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おふくろさんはどこへ行く?

最近物議を醸した記憶にも新しい森進一さんの「おふくろさん」問題。すでにご存知の方も多いでしょうが、歌に入る前にセリフを足したことが作者の逆鱗に触れ、「二度と歌わせない!」と歌唱禁止にまで発展する騒動となりました。歌詞は変更せずに、唄ではないイントロの部分にセリフを足したことが、そんなに悪いことなのか?とも思ってしまいます。とはいえ、このセリフで歌の意味が180度変わるようでは確かに本末転倒。どちらの言い分もわかるだけに厄介です。同じ歌を何年も歌ってくると、やたら溜めたり、歌詞を変えたりすることはよくある話で、懐メロ番組などを見ていると「そんなに溜めるとおかしいよな」とか「この歌い方は歳をごまかしているのか?」とかやたら目に付く人がいますが、これも同じ曲を何十年も歌っていれば仕方がないもの。時に歌い方を変え、時に伴奏のアレンジをも変えるのは、もはや常套手段です。反面、美空ひばりさんなどはレコーディングしたときの気持ちを保ちたいとの思いが強かったようで、もはや良し悪しの問題ではないようです。

昨今の音楽業界は特定のレコード会社の曲だけが爆発的に売れて、それ以外の作品は中々取り上げられにくくなっているような印象が強く、個人的にはこんな「歌詞をどうこうした」という問題だけでなく、内容で勝負するべきだと思ってしまいます。

唄は作者のものであり演者のものであり、聞き手のものでもあります。その一つが個人の感情に任せて頑なな態度を取り続け、名作と言われた曲を一方的に封印させる権利はどこにもないでしょう。あとは当人同士の問題に報道されている以上の理由があるかもしれませんが、なんにせよファン重視で考えてもらいたいものです。

(ギタリスト 加茂尚広)

NEGGY加茂

NEGGY加茂

1971年生まれ 佐賀県唐津市出身。
1990年上京。東京を目指すも勢い余って通過してしまい千葉県成田市にて音楽活動開始。以後仕事の傍らミュージシャンとして年間40本以上という驚異的な数のLIVEをこなしている。いわゆる普通のLIVEのみならず、キャンプコンサートなどイベント出演も多数。現在は「KING JOE」というBANDで全国規模で活動中!!その爆笑&失笑ステージは見ごたえあります。「カモネギ」の愛称で親しまれております。

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