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アンチエイジングの旅 Part.I
抗加齢医学による人体改造論は真実か!

アンチエイジングが話題になっています。この現代語をまだ聞き慣れていない読者の方も多いかと思いますが、アンチエイジングとは抗加齢(こうかれい)の英語訳であり、老化を病気と捉えて治療する最先端の医学を指しています。アンチエイジングは言い方を変えれば、「生活の質」(QualityofLife)を改善し、より健康で、元気に、丈夫で長生きをするための医学です。ごく当たり前の老化現象を病気として捉えることに抵抗を感じる方も少なくないと思われますが、老化や加齢のメカニズムを科学的に究明し、そのスピードを最大限に抑える為には、老化という症状を病気の一種として認識し、研究することが不可欠です。

生活環境が完璧で、食生活、睡眠、運動量、その他あらゆる生活習慣に至る全てがきちんとコントロールされ、遺伝子的にも問題がなければ、人間は120歳まで健康な生活をすることができると言われています。ところが現実問題として人間は病気にかかることが多く、その上、老化も最小限の不可避なレベル以上に加速する為、多くの人が元気に生きるべき理想の年月を経ずに、人生を終えています。アンチエイジングはこのように理想像から乖離して老化現象が進むことを、治療のターゲットとしています。そうした意味でアンチエイジングは予防医学に属しており、人々の健康状態を、それぞれの年齢において、心身共に「歳相応」の最も優れたコンディションに保つとともに、活き活きと日々の人生をエンジョイするための秘訣を様々な視点から提言しています。「継続は力なり」と言いますが、アンチエイジングこそ、日々の健康管理を徹底して継続することによって呼び起こされる、本来の元気な自分の姿です。よってアンチエイジングは究極の人体改造論にもなりうる教えであり、厚生労働省が掲げる「健康日本21」に準拠した効果的な具体案としても、今後、大きな役割を果たすことになる可能性があります。

アンチエイジングの医学とは?

アンチエイジングは、平たく言うならば、「長寿の秘訣」と言い換えることができます。その基本的な教えは、ごく常識的な健康管理に関する生活の知恵と同じです。アンチエイジングの医学が提唱している主だったポイントは以下にまとめることができます。

  1. 老化度の測定等を含む健康診断をして、自分の体の現状を知りましょう
  2. 食生活を改善して、栄養とバランスのとれた食事を日々、とりましょう
  3. 適度な運動をして体を鍛え、筋肉の活性化と体の柔軟性を保ちましょう
  4. きちんと精神面の適切なケアーをしながらストレスの管理をしましょう
  5. ビタミン剤等のサプリメント(栄養補助剤)で栄養の補充をしましょう
  6. ホルモンを補充する薬物療法で、ホルモンバランスを若返らせましょう

これらの教えの大半は、ごく常識的な家庭の医学知識ではないでしょうか。当然のことながら、健康管理をする為には、定期的に体の検査をすることが重要です。これまでは、単に身体測定、血圧、心電図、血液・生化学検査やレントゲン、超音波、胸部CTを中心とした検査が健康診断の主体でした。しかしアンチエイジングの時代では、骨密度、血管年齢、高次脳機能、そして加齢に影響するホルモンレベルを測定する為の特殊血液検査も含めた老化度の診断を定期的に受けることが必須となります。つまり老化度の具合を常にモニターし、必要な対策を積極的に取ることに徹するのです。そして食生活に気をつけ、低カロリーながら栄養価値の高い食物を摂取することを心がけ、栄養のバランスをとることも、体のコンディションを最善に保つ為に不可欠です。また、日々、適切な運動を行って筋肉の活性化を図ると共に、十分なストレッチをして体を柔らかく保つことも重要です。その上で精神面のケアに留意し、過度なストレス、神経症、抑うつ状態や睡眠障害から自分の体と心を守ることを目指しています。

更にアンチエイジングの教えは、日々サプリメントと呼ばれる栄養補助食品を用いて、ビタミンやカルシウムだけでなく、最近話題の抗酸化作用が強いコエンザイムQ10や、睡眠の質を向上させるメラトニン、そしてストレスに対する為の抵抗力を持つDHEAという副腎で作られるホルモンの服用を日課としています。一部のサプリメントは国内での流通が限られていますが、アメリカではその安全性が既に確認されて認可されているため、海外経由で容易に購入することができます。サプリメントを連日、大量に飲み続けることは、薬を飲み慣れていない人にとっては大変なノルマになるかもしれません。しかしその決められたルーティーンを守ることこそ、アンチエイジングで良い結果を出す為の鍵となります。これらの教えに加えて、アンチエイジング医学の醍醐味であるホルモン治療と呼ばれる薬物療法も採りいれて、各種ホルモンのバランスを取る治療も平行して受ければ、万全でしょう。これら全ての健康管理を計画的に実行することにより、体が本当に若返るというのが、アンチエイジングの教えです。

