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魅力ある街づくりで優良企業を大結集!
将来性と発展性に富む成田を目指そう

始めに

世界中数多くある人気都市の中で、成田は素敵な国際都市となる潜在的要素を多数秘めている数少ない日本都市の一つです。イオンショッピング・センター前の空港街道を除いてはさほど交通渋滞もなく、都市の側面を持ちながら、田舎の田園風景や緑も豊富で、運動やレジャー施設も海外並に豊富にあります。また弘法大師が行脚された街ということで歴史的にも意味深いものがあり、その象徴である成田山は正に日本宗教文化の結集と言っても過言ではないでしょう。おまけにいつでもさっと海外に飛んでいける国際空港まで在るのですから、自然と文化に満ちたとても住みやすい町なのです。

さてこの成田が日本の玄関と詠われてから久しく年月がたちました。しかし実際に成田が真の「国際都市」としての性格を兼ね備えているかは別次元の話です。率直に考えると今の成田は、国際空港の存在に依存した名前だけの国際都市に慣れきっていないでしょうか?

国際都市とは

国際都市の定義づけは様々ですが、簡単に考えるならば、世界に開かれた一般大衆にとって住みよい美しい都市、と言うことができるでしょう。

まず「世界に開かれた」ということは人種偏見のない高水準のモラルと教養レベルを掲げた社会構成を意味し、日本国民と外国人が楽しく共存できる社会を指します。成田には日頃、成田空港を通じ多くの外国の方々が訪れ、実際に成田に宿泊されます。また成田市に居住している外国籍の方も、平成13年10月末現在2,363人に達しています。これらの海外からのビジターも含めて本当に住みよい街になることが、国際都市の条件でもあります。

そして「住みよい美しい都市」とは社会基盤の整備は勿論のこと、自然環境もきちんと保護され、文化やレジャー施設も十分に整った平和で安全な街を意味します。すなわち、日本固有の文化を踏まえた上で、あらゆる人種の人間が落ち着いて生活をエンジョイし、自然と風土に親しむことのできる都市のあり方を指しています。

国際都市になりたい?

これは成田市民の中でも意見が分かれるところではないでしょうか。国際都市となることにより、以前の農村を中心とした村づくりから、都市部と農村が共存する街づくりへと様相が変わります。中には素朴な昔のままの社会がよいのでそっとしておいてほしい、という年配の方々も多いはずです。しかし、この点においてある程度のコンセンサスを街ぐるみで得ておかないと、あとになって討論の火種となりかねません。

国際化の是非を考えるときにその経済的インパクトを無視することはできません。確かに国際空港ができたおかげで市街化地域が急速に発展し、道路や各種インフラの構築が進むことになりました。市の財政も空港の開業と共に潤いましたし、雇用環境の著しい改善も実現しました。

国際化の是非は、こうした文化・経済的メリットと、異文化との相互理解と協調を目指す上での煩わしさを天秤にかけて決めていく必要がありますが、実は、選択肢はほとんど無いように思えます。国際空港が成田に存在する今日、成田は否が応でも国際都市にならざるを得ないのではないでしょうか!

国際都市=経済力

ここから先は成田が真の国際都市になりたい!と決断したことを前提に話を進めていきましょう。

国際都市となるためにはそれなりの経済力が必要です。週刊ダイヤモンド誌でも取り上げられているとおりこれからは市町村でも倒産して行政機能が麻痺することが考えられる時代です。そうした時代にあって、成田市は自ら経済力をつけていかなければならないのです。

市の経済力とは農業や工業、サービス業等の民間事業と、成田空港、官公庁等の公的事業体が源となっています。農業が栄え、民間の事業が発展し、公的事業が効率良く運営されれば、人口もそれに伴い増加するだけでなく、市そのものの財政が税収によって潤い、経済力がついてきます。そして更なる発展と成長を目指した予算編成が可能になってくるわけです。その結果、市内の社会基盤が整備されるにつれて優秀な企業を更に誘致しやすい環境となり、収益力のある先端企業が増えると雇用が増進し、国際化された企業が増える結果として外国人も含めた人口の増加につながり、自然と国際都市化が進むことになります。

成田空港の将来

さて、国際都市化に無くてはならない経済力に関し、成田市がかなり依存しているといってもいい新東京国際空港とその将来性について考えてみましょう。ここでは2つの大きな課題が挙げられます。
1.東日本の国際空港No.1として成田はその優位性を保てるか?
2.旅客数が今までのように継続し て伸びていくかということです。
優位性という点で、成田空港の課題は山積みです。まず空港そのもののマスタープランが長期的ビジョンに則ったものではなく、つぎはぎの増築計画の積み増しとなり、非常に使いづらい空港になってしまいました。香港や上海、シンガポールのチャンギー空港と比較しても大分見劣りしてしまう成田空港は、第1と第2ターミナルのデザインに一貫性が無いだけでなく、滑走路も、建物内のホールも、トイレも、バス停も、駐車場も全てがせせこましいデザインとなっているのです。そして都心から最低でも1-2時間かかってしまうという距離感が最大の致命傷として残っているわけです。

