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日本の防衛力整備が急務
尊い生命を核戦争や弾道ミサイルの恐怖から守るため

弾道ミサイル防衛システム

物騒な世の中になりました。テロリストが世界各地で暗躍する昨今の国際情勢を背景に、ここ最近ミサイル実験を繰り返していた北朝鮮が遂に核保有の宣言を行い、何時でも核実験を行うことができる準備体制を整えてしまったのです。広島と長崎の痛みを知っている日本だからこそ、世界の先頭に立って非核3原則に基づいて核武装解除を訴え、世界平和を願ってきました。しかしいかなる国際的な政治努力をもってしても、原子力発電が世界各国に普及し、なおかつ核弾頭を欲するテロリストが大勢存在する現実を直視すれば、核の流出による大災害の再発を防ぐことは殆ど不可能であることに気がつくでしょう。人間社会には狂気の沙汰がつきものであり、刃物ひとつで殺人事件がおきるのと同様に、理性を欠く狂人が大勢潜む世の中では、核弾頭は正にうってつけのフィナーレとなる可能性が高いのです。

感情論が先行してしまいがちですが、日本がもし核武装していたならば、広島と長崎の悲劇は避けられたであろうという軍事評論家の意見があります。核武装をすることにより、それが核使用の抑止力となるという考え方です。確かに隣国から核弾頭を搭載したミサイルが日本に発射されない保障はどこにもなく、その脅威に対してアメリカとの安全保障条約をベースに他国の加護のみを期待することなど、時代遅れの妄信にしか過ぎません。といって今更日本が核保有国となることは国際社会が許しませんし、殆どの日本人もそれを望んでいないでしょう。そこで全く新しい次元の防衛戦略が必要となるのです。

ミサイル攻撃に全く無防備の日本

もし今、弾道ミサイルが日本を襲ったら政府はどういう対応をするのでしょうか?現時点においては何ら有効な防衛策がないようです。実際問題として自衛隊が迎撃手段をとるためには防衛出動という手続きを踏まえなければならず、その為には安全保障会議に付議した上でまず閣議決定をしなければなりません。しかしたった10分たらずで日本列島に着弾してしまう北朝鮮の弾道ミサイル、ノドンの攻撃に対して、そのような悠長な話し合いをしている暇はありません。そこで政府は2003年、ミサイル防衛システムの導入を正式に決定し、昨年12月に「防衛計画の大網」が閣議決定され、自衛隊法改正案によって弾道ミサイルに対する防衛手段の特例として、防衛庁長官の判断や首相の事前承認のみで防衛出動を発令し、即刻ミサイルを迎撃できるようになりました。そして毎年およそ1000億円の予算を組んで、ミサイル防衛の導入準備が始まったのです。

この計画では、ミサイルの発射が探知され、それが日本に向かっていることが判明した時点で即刻日本海に展開するイージス艦が迎撃できるような体制となります。イージス艦は日本に1隻配置するだけでほぼ日本全土をカバーすることが可能であり、万一そこに搭載される海上配置型の迎撃ミサイルSM3が大気圏外での迎撃に失敗した場合でも、次に航空自衛隊の高射隊に配備されるPAC3地上配置型パトリオット・ミサイルで大気圏に再突入してくるミサイルを地上から迎撃するという構想です。この上層と下層の組み合わせで命中精度を上げることが当初のプランなのですが、現実は甘くないようです。まずこれらのミサイル防衛は2007年から順次配備されるというまだ先の話なので、それまでが心配です。また地上配備型の遊撃ミサイルは所詮数十キロの距離までしか到達できず、しかも首都圏を含む少数の地域しかミサイル配備の予定が無いため、国家全体の防衛手段としてその役割は限定されてしまいます。特に原子力潜水艦等、常時監視が不可能な移動体からミサイルが発射された場合、迎撃が成功する可能性が大変低くなります。改正法に準じて防衛策が実施されても防衛手段は限定されており、市民の生命は脅かされたままといわざるをえないのです。

アメリカが目論む最先端の防衛構想

「スターウォーズ」という映画が数年前に大流行しました。地球という枠組みを超え、宇宙を舞台とした21世紀志向の戦争映画ですが、そのスターウォーズはもう夢ではなく、アメリカでは数十年前より実現化に向けて多額の防衛予算が注ぎ込まれています。公にはレーガン政権時代の1984年から「戦略防衛構想(SDI)」として弾道ミサイル防衛の研究が急速に進められ、今日の「ミサイル防衛(MD)」になるまで研究が進められてきました。しかしこれらのデータはメディア向けの世論操作に使われているにしかすぎず、驚くことに実際は公表より遥かにハイテクな研究が行われています。