アンチエイジングとの出会い

アンチエイジングの伝道者として日本で活躍している第一人者が、現在、同志社大学で研究を続けている米井嘉一教授です。今から6年程前、まだ日本ではアンチエイジングという名称さえ知れ渡っていなかった頃から、筆者は米井教授よりアンチエイジング医学の素晴らしさを聞かされていました。アンチエイジングは日本語の専門用語では「抗加齢」と言いますが、この言葉は日本語ではわかりにくい為、当初から米井教授は、英語の発音のまま「アンチエイジング」と言う言葉で、この教えを日本で普及させることを目論んでいました。そして当時、米井教授自身もアンチエイジングの治療を自ら率先して受けており、その絶大なる効果の生ける証人として、多くの人々に伝道していたのです。

当初、「アンチエイジングの治療を受ければ、あなたも30歳のような若さを本当に取り戻すことができる!」と教授から聞かされた時、さすがに筆者も半信半疑に思ってしまいました。当時、筆者の身長は172cm、体重は73kg。お腹の周辺にはちょっと脂肪がたるんでおり、およそ健康な体を維持する努力はしていたものの、歳相応に老化のスピードが早まってきていることを実感していました。いつしか白髪も増え始め、頭の毛も薄くなり、肩こりや腰痛、筋肉痛も悪化し、スポーツをして怪我をすれば以前に比べると明らかに回復のスピードが遅くなっていたのです。おまけに、顔の小じわも目立つようになり、額には更に深いしわが目立ち始め、とても気になり始めていました。これらの老化現象はやむを得ないものと考えていた為、30歳に若返りできると言われても、所詮無理な話と思ってしまったのです。

しかし米井教授の熱心なトークに心が動かされてしまったのでしょうか、年には勝てない、と半ばあきらめていた自分の心の中に、若返って元気がモリモリになれるというならば、やってみようではないか、と言う思いが生じてきました。せっかくのチャンスと心の中で割り切り、筆者はタイムカプセルに乗ったつもりで、アンチエイジングの治療を受けることにしました!

アンチエイジングは本物か?

アンチエイジングの治療を開始するにあたり、当初、米井先生から治療の窓口として、アメリカでアンチエイジング医療を普及させ、全米で最大のネットワークを誇る老舗C社の日本支部を紹介して頂きました。この会社の概要をインターネットで調べてみますと、その影響力と人脈は想像以上のものでした。当時、既に全米を中心として、C社でアンチエイジングの治療を受けている患者が少なくとも数万人は存在していただけでなく、その内、大勢が医者だったのです。その他、俳優や政治家、プロのスポーツ選手までもがC社の治療を受けていることを知り、「大勢の医者が自ら治療を受けるようなプログラムなら安心」と考え、アンチエイジングに前向きに取り組むことができました。

治療を開始するにあたり、まず老化度判定ドックの検査と診断を受けました。半日がかりで最先端の医療機器を使いながら特殊血液検査や骨密度等の検査をこなしていきますが、一番やっかいだったのは認知症の早期発見にも使われる高次脳機能検査でした。簡単に言えば、トランプの神経衰弱というゲームに類似した記憶レベルの検査であり、数字の桁数がどんどんと増えていく中で、次から次へとボタンを押すというものでした。このような特殊な検査を介して、これまでとは違った角度で自分の体を細部まで検査しながら、体内で進んでいる老化度の状態を検証したのです。その結果、自分の老化度はさほど悪くなく、老化度判定の一番の鍵となる骨密度においては、まだ30代の若さであることがわかりました。ところがホルモンレベルの検査結果を見ると、やはり歳相応に急降下し始めており、このまま放置すれば、老化が加速して、自分本来のベストコンディションから遠ざかってしまうことがわかりました。

そこで、これら老化度判定の検査結果を参考に、自分に合ったアンチエイジングのプログラムが組まれることになりました。まず、規定通り食生活を改善し、定期的にもっと運動することにより、体脂肪を減らして体重を標準のレベルまで落とすことが目標として掲げられました。そして毎日、最低、2リットルの水を飲み、食後にはサプリメントを補充するという生活が始まったのです。処方されたサプリメントの数も半端ではなく、1日3回、毎食後10種類程の錠剤を飲むことになりました。と同時に、落ち込んできた体内のホルモンレベルを適正値に戻すため、薬物治療も導入されたのです。およそ3ヶ月間の短いアンチエイジング治療でしたが、その結果、自分の人生がこれ程大きく変わるとは当初、夢にも思いませんでした。 …続く

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部