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田中将大 VS大谷翔平 軍配は?
ヤンキースタジアムで実現した名勝負に野球ファンが燃える!

ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は、国際的な野球選手として一躍有名になりました。アメリカ現地でも、伝説のプレーヤー、ベーブルースと同様に、ピッチャーとして活躍するだけでなく、バッターとしてもホームランを打ちまくることができる二刀流として連日メディアに取り上げられています。もうベーブルースのような二刀流の再現はない、と思われてきただけに、大谷翔平の登場に野球ファンが熱い視線を注いでいます。

大谷選手をNYで見るチャンスが到来

これまで仕事で渡米した際、2回、著名日本人プレーヤーが出場する試合を観戦する機会に恵まれました。随分と昔になりますが、最初はロサンゼルスのドジャースタジアムにて野茂英雄の雄姿を観戦。次はボストン・レッドソックスの試合にて、松阪大輔が好投する場面を観戦しています。そしてこの度、日本に戻る途中、5月27日の日曜日にニューヨークを経由することになり、その日は、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大とロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平が一騎打ちするという夢の対決がついに実現することから、メディアでも大きくとりあげられ、野球ファンは目を離すことができない待望の日となりました。

マー君の剛球対、大谷選手のドラマが実現!
マー君の剛球対、大谷選手のドラマが実現!

スタジアムは大勢の観衆で活気が溢れています
スタジアムは大勢の観衆で活気が溢れています
試合の2日前、残念なことにエンゼルスのヘッドコーチが、肩に休養を与える理由で、大谷選手をピッチャーのローテーションから外すことを決定しました。察するに田中選手と大谷選手2人が投げ合うと、どちらかに黒星がついてしまう可能性が高く、それは避けたいという何らかの力が働いたのではないかとも推測されています。いずれにしても、ピッチャーの田中選手との一騎打ちには日本中が、そして全米の野球ファンも注目するに違いありません。もういてもてたってもいられません。早速、チケットを取得して、現地時間5月27日、1時5分にヤンキースタジアムに行けるように段取りを組んでみました。

まず、チケットの購入ですが、今やエンターテインメント系のチケットは野球のゲームも含め、すべてインターネットで購入するのがアメリカでは当たり前になっています。そこでネット通販大手のStubHub社から購入することを決めました。元のチケットではなくすべて再販するチケットですから、かなりの金額がプレミアムとしてのせられています。購入方法は簡単であり、画面上に色付けされているスタジアムの図面から、まず気に入ったセクションを選び、その中から自分が座りたい列を選びます。チケットの価格は列ごとに変わり、かなり細かく指定されていることから注意が必要です。チケットの価格は、安いものでも100ドル台からはじまり、中堅どころが2-300ドル、そして上を見ればきりがない、ということがわかりました。せっかくわざわざ初めてヤンキースタジアムを訪れるのですから、遠い外野の席では応援の声も届かないと思い、ちょっと奮発して中堅どころと思われた1枚$250ドルするFieldMVPの席を選びました。ちょっと高いな、とは思いましたが、めったに見ることのできない田中選手と大谷選手のバトルであり、これを見逃すわけにはいきません。ここは目をつぶってGET!

