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オールナイトで「若大将」

京成線沿線にある我が家の地下室に、このほどホームシアターをオープンしました。私が館長の廣井大輔です。当館では、館長のまったくの気まぐれで収集した約400本の洋・邦画ビデオ/DVDの中から、館長のそのときの気分で選んだ作品を好きなときに上映しています。まさに「気まぐれ映画館」です。そんな館長の気まぐれで、集めた作品の中からあれこれ書いてみたいと思い、「シネマ館便り」なるものを始めてみました。果たして続きが出るかわかりませんが、おつきあいください。

※あくまで個人として楽しんでいるホームシアターです。営業はしていません。

今年もあっという間に年末ですね。かつてはこの時期に、TVでよく「懐かしの日本映画」なんてやってましたが、年忘れに思いっきり明るい気分になるなら、やっぱり「若大将」ですね。

麻布のすき焼き屋の老舗「田能久」の長男・田沼雄一。スポーツ万能。歌がうまくて、女性に大人気。はっきりいって、館長にとっての憧れのヒーローなのです。

東宝の「若大将」シリーズは、昭和36年から56年(途中10年のブランクあり)まで、計18本が製作されたドル箱シリーズ。といっても、初公開のときからのファンではなく(当時小学生低学年であった館長にとって、東宝といえば怪獣映画)、完全に魅了されたのは、大学一年の夏、生まれて初めてのオールナイト体験となった「若大将5本立て」だったわけです。初めてのオールナイト、これが結構衝撃的な体験でした。 そこで、「若大将オールナイト」の正しい鑑賞法をご紹介しましょう

  • オープニングの東宝マークが出たとき、「いよいよ始まるぞ」の期待感を込めてみんなで拍手。
  • 映画タイトル「何々の若大将」で、「待ってました」の気持ちを込めて、力を入れて拍手。
  • 出演者の名前「加山雄三」で、またまた拍手。続いて「星由里子」「田中邦衛」でも拍手。父親役の「有島一郎」おばあちゃん役「飯田蝶子」で拍手をすると、いかにも通と思わせることが可能。
  • スクリーンに初めて若大将・田沼雄一登場で、またまた大きく拍手。当然、青大将・石山新次郎、マドンナ・澄子の登場もお忘れなく。
  • 次のポイントは、映画のクライマックス、若大将の京南大学とライバル校・西北大学とのスポーツ対抗戦(ちなみにこれ、明らかに慶早戦のパロディー)。勝つと分かっていても、手に汗を握って応援。奇跡的な逆転を決めたときに、手が痛くなるくらい拍手。
  • 主題歌、ならびに挿入歌のシーンでは、若大将と一緒に歌を口ずさみましょう。一般的に知られている歌詞、メロディーと異なる映画バージョンがあるので要チェック。
  • <上級者向け>特に「エレキの若大将」('65)は要注意。ある脇役を絶対見逃さないように。女性エレキバンドのメンバーでドラム担当の女優です。うっかり見過ごすと、周りから白い目で見られるかも。この女優の名前は「松本めぐみ」、現・加山雄三夫人です。

こんな調子で、スクリーンと場内の観客との一種異様な一体感の中、続けて5本、愛すべきワンパターンで描く「若大将ワールド」を見てごらんなさい。きっと、徹夜明けの朦朧とした頭の中で加山サウンドが繰り返す中、「これこそ、あるべき青春の姿だ」という感動(!)に酔ってしまうことでしょう。

館長は、何度もその感動を味わいたくて、何回もオールナイトに足を運び、ついに全作品を鑑賞したわけです。徹夜状態の朦朧とした頭で、心地よい加山サウンドをバックに、ワンパターンのストーリーを続けて5本も見るって、ひょっとしたら、一種の「マインドコントロール」の状態と同じかな?

何はともあれ、年忘れには「若大将」なのです。

現在、当「地下室シネマ館」に常備している「若大将」作品は、次の15作品です。


「大学の若大将」('61)、「銀座の若大将」('62)、「日本一の若大将」('62)、「ハワイの若大将」('63)、「海の若大将」('65)、「エレキの若大将」('65)、「アルプスの若大将」('66)、「レッツゴー若大将」('67)、「南太平洋の若大将」('67)、「ゴーゴー若大将」('67)、「リオの若大将」('68)、「フレッシュマン若大将」('69)、「ニュージーランドの若大将」('69)、「ブラボー若大将」('70)、「帰ってきた若大将」('81)

近くにお越しのときにはお立ち寄りください。「オールナイト」興業でご覧にいれますよ。

<ひとこと>

海外の映画製作者に日本での撮影を働きかける「フィルムコミッション(FC)」に、千葉県も加盟を検討しているという報道が今年の4月にありましたが、その後どうなったのでしょうね。成田市なんか、「ハリウッド映画を成田に」と、一番で名乗りを上げてもいいのにね。

(文・廣井大輔)

© 日本シティジャーナル編集部