今からおよそ30年前の話ですが、家族ぐるみでとても親しくお付き合いをさせて頂いていたマサチューセッツ工科大卒の著名な博士が、軍事産業に携わるT社のシニア・エンジニアとして極秘のサテライト・プロジェクトに参加していました。当時アメリカはソビエトと冷戦下にあり、核戦争に対する危機感を誰もが持っていました。在る日その博士と夕食をご一緒したとき、当時米国政府が試みていたことを少しだけ話して頂けました。70年代、アメリカは既に実用化に入っていた衛星を軍事用途に転用し、防衛手段に用いる方法を模索していました。当時、空中を飛ぶ大陸弾道ミサイルに対してサテライトからレーザー光線を放射し、そのミサイルにレーザーを当てるまでの技術は既にあったのですが、破壊させることができないとのことでした。弾道ミサイルそのものが頑丈な素材でできているために、レーザーを一瞬当てるだけでは何ら効果はなく、それを爆破させるためには、レーザーが一旦ミサイルにあたった後、継続して同じスポットに少しもずらさずに照射し続けることが重要です。高速度で飛び交うミサイルの動きに従ってレーザーを追随させる技術開発に全力を注いでいるとのことでしたが、それ以上の細かい話は国家機密事項であるために教えて頂くことはできませんでした。

それから30余年もたった今日、サテライトから放射されるレーザー光線による追撃技術がほぼ完成形に近づいていると想像しても何ら不思議はありません。そしてこの技術が実用化されたならば、その国のみが軍事的に圧倒的優位な立場に置かれることになります。もしそれが事実であったとしてもアメリカはそれらを公表する訳がありません。何故ならこのサテライト追撃システムが実働してしまうとレーザー光線を使って自由自在にミサイルの迎撃が可能となり、核の脅威から完全にシェルターされる為、核保有国のバランスが一挙にくずれてしまうからです。そしてアメリカのみが軍事的に圧倒的有利な立場となってしまうことにより、諸国の反感を買い、それが世界大戦の引き金となりかねないからです。いずれにしても日本が現在導入を決定した2層のミサイル追撃システムは一世代前のものである為、その先を見越して次世代の防衛システムを開発するために全力を注がなければならないということです。

平和を維持するための苦悩

では平和を愛する日本国民は、如何なる手段をもって国家を防衛して市民の生命を守り、世界平和に貢献すべでしょうか?まず目先の手段としては空襲警報に市民が反応するように訓練を促し、ミサイル発射の情報がすばやく全土に響き渡り、市民が安全な建物内に身を隠せるようにするのが急務です。そして誰もが防空壕としての逃げ場に日頃から目を留めておくべきです。先日のミサイル事件のように日本の上空を北朝鮮のミサイルが飛んでいるにも関わらず、誰も知らずにいる事など決してあってはいけないことです。それが日本に着弾しないと誰が知っていたのでしょうか?

また相手が弾道ミサイルであるだけに、いつまでも受身の防御だけを考えていてはいけません。弾道ミサイルを技術的に最も打ち落としやすいのは速度が遅い発射直後までであり、発射されてから時間の経過と共に、着弾のリスクが高まってしまいます。そこで弾道ミサイルや核攻撃に対して確実に対処し市民の生命を守ろうとするならば、ミサイル基地を先制攻撃するしかない、という議論が巻き起こってきます。これは一見、専守防衛の原則に反するように聞こえますが、他に手段がないと認められる場合に限り、先制攻撃は自衛の範囲に含まれると解釈するのが一般的です。それ故、もし北朝鮮が核実験を強行するような事態となったならば、先制攻撃のオプションがにわかに現実味を帯びてくるのです。

これらの現実的な問題を踏まえた上で、防衛庁は弾道ミサイルや核爆弾の大被害から日本国民を守るために、次世代の防衛システムに取り組まなければなりません。これからの時代は宇宙を制するものが世界を制することになります。平和を願う者が、その宇宙を制するならば人類にとって大きなプラスとなりますが、万が一、自らを神とする狂人が宇宙を制覇するならば、人類にとって悪夢の時代の訪れになりかねません。世界平和のためにまだまだ日本がすることが残されています。

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部