時差が伴うNYへの厳しい飛行機旅

それでもニューヨークへの旅は簡単ではありません。日本からは成田、羽田からも直行便が出ていますが、それに乗ると正に昼と夜がひっくり返り、ニューヨーク到着後は、強烈な時差ボケにやられてしまいます。今回はまず、ロサンゼルスにて1日仕事を終えてからのニューヨーク行きとなりましたが、それでもきついスケジュールです。何故なら東海岸のニューヨークと西海岸のロサンゼルスでは3時間の時差があり、大陸を横断すると飛行機でも5時間半もかかることから早朝に飛んで夕方に着くか、夜中に飛んで朝着くしかないのです。試合は日曜の午後1時からですから、その試合をみるためには可能性はただ一つ。土曜の夜の便にてニューヨークまで飛ぶことに決定です。こうして飛行機の中で一夜を過ごすことになりました。今回選んだ航空会社は、つい最近、ヴァージン・アメリカを吸収したアラスカ航空です。出発は夜の11時15分。その直前まで会社関係の人たちと会合をし、夜、空港に到着しました。ここから旅のスキルが問われます。目的はいかにして飛行機の中で睡眠をとり、時差ボケを調整するかです。そこで夕食はロサンゼルス空港近くの日本食レストランにて、軽めのお寿司とラーメンを2-3口、そして生ビールを2杯、いただきました。あまりお酒を飲んでも睡眠に支障をきたすため、よくありません。かといって、あまり素面ではなかなか寝付くこともできないことから、適度な飲酒が自分にはベストです。そして空港でチェックインを済ませ、あっという間に搭乗開始の時刻です。夜間の飛行機に搭乗する前には、最後の大仕事があります。まず、空港のトイレに入り、寝やすいように楽なパジャマに着替えます。もちろん、見た目はパジャマとはわからないような、ありきたりの服に見えるものですが、じつはパジャマなのです。そして耳栓とアイマスク(目隠し)があることを確認し、ポケットにしまっていざ出陣です。飛行機の中に座ったあとは、ワインを一杯飲み、後は何とかうまく寝ることができれば幸せ!と願いつつ、アイマスクをかけ、耳栓をして外部の音を絶ちます。飛行機の中に大きい犬がいるなんて!
飛行機の中に大きい犬がいるなんて!
渡米してから2日目、時差ボケの真っただ中ですが、疲労も蓄積していたことから、「ぐた。。」と寝てしまいました。そしてふと気が付くと、何と、横の席には大きなワンちゃんがいるではないですか。そうなんです。ここ最近、アメリカの飛行機にはマイペットの犬を一緒に搭乗させてOKとなり、時折いるんです。大きい犬も。日本ではありえませんよね。飛行機の床に犬が寝っ転がっているなんて!そしてすぐに、後30分でジョン・F・ケネディー空港に到着します、というアナウンスが流れました。

祝賀ムード一杯のヤンキースファン!

空港について心配したことは、雨が強く降っていたことです。天気予報では、午前中は雨。そして午後からは小雨でした。雨の中で野球は見たくない、というのが本音です。野球が始まる時間までには、何とか天気にならないかと願いつつ、JFK空港からヤンキースタジアムまで、タクシーで向かいました。日曜ということで渋滞もなく、65ドルという料金ですぐにスタジアム横の売店街に到着です。まず最初にしなければならないことは、旅行の荷物を預ける場所を探すことです。

そこでネットで調べたスタジアムそばのStan's Sports Barに立ち寄ると、そこでは既に何人もの野球ファンが朝からビールを飲みながら、会話を楽しんでいました。アメリカのベースボールファンは、朝からビールで祝賀会!そんなイメージです。

試合前、ニューヨーカーはビールで乾杯!
試合前、ニューヨーカーはビールで乾杯!

ヤンキースタジアム横で食べたハンバーガー
ヤンキースタジアム横で食べたハンバーガー
そして、そのバーのすぐ真横のお店が荷物をあずかるショップということで、安心できました。まだ試合まで2時間以上あったので、このスポーツバーで朝食です。といってもハンバーガーとホットドックしかなく、周りのお客さんと同様に、ハンバーガーを食べながら、ビールをいただくことにしました。試合の前にビールですか?と思われる方が多いと思いますが、百聞は一見にしかず。是非、このStan's Barを訪れてみてください。試合2時間前の11時すぎ、カウンター周りはほぼ人で埋め尽くされ、夜に大繁盛しているバーと全く同じ状況になります。そして流れているBGMは70年代のクラシック・ロック!みなさんがビールを飲みながら、大声で語り合い、そしてヤンキースの勝利を確信する!これがまさにニューヨーカーの生き方なのかもしれません。

実はこの原稿もここまでは、このバーで書き始めています。朝、BLUEMOONのビールとチーズバーガー、フライを食べながら、大勢の生き生きしたお客さんに囲まれて記事を書いていると、不思議と元気付けられます。田中投手、がんばれ!!と言いたくもあり、大谷翔平、ホームラン打て!とも叫びたい。。。このジレンマが、正にベースボールファンの醍醐味なのかもしれません。11時40分になりました。あと1時間半で試合開始です。わくわく感がつのります。そして表を見ると、やった、雨がやんでいるではないですか。荷物をお店にあずけて、いざ、ゲームの観戦へ!!

