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中国は日本の親しい友好国となりうるか? PART I
日本人にとって「あり得ない!」ことばかりの中国こそ日本のルーツだ!

人類の歴史の中で、日本は海を隔てたお隣の国、中国から計り知れない程多くの文明の利器と生活の知恵を吸収してきました。それらの大半は今や完全に日本の文化に土着し、日本と中国はもはや切っても切れない関係にあります。例えば私達が日々使っている漢字を初めとする文字のルーツは中国にあり、日本人が大好きなラーメンや中華料理は無論、中国の食文化が日本に土着したものです。他にも有田焼などの磁器や仏像建築など、これまで中国が日本に与えた影響力は計り知れません。

しかしいざ、中国という国そのものについて問われると、およそ大半の日本人はあまり良い印象を持っていません。中国に関して日夜日本のメディアが流すニュースは、反日感情を露にしたデモを始めとして、尖閣諸島周辺における海底油田の開発問題、首相の靖国神社参拝に対する猛反発、歴史の解釈にまつわる教科書問題等が目白押しです。

常識的に考えれば、中国は自国の問題を棚にあげたまま、日本を批判しているように思えます。中国の人権問題は国連でも取り上げられる程、その実態はひどいものです。また中国の軍事予算はそのGNP比を他の先進諸国と比較すると突出しており、世界のスーパーパワーとしてその軍備を誇示する中国から昔の戦争責任を今更とやかく言われる筋合いはない、と多くの日本人が思っているに違いありません。少なくとも今日の日本は、国家体制としても、「民衆の心」からしても、世界で最も平和を望んでいる民族の一つであることに間違いないのですから。

つい先日行われた「アジア7ヶ国世論調査」において、東南アジア諸国はおよそ8割の人が中国に対して「良い印象を持つ」と答えたのに対して、日本では前回調査よりも32%も多い67%が「悪い」と答えました。また中国の経済発展が日本の経済に与える影響、という質問に対しては、これほど日本と中国との貿易が活発化しているにも関わらず、「プラス」と答える人が28%しかおらず、逆に「マイナス」と答えた人が36%もいました。そしておよそ過半数の日本国民は、中国が日本にとって軍事的脅威になると見据えているため、最終的には中国の大幅イメージダウンとなっています。これ程ネガティブな意見が先行しているにも関わらず、日本人の大半は、中国との関係をアメリカと同等レベルで重要視しているのもまた事実です。もっと中国を知ってみようではありませんか。

激動の中国を知る上での3つの注意事項

6年前に初めて仕事で中国に出張してからこれまで、北京、上海、広州、青島、寧波等へ、かれこれ48回も渡航してきました。未だに中国語の日常会話さえ全く理解できませんが、この間、激動の中国を目の当たりにしてきました。

中国を語る上で少なくとも大事な前提が3つあります。まず広大な国であるため、多くの人種が関わり、地域ごとに言葉や風習、文化が異なるということです。その為、中国とはこういう国である、というような一般論は成り立ちません。例えば日本に近い太平洋側の東海岸だけを見ても、北の青島と南の広州とでは全く異なります。青島は韓国に近く、韓国企業が多数進出している拠点でもある為、その町並みと文化は一瞬、韓国と見間違えてしまう程です。それに対して香港の西に位置する広州は、ホンダを筆頭とする多くの日本企業が進出する巨大都市であり、親日派が多い東南アジアが近いこともあり、日本人にとって親しみ易い町です。上海より北では走る車の大半をフォルクスワーゲンが占め、南に行けば行く程、町中にホンダやトヨタが溢れている理由がわかるような気がします。

次に大事な点は、中国という国は刻々と変化しており、そのスピードが大変速いということです。その為、昨日見て知ったことが、明日はそうではない、ということが多いのです。5年前の広州周辺のホテルでは誰も英語が話せず、食事をオーダーするのにも困ったものでしたが、今ではどのホテルでもフロントでは英語が通じます。またつい先日まで大変スピードが遅かったインターネットのアクセスも、大半のホテルではハイスピードに変わりました。電力不足で電気もつかない、と思うと、翌月訪れればすぐに問題は解決していたりします。空港の建設も目白押しで、つい最近では振興工業地帯である上海近郊の寧波市に新空港が開設され、空港へのアクセスが見違えるほど良くなりました。寧波市の町並みは、将来の大都市を予感させるような10車線以上もある大街道に象徴されており、それまで何もなかった過疎地に、いつの間にか美しいランドスケープに囲まれる大型都市が誕生したのです。かといって1-2時間程郊外に出向くと、今度は時間が逆戻りして、全てが昔のままの状態で放置されています。つまり、人目のつかない所ではむしろ「時間が止まっている」のも中国の実態です。

