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政治家に求められる資質とは!
日夜、自ら汗をかくことを厭わない仕事人の登場に期待 !!

つい先日、成田市議会議員の先生と話す機会があり、市長が交代しても暫く市政自体はあまり変わることはないということを耳にしました。一瞬耳を疑ってしまうような発言でしたが、その理由はいとも簡単でした。何故なら役所がらみの仕事は複雑であり、外部から今回参入された小林市長が成田市行政全体の在り方を理解するのには最低2年はかかるためだそうです。それ故4年という限られた任期では殆ど何も期待することができず、2期目に再選されて初めて多少の結果を出すことができるというのです。この市議の見解が成田市議会議員の全ての見識を代表しているとは言えませんが、確かに小林市長が当選してからこれまでのおよそ半年間、成田の行政に何ら変化は無いようです。選挙中は小林市長を含む各立候補者が複数の公約を掲げ、行政改革をあれほど訴えてきたにもかかわらず、一旦市長の椅子に落ち着いてしまったとたんに行政の実務に追われ、何時の間に改革の情熱を失ってしまったのでしょうか?

まだまだ疑問は残ります。

せっかく新市長が就任したにも関わらず、協力関係にあるべきはずの市議会議員の殆どは市長に何も期待せず、「どうせ何もできないだろう」と冷ややかに横目で見るどころか、むしろ足を引っ張りながら何か失敗するのを待ち焦がれているのかもしれません。また市民も特に自分達の生活に困ることが無く、行政への関心も失いつつあり、小林市長から公約通りの改革の旗が上がらなくても何ら気にならないとするならば、これもまた問題です。もしそうならば、議員からも市民からも何ら期待されない立場に置かれた市長ほど、苦しい仕事はありません。

市民一人ひとりに期待感があり、市議会議員も含めて全員がひとつの心となって「もっと成田を良くしよう」、「市長、がんばって下さい!」と心から応援する気持ちを持ってこそ初めて、小林市長も最大限の力を発揮できるのではないでしょうか?

市長を応援する大切さを米国民の愛国心から学ぶ

アメリカの政治は基本的に共和党と民主党の2大政党に分かれ、上院、下院共にこの2党でいつも議席を争っています。市民も通常どちらかの政党に属しており、勢力的にほぼ均等に分かれているため、大統領は想像を絶するエネルギーを用いて巧みに世論の誘導を目論まない限り、国全体をまとめて国民の支持を得ることは至難の業です。そんなアメリカでも、同時多発テロ事件ような国家の一大事が起こると、国民は一斉に大統領を心から支持するサポーターに一変します。周囲の緊張感が高まるとき、国家が危機感に包まれる時、米国市民は強い愛国心をもっていつも「USA」と叫びつつ心を一つにしてきました。

もしかすると日本国民はいつのまにか気楽な島国での平和な生活環境に慣れすぎてしまい、自分の利得のみを考えるようになったあげく、一国民として周囲の同朋と結束することの大切さを見失ってしまったのではないかと危惧しています。危機感に乏しければ市民の心が一つになることは難しく、政治に対する無関心層も増える一方です。これでは改革の炎が燃え上がる訳がありません。この現状を打破するためにも、成田市長を始め、政治家はもっと鋭く市民に対して危機感を煽りたてなければいけないのです。実際、問題は山積みです。

現状を否定する危機感を政治家は常に訴えるべき

週間ダイアモンド誌9月27日号に「社長の偏差値」という大変興味深い記事が掲載されました。今や大企業の経営者も業績という目に見える数字の結果に応じて個人的にその実力度を比較される時代になりました。同様に、行政においても日本全国の市長の実力度をランク付けすることも可能であるため、近い将来に市長ランキングが掲載される可能性は高いと言えるでしょう。

さて上場企業で成功を収め、偏差値が高く評価されている経営者には幾つかの共通点があります。その最も大切なポイントは「現状否定」です。すなわちどんなに現状が良く、収益も十分に確保し、会社の運営が落ち着いているように見える状態であったとしても、決してそれに満足することなく、意図的に社内に危機感をかきたて、不断の改革を仕掛け続けることに日夜努めていることです。それはどんな成功体験にもうつつを抜かすことなく、常に将来を見据えた上で戦略的な仕掛けを密に考案し、新規事業を淡々と推し進めていくことを意味しています。

この「現状否定」こそ、民間企業のみならず、行政のリーダーシップにおいても重要なポイントです。これは単なる文句や執拗な批判とは違って、あくまで「もっと良くしたい」という強い向上心が根底にあるポジティブな思考です。成田市において、市長以下、市の行政を導く立場にある市議会の議員から何ら斬新な行政の改革案が出てこないのは、正にこの現状否定の認識が欠けているからに他なりません。そこでまずはリーダーである市長の「現状否定」を始めとして、その「危機感」をベースに役所内や市議会、及び市民の中にかつてない結束力と強い向上心が生まれることを期待したいものです。そして古い行政の体質を克服し、国内外の目まぐるしい環境の変化に適応できるようあらゆる面で徹底した行政改革を推し進めていくべきです。市民の将来と生活レベルの向上を考えるからこそ、今を否定して日夜改革に取り組まなければならないのです。

ワーカホリックな政治家が行政改革の先陣を行く!

