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音を聞く心

先日演奏で九州に行ってきました。地元唐津を含む3箇所4公演。その中で重度障害者施設でチャリティコンサートを行いました。こうした障害者施設で演奏をするときにいつも思うことは、音楽をどういう風に聴いているかです。

常々われわれは「これはブルースっぽいね」とか「ヘビメタみたい」といった風に音楽を分析します。これはごく自然なことで、この作業により人は音楽をうまくカテゴライズしジャンルを形成するわけです。これはある程度音楽を聴き続けて、ジャンル分けをする能力が必要となります。

重度身体障害者のみなさんの前で演奏をしていると、ここで盛り上げようというところでは無反応でも、予期せぬところでもの凄く盛り上がったりすることがあります。これは、本当に心から音を楽しんでいるから、起こる反応だと思います。普通コンサートを見に行くと、終わったら拍手をする、手拍子をする、踊る、一緒に歌うなど調和を取って盛り上がります。しかし施設で演奏すると、思わぬところで叫びのような歓声が上がります。職員さんが静かにするようにいわれるのですが、そのとき「いや、どんな形でもいいです。手拍子とかじゃなくても、叫んでも何でも大丈夫。楽しんでもらえればOK !」と言います。自分の持っている情報ではなくその場で、そのフィーリングで思いのままに「楽しむ音を聞く心」という姿勢を施設のみなさんから学びました。

また施設の演奏で感謝されたのはMC(お話)のこと。こうした施設に慰問の演奏に来てくれるミュージシャンは多いそうですが、たいていは曲を演奏したら終わりという感じとのことでした。普段からしゃべりの時間が長い我々ですが、これが施設の人にとても喜ばれ、思わぬところで需要と供給のバランスが一致しました。

慰問演奏なのでもちろん音楽を楽しんでほしいのですが、逆に僕たちも元気をもらいます。みんなの楽しい笑顔に会いたいのでまた西へ東へ2008年も演奏がんばります !

(ギタリスト 加茂尚広)

NEGGY加茂

NEGGY加茂

1971年生まれ 佐賀県唐津市出身。
1990年上京。東京を目指すも勢い余って通過してしまい千葉県成田市にて音楽活動開始。以後仕事の傍らミュージシャンとして年間40本以上という驚異的な数のLIVEをこなしている。いわゆる普通のLIVEのみならず、キャンプコンサートなどイベント出演も多数。現在は「KING JOE」というBANDで全国規模で活動中!!その爆笑&失笑ステージは見ごたえあります。「カモネギ」の愛称で親しまれております。

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