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胃癌の手術から始まるランナーの世界!
人生とマラソンには、男のロマンとドラマがある

今から、約5年前のこと、たまたま受けた、町医者での胃の内視鏡検査。知らされた、胃癌の可能性。

そして、東京築地の国立がん研究センター・中央病院で精密検査を受け、初期ではあるが、胃癌の宣告。胃の上部1/4を切除することになる。

ショックだった。なぜ、私が・・・・・・まだ、人生やり残したことが山ほどある。愛する家族もいる。

胃を切ったが、人生、死ぬまでの間、やりたいことの中に、人生一度でもいいからフルマラソンを走りたかったこと。退院時、先生に打ち明ける。「先生、私、前から一生のうち一度でも、フルマラソンを走りたかったのですが、今の体からできますか?」

先生から「ぜんぜん、大丈夫です!」の一言。

しかし、そこからの復帰は、想像以上に大変なものだった。

胃を切っているので、数カ月もの間、自分の基礎代謝分のカロリーも採れない中、日常生活が始まる。毎日、フラフラの状態だった。

その辛さから、自分が言ったフルマラソンを走れるとは、到底、考えることもできない状態だった。胃癌だと言われて、悪いところを切除したが、心に負った傷は、まだ癒やされていなかった。

その傷を癒やす意味で、

どのような人が強い人なのか?どのような人が強い人となりうるのか、どのような人が人生を乗り越えられるのか、まじまじと、考える機会になった。

ありのままの自分の現状を受け入れ、そして、自己の弱さも認め、自分の今の立ち位置から、弱さを克服しながら、立ち上がろうとする人・・・・・胃癌手術から、辛いリハビリをしていく中で、見つけた一筋の光。

それは、ほかの人との比較ではなく、そこに存在するのは、自己と真っ向から向き合う、ひたむきな、努力と、精神力。男のロマンとドラマは、そこから生まれる。

フルマラソン、そこには通常の人が走りきれないような未知の世界がある。そこに、あえて挑もうとするには、それなりの覚悟がいる。

しかし、予想のつかない人生を生き抜くのが大変なのと同様、チャレンジしがいのある男のロマン。

胃癌からの復帰のためにも、選んだ自分のチャレンジ、それから、1年程経って、それは、実を結んだのである。

埼玉戸田で行われる彩湖ベジタブルマラソンにエントリー、そして、初のフルマラソン、完走。

それに加え、ちょっと、目指そうとしていた、サブ4(4時間切り)も、そこで達成。男が泣けた。

自分が走れないような、距離を走れて、そして、4時間切りも。

体は、まだリハビリの只中ではあったが、心は、癒やされたと感じた一瞬だった。そこには、私が予想もしていなかったロマンがあった。

そして、定年を迎え、第二の人生として、サウンドハウスの電気主任技術者の募集を見て、応募。8月に入社。そして、人事から成田POPランのことを聞き、ハーフマラソンにエントリー。

そして、また鍛錬。暑い中、1ヶ月で最高の270kmも走った。

その自己との闘いが、一つまた実を結んだ。昨日(11/10)の成田POPラン、アップダウンのあるコースでも、自己ベストを3分更新の、1時間34分でゴール。それも、60歳以上の部門で、思いがけない1位の結果。

ここでも、申し訳ないが、男が泣けた一瞬だった。

人との勝負でなく、自分に打ち勝ったことに、思わず、雄叫びをあげる。

引き続き、フルマラソンに対しては、私の自己ベスト、3時間30分をクリアすべく、鍛錬していきたいと思います。

(文・萬谷仁)

© 日本シティジャーナル編集部