます。若くて健康な皮膚であれば、多少のダメージくらいはきちんと治してしまう能力がありますが、このような皮膚の修復力は、加齢とともに低下してゆきます。

A波:波長が長く、パワーは弱い。透過性が高く、ガラスなども通り抜けるので室内や車の中でも日焼けを起こしてしまう。おもにサンタン(黒くなる)の原因。真皮層まで届くので、コラーゲン線維などを破壊する。しわの原因となる。

B波:中くらいの波長で、パワーが強い。いわゆる日焼け、サンバーン(赤くやけどのようになる)の原因。透過性は低いので、ガラスなどは通さないが、肌へのダメージは大きい。

C波:短い波長で、パワーがとても強い。オゾン層によって吸収され、地表にはほとんど届かない。オゾン層が破壊されると、地表にも届いてしまう。からだに対する破壊力が大きい。

■老化具合のチェック

光老化の影響がもっとも少ないのは、おしりのほっぺたの部分の皮膚です。三重県地方には「おしり」を意味する「尻こぷた」という言葉がありますが、かわいいのでこの部分を「尻こぷた」と呼ぶことにします。尻こぷたは、下着などで覆われている時間が長く、紫外線の影響がもっとも少ないので、この部分で、光老化を除いた皮膚の「真」の老化具合をチェックすることができます。

米井 嘉一(よねい よしかず)

米井 嘉一(よねい よしかず)

1958年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在、日本鋼管病院内科・人間ドック脳ドック室長、(株)サウンドハウス産業医。
米井抗加齢研究所所長(http://www.yonei-labo.com/) Anti-Aging Medicine(抗加齢医学)の伝道師としてテレビ、ラジオ、雑誌等で活動中
日本抗加齢医学会HP

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