東京や神奈川に在住する庶民の殆どは羽田空港の完全国際化を願っています。さらに、欧米レベルの空港施設サービスを提供していくならば、あともう一つ東京国際空港の数を増やす事が当たり前と考えるべきです。立川の米軍基地などを民間空港として活用することは以前からよく話題に出ているとおりです。

また成田空港が長期的に活性化を図るためには、複数の航空会社のハブ(接続の中心地)としての役割を果たさなければなりません。既に国際的レベルから見てかなり高騰してしまった離着陸の料金に輪をかけるように関空の負担まで強いられそうな話が出ている昨今、航空会社のハブとして期待できる要素は消滅してしまったように思えてなりません。優位性から見た成田空港の将来はあまり芳しくないということですね。

では、旅客数は伸びていくのでしょうか。貨物用の空港としては、貨物専用ターミナルがある原木に近いと言うことで成田はとても貴重な立地条件を提供しています。しかし、旅客数の増加もさほど将来性がないと考えざるをえないようです。

9月11日の米国における同時多発テロ事件の影響により成田空港の利用者数はここ最近激減しています。勿論湾岸戦争の時のように戦争の終結とともに利用旅客数は徐々に回復してくるはずです。しかしその予測とは裏腹に、11月一杯で米デルタ航空がアトランタ便を除いて全て日本路線より撤退してしまうだけでなく、他の複数の航空会社も減便を決定しました。

これは単に旅客数の減少による航空会社の減収減益だけの問題ではありません。成田空港、そしてそこ関わる何万人にも及ぶ労働者の雇用に関わってくる重大な問題なのです。すでに今回のテロ事件を機に空港での仕事を解雇された人も大勢いると聞いております。航空会社は勿論、機内食サービス会社、清掃会社、空港内の店舗など、現在雇用が過剰気味になっている会社の数を挙げればきりがありません。その結果、失業率が急速に悪化し、成田界隈の経済が著しく劣化することにつながってしまうのです。ここ暫くは状況の改善を望むことが見込めないため、今後成田空港から経済的な恩恵を期待することは難しくなってきたと言えそうです。

勿論成田空港は大事です。でもその栄華をいつまで保てるかわからない成田空港に過大な期待を持つことはもうできないのです。

12ヶ条その1:優良企業の誘致

成田空港に(必要以上に)依存しない強い経済の基盤を創るため国内外の優良企業を誘致しやすい街造りをする

成田が真の国際都市となるためには限られた企業や空港などの公共団体に全面的に頼っていてはだめです。あくまで成田市そのものが強い経済力を保持するための社会構築を目指し、空港に対して過度に依存するリスクを早急に分散していかなければなりません。そのための一番の基本は、複数の有力企業に成田を基盤として活躍してもらうことです。それは既存の有名企業でも、今後発展が考えられる優秀なベンチャー企業でも構いません。それらの有望企業が「成田に来たい」、成田に「オフィスを構えたい」と語っていただけるような街にしなければならないのです。

私共のオフィスは国道51号線沿いの、JR/京成成田駅から歩いて12分の所に所在しています。市役所のすぐそばにあるにもかかわらず、弊社の建物はすべて井戸水を使用しており、下水設備もありません。業務に必要な光ファイバーなどいくらリクエストしても来やしません。おまけにせっかく拡張した51号線は、何と地中ケーブルではなく昔ながらの電柱を使うという、国際都市では考えられない設計となっています。事業拡張で新規にビルを建てるにも、余計な費用(浄化槽など)がかかるだけでなく、通信インフラの不備で現場の仕事にも支障をきたしています。これでは、優良企業を誘致する企画を立てても、誰が来てくれるでしょうか?

問題は行政の姿勢にもあるようです。優良企業を誘致しサポートすることで税収を上げ、地域社会に公共事業や様々な企画を通じて還元しようという意気込みが全く感じられません。私共も税金はきちんと払っているのですが、その見返りとして役所から何かを得ることができたかと考えても、何も思い浮かぶものがありません。こうして、行政に失望した企業が成田を去り、他の「誘致」を積極的に試みる居心地のよい街へと移転していくわけです。このままでは成田の発展は望めません。

成田が国際都市となるためには、優良企業がこぞって参加したくなるような街づくりが必須です。さあ、成田に優良企業を集める努力をしてみようではありませんか。どんな不況下にあっても優秀な企業は存在し、どんなに雇用環境が悪くても、人をどんどん増やして成長している企業はあります。成田の未来はまだまだ明るいのです。

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部