民間企業において結果をきちんと残している上場企業の経営者は全て、ワーカホリックという点でも共通しています。常に現状に対する強い危機感を抱いているため、休む暇もなく分刻みのスケジュールで奮闘しているのです。これらの経営者は全て仕事に忙殺されていると言えます。そしてキーワードは「社内では自分が一番仕事をしている」と言い切れるワーカホリックとしての自負です。この頼もしさがあってこそ初めて周囲のスタッフも一生懸命がんばってついてきます。仕事に命をかけるリーダーには必然的に求心力が生まれます。

優れた経営者の素顔の中には、「夜の宴席は一切入れず、毎日ヘトヘトになるまで働く」ことを当たり前とする武田薬品の会長や、ローム社長の佐藤氏のように仕事一筋に頑張る余りマスコミにも殆ど登場しない方針を貫いたり、年間100回以上の海外出張をこなして国際通としての成果を極めるソニーの出井会長等があります。

このような仕事人間こそ今や行政も必要としており、それが成田市長、及び政治家一般にも求められているのです。政治家も民間企業で成功を収めている経営者と同様に仕事人間であるべきです。そして日常の行政業務を取り仕切り、市内をくまなく巡り歩き回っては市民の声に耳を傾け、そのレスポンスとして行政の方針についてわかりやすくかつ大胆に語り続け、議会においては時間の無駄なく新法を取り纏め、できることは何でも即実行に移し、新聞やインターネット、マスコミを介して一般庶民との意思の疎通を図りつつ行政改革を推し進める。この非常に多忙なスケジュールを寝る時間も惜しまず必死にこなし、その大変さを厭うことがない純粋な姿があれば、市民は政治に信頼を寄せるようになるものです。

市民の声を聞くだけでなく政治家は自分の情熱を語るべき

最近の国会答弁など、政治家の生の姿をテレビで見て呆れ返った人も大勢いるはずです。国会という国の最高レベルにある行政機関においてでさえ愚問と愚答に終始するナンセンスな水掛け論が繰り返され、おまけに野次や罵声が頻繁に会堂に響き渡ります。政治家の命はコミュニケーションにあり、自分の考え、理論をきちんとわかりやすく誰にでも説明できるスキルが不可欠なのですが、それができないのが今の政治家です。その点において小泉首相はコミュニケーションとパフォーマンスの大切さを良く心得ており、どんなに厳しい反発を内外から食らっても上手に振舞いながら、常に根強い支持率を維持しています。

コミュニケーションの基本は2ウェイです。政治家は当然のことながら市民の声を聞き、要望事項に耳を傾けます。しかし単に聞くだけでなく、その後、様々なアイデアを取り纏め、そこから生まれる自己の信条や行政のポリシーを明確な言葉でわかりやすく正確に、市民に対して包み隠さず説明する必要があります。

しかし現実問題として一般的に地方の政治家は「聞く耳」は持つが、上手に説明してそれを実行に移すことができないというジレンマに直面しているようです。鋭いコミュニケーションのスキルが無ければ、市民のモチベーションを高めることにつながらないのは明白です。成田市においても市長は単に市民の声に耳を傾けるだけでなく、これからはご自分のポリシーを明確に訴えていく必要があります。市民誰もが内心、面白くてわかり易く、気合の入った情熱的なメッセージを語る政治家が現れるのを待ち焦がれているのです。

政治家が自ら汗をかく時行政改革の炎が舞い上がる

現代社会は型にはまらない自分流の政治哲学をしっかりと持った実行力のある政治家を必要としています。高い志を掲げ、溢れんばかりの情熱を持ち、市民の心に火をつけて社会の改善に大きな期待を持たせ、「やる気」を起こさせるようなリーダーの登場を待っています。今や政治家も自ら汗をかくことが大切な時代となりました。市民一人ひとりがもっとアクティブに市政に参加するために、また社会全体が保有する潜在能力を最大限に引き出すためにも、政治家には社会全般のリーダーとして日夜、仕事人としての平凡な原則をひたすら守り抜き、わかり易く、期待感に満ち溢れた政治を実践することを心がけてもらいたいものです。

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部