もう一つの大事なポイントは、既に中国が今までの共産主義の概念から脱皮しており、今や国家の急速な経済成長を狙いつつ、資本主義の構想を随所に取り入れながらも、管理統制国家としての位置づけを確固たるものとしているということです。それ故、皮肉なことに、共産主義国家であったはずの中国は、今や世界でも最も貧富の差が激しい国の一つとなってしまいました。その急速な経済的発展は中国の社会構造に更なる歪を生じさせ、ひいては民衆の経済的格差を助長し、いつしか貧困層の国民が立ち上がって暴動を起こす危険があることは、以前から大勢の学者によって指摘されている通りです。これらの背景をしっかりと頭の中にいれておきましょう。

驚愕の中国3大ハプニングに絶句!

中国の旅には思いがけぬハプニングがつきものです。筆者も過去6年間、日本と中国を毎月のように行き来しながら、考えられないような体験を幾度もしました。香港からに行くには通常、電車やフェリーを利用して国境越えをします。1997年、イギリスが香港を中国に返還した為、厳密に言えば香港は中国領土となった訳ですが、今でも以前と同様に国境ボーダーが管理されています。香港から電車で国境越えをする場合、のボーダー手前で一旦電車を降り、そこからシャトルバスで短い距離を移動して国境にある入国管理の通過点に向かいます。数分ごとに旅客を輸送するこのバスは満席で、正に日本のラッシュアワーと一緒です。キャリー付旅行バッグを転がしながら旅をしている筆者は座る席も無いため、バッグを足元に置いて立ち、およそ3分程で中国国境に到着しました。ところがバスから降りると驚いたことに、バッグ横のポケットが開いていて、そこからパスポートと現金が入っていた財布を盗まれていたことがわかりました。バッグは自分の足元ですから、盗まれる訳がありません。ところが盲点がありました。そばの椅子に座っていた人がバッグの影から手を出して、平然とバッグのポケットを開けて盗みを働いたのでした。正にプロのスリです!中国では、ちょっとした油断さえも禁物である、ということを身にしみて感じた苦い体験でした。

しかしそんなのは序の口です。ある時、会社のスタッフと一緒に広州を旅し、そこから香港へ戻ることになりました。広州からに到着し、電車の駅に向かって大勢の人が行き来する繁華街を歩きながら横断陸橋を渡ろうとしたその矢先、信じられない光景が目に飛びこんできました。何と、腕を根こそぎ切り落とされた若い青年が、血を流してのた打ち回っていたのです。更に驚いたことに、周囲を見渡すと、誰もその青年には見向きもせず、平然と通り過ぎていくのです!後から現地の人に聞くと、このようなことは日常茶飯事であり、中国マフィアによって見せしめでやられている為、絶対に関わってはいけないとのことでした。すなわち助けの手を差し伸べるということは仲間とみなされる為、誰も見て見ぬふりをするのだそうです。

3つ目の大事件は、中国の高速道路上で起きました。つい先日、広州国際空港から車で4時間程かかる工場の視察に行った時のことです。広州市内の高速道路は実に快適なのですが、町中を走り抜けて一旦郊外に出ると、驚いたことに道路の至る所に大きなでこぼこ穴が修繕されないまま放置されているのです。その為、前方に大穴を見つける度に、それを避けてジグザグに徐行運転を余儀なくされます。

突然「ドーン」という強烈な炸裂音と共に、とてつもない衝撃を覚え、車の窓が粉々に吹き飛ばされて自分の体に降りかかってきました。何と、穴の前でやむを得ず徐行運転をした車の後ろに、高速バスが突っ込んできたのでした。車の後方部はぺちゃんこにつぶれて大破。車からやっとの思いで這い出ると、後ろのバスの運転手は暫くの間、バスから出てこようともせず、無関心を装っているようなそぶりです。バスの乗客も平然としており、何ら大きな事故に遭遇したような表情を見せません。これが中国か!唖然としつつ、大破した車を眺めながら代車が来るのを待ちました。

ところが再び魔のでこぼこ道を走り始めると、また信じられない大ハプニングです。トンネルが見えてきたな、と思ったら、そこから何とトラックが2台、逆走して出てきたのです!「あり得ない!」「またぶつかる!」と思った瞬間、トラックは高速道路を路肩にそれて、トンネル脇の工事現場へと進んでいきました。資材を運ぶ輸送トラックは、最短距離で目的地に辿り着こうとするために、高速道路を平気で逆走するのが中国では当たり前のようです。

こんな中国を日本人は好きになれるか?

信じがたい体験ばかりが先行してしまう中国ですから、そんな国は好きになれる訳がない、という読者も少なくないと思います。でも日本のルーツに中国が存在することを理解すれば、こんな中国でも大好きになれるのではないでしょうか。(続く)

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部