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Mana Hawaiiの大地に宿る力

ハワイには「マナ」という言葉があります。「マナ」は、古代から万物に宿ると考えられていて、目に見えないパワーのようなものです。そしてそれは自分が幸せだと感じた時、また嬉しいと思った時にチャージされます。ハワイの島々は、今もなお盛んに活動している火山が発する原始的なエネルギーを帯びています。さらに、温暖な気候と豊かな自然に恵まれている為、古くから自然と人とのつながりが強く、人々は自然から多くのことを学んできました。ハワイを訪れて、美しい自然や人々の優しさに触れると、誰しも無理をしなくなり、心が癒されるのは神秘的な力、「マナ」のせいかも知れません。「マナ」を感じることのできるフラは、私にとってもはや生活の一部であり、自分自身を見つめ直すことの出来る大切なモノです。毎日忙しい生活をしていると、時には自分を見失いそうになることがあります。そんな時こそフラは、自分を取り戻し自分自身に帰ることの出来る大事な時間なのです。それは人によっては音楽であったり、スポーツや何かを作ることであったりと様々ですが、そういった何かを持てるという事はとても幸せなことだと思います。

数年前に、乳児を持つ若いママさん達にフラを教えた時の事ですが、初めてのレッスンの後に目を輝かせて言われた「一日中テレビの電源を入れたまま、何もしないで毎日過ごしていましたけど、こんなに楽しく集中して自分の時間を過ごす事が出来たのは本当に久しぶりです」という一言は、私にとってとても衝撃でした。その言葉を聞いた時に、彼女達にもこういった時間が必要なんだと痛感しました。

ほとんどの家庭が核家族化する中、朝ご主人を仕事に送り出した後は、親子二人だけの世界で周りに親しい人がいなければ一日話をすることもありません。乳児であれば他人に預けることも出来ず、相談する人もいない環境の中では、育児書のとおりにいかなければ不安や心配にもなることでしょう。育児に一生懸命なあまりに、昨今痛ましい事件を耳にする事もあります。

そんな時にフラを通じて同じように初めての乳児を持つママさん達同士知りあえたということ、またほんのひと時でも自分の時間を持つことが出来た事は本当に良かったと思います。その後も、レッスン中にオムツを替えたり、ミルクを飲ませたりしながら、時にはおんぶや抱っこをしたりして、汗びっしょりになりながらレッスンをする彼女達の姿に、私の方が尊いパワーを貰ったような気がします。ごく自然に、お互い相手を気遣い、自分の子供と同じように仲間の子供の世話をする様子はとても微笑ましく嬉しいものです。

今までフラを続けてきて振り返ってみると、これまでにとても多くの人と出会い、また沢山のことを得る事が出来たのではないかと思います。ベーシックや振りを覚えることは勿論大切ですが、美しいものを美しいと感じ、楽しいことを心から楽しいと感じることの出来る素直な気持ち、相手への配慮や調和、そういった精神的な部分がとてもフラには重要な部分だと感じています。言葉の意味を良く理解し、そして自分の心で感じたことを表現しなければ、見ている側には何も伝わらないのではないかと私は思います。それは非常に難しいことではありますが、異国ハワイの文化であるフラを常に謙虚な気持ちで、そして前向きにこれからもずっと学んでいきたいと考えています。

今回で、このコラムも最終回となりました。このコラムを読んでいただいて、ハワイやフラのことについて少しでも興味を持っていただくことが出来たら幸いに思います。一年間ご愛読ありがとうございました。

Akemi

Akemi

現在、東京のHalau(Hula の教室) 所属。
レストラン・ポセイドン、Hawaiian Night出演中。

© 日本シティジャーナル編集部