バイオリン狂想曲

5歳になる娘がかねてより「ピアノかバイオリンをやりたい」と言っていたので、音楽をやるなら早いほうがいい、と考えた末、バイオリンを習わせることにしました。耳を鍛えるなら、バイオリンの方が適していると思ったからです。子供用のバイオリンとはいえ通常数万円はするものですが、今回は運よくネットオークションで8000円足らずで落札。これなら飽きてやめても惜しくないや。しかし、親が音楽をやるから子供も興味を持ってやるだろう、なんて考えたのは大間違いでした。バイオリンはあごで楽器を支えるという姿勢をとるため、すぐに「疲れた」を連発。音もかろうじて出るものの、音楽とは程遠いものです。しかし最初から上手い人はいません。ふと気づきました。「そっか、バイオリンを練習させようとするからいけない。『練習するという習慣』を練習させればいいんだ」と。

それからは上達することは目的とせず、あくまでも、1日5分でもいいから触る習慣を身に付けるという訓練を行っています。相変わらずサボりの虫ですが、どこまで続くやら。

娘の1/4のバイオリンをまじまじと見つめると、非常に奥が深いですね。バイオリンと聞いて思い浮かべるのがストラディバリウス。バイオリンの最高傑作で入手は困難、買えても億単位で売買されてる名品です。

なんでも古いバイオリンは、中に生えているカビがその音色に影響すると言われています。カビは楽器の敵と思われがちですが、やはり「楽器は生き物」ということでしょう。また、名ベーシスト、ジェームス・ジェマーソンは「カビにもグルーブがあるから拭くな（掃除するな）」と命じたらしいですが、過度なクリーニングは音を変えてしまう可能性があります。娘のバイオリンは中古で30年くらい経っていて、ちょっとかび臭いですが、深みのある音を奏でてくれます。…娘よ。いつの日かちゃんと曲を演奏できるのか !

パパは当てにせず待ってるぞよ。親バカならぬバカ親のつぶやきでした。

（ギタリスト　加茂尚広）