田中選手vs大谷選手のバトル

奇麗で美しいヤンキースタジアム正門
奇麗で美しいヤンキースタジアム正門

やった!雨がやんだのでシーツを撤去
やった!雨がやんだのでシーツを撤去
スタジアム中央の大画面にて選手紹介が終わると、全員が起立して国歌が流れ、America the Beautifulと呼ばれる第2の国歌のメロディーもスタジアムに響き渡りました。その直後、午後1時5分ちょうどにアメリカ風ながら、さりげなく試合がスタートとしました。というのもアメリカでは大きな合図もなく、定刻になるとプレーボール開始となるため、注意して見てないと、いつの間にか試合が始まっているのです。今日の試合も、静かに始まりました。

マー君を見ながら出番前に素振りする大谷選手
マー君を見ながら出番前に素振りする大谷選手
マー君こと田中選手は、初回からまあまあの出来だったのではないでしょうか。速球が冴えていましたし、スライダー、スプリットのコントロールもしっかりしていました。対して4番DHで出場した大谷翔平選手ですが、出場前にはブルペン横で、マー君を見ながら彼の投球に合わせて念入りに素振りをする姿が印象的でした。まず驚いたのは、大谷選手が登場するなり、しょっぱなからスタジアム内に大きなブーイングが巻き起こったことです。まだ試合が始まったばかりというのに、何もしてない大谷選手へのブーイング。これはヤンキースが大谷選手を獲得するために動いていたにも関わらず、大谷選手がそのオファーを退けてエンゼルスに入団したからに他ならないから、と言われています。また、大谷選手がベーブルースを抜くか、というニュースも、ヤンキースのファンにとっては気がかりです。ベーブルースはヤンキースの誇りであり、永遠の伝説人であるベーブルースを追い抜くことなどありえない、という思いも込められているのでしょう。大谷選手に対しては、打席に入るたびに「ブー!」という洗礼が浴びせられることになります。

剛腕マー君の雄姿を見届けました!
剛腕マー君の雄姿を見届けました!
その大谷選手と田中選手が対決するという名場面での初打席、大谷選手はフルカウントからの空振り三振に終わりました。「普段と変わらずに1打席、1打席、自分ができる仕事ができればいい」と語った大谷選手の2回目の打席は、きちんと四球を選び、出塁。そして3回目の打席は再び三振に倒れたのです。その後、6回で田中選手はマウンドを降り、ヤンキース守護神のチャップマン投手に代わります。そして9回、先頭打者として登場した大谷選手はフルカウントからの直球を見極め、四球で出塁しました。こうして4打数の内、2度出塁するも、2三振という結果に終わり、打率も.291まで下がってしまいました。

最終的には田中選手が大谷選手を相手に、3回の打席で2奪三振、1四球に抑え、ほぼ圧勝という形に終わりました。振り返ってみれば、3回の対戦で、そもそも激戦というような流れは感じられず、正直、拍子抜けのような気にもなりました。何故かというと、3回の打席で2人が戦った球数はたった15球しかないのです。そのうち、大谷選手がバットを振ったのは、何と、5回しかないのです!しかもそのうちの4つが空振りです!そして大谷選手のバットにボールが当たった唯一のスウィングは、ファウルチップという小さい当たりでした。つまり、大谷選手の快音が全く聞けなかったのです。できることならファウルでもいいから、大飛球を見たかった、というのが正直な思いです。ましてや内野ゴロさえ見れなかったのですから、観客としては不完全燃焼の思いが残ります。誰もが期待していた田中選手の奪三振ショー、そして大谷選手の大ホームラン。。。後者は夢に終わってしまいました。

この大谷選手の構えにも、心がしびれますね!
この大谷選手の構えにも、心がしびれますね!
試合全体を見ても、田中選手は6回を3安打1失点 (本塁打)、8三振を奪うという好投でチームの勝利に貢献し、6勝目 (2敗)を挙げました。メジャーの投手陣の中でも群を抜く勝利率を誇る田中選手の評価はうなぎ昇りであり、試合後、大谷選手は負けを素直に認め、田中選手の実力を称えています。

無論、大谷選手の評価も極めて高く、今後も大活躍が期待されます。田中選手と大谷選手はこれからも切磋琢磨し合い、お互いがメジャーリーグで更なる飛躍を遂げるに違いありません。2人の今後の活躍に、心からのエールを送りたいと思います!

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部