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あなたはワクチンの接種を受けますか?
集団免疫を実現するためのワクチン接種に潜む多くの課題

新型コロナウィルス感染症を防ぐためのワクチン実用化に向けて、様々なニュースが連日報道されています。2020年12月2日、ワクチン開発の先頭を走るファイザー社の申請が早くもイギリスで承認され、12月7日より接種が開始されました。それに追随して、アメリカでもFDA(米国食品医薬品局)が同ワクチンの緊急使用を許可し、その2日後には早速ワクチンの出荷が始まりました。当初、医療従事者や介護施設の入居者などを対象に接種が始まる見通しです。

ワクチンの開発には最低でも3~5年はかかるというこれまでの常識を覆し、1年少々で治験が終了した背景には、アメリカを含む諸外国が緊急措置をとったことがあげられます。慎重を期した治験を大前提とし、経過観察や副作用の確認、予防効果、有効性の解析などを長期間にわたって観察することにより、安全性を十分に確認してからワクチンをリリースするというこれまでのやり方では実用化が間に合わないということから、治験期間も2~3か月に限定するというような様々な対策が急遽、諸外国で決められたのです。

新型コロナウィルスのワクチンについては、当初からその安全性が様々な角度から取り沙汰されています。果たして治験期間を大幅に短縮しても、ワクチン接種は安全であるという太鼓判を押すことができるのでしょうか。

ワクチン接種の普及を目指す日本政府

ワクチン開発をめぐるニュースが日々、世界中に流れている最中、日本では11月18日、新型コロナウィルスの新規感染者が初めて2000人を超えて過去最多を更新し、それ以降も感染者数がうなぎのぼりになっています。連日、メディアは都道府県別の感染者数の報道に追われ、新型コロナ感染関係のトピックがニュースで語られない日はないほど、社会全体が正に重大な局面を迎えています。テレビ出演でもおなじみの医療の専門家、尾身氏も、「このままいくと国民だけではコントロールするのが難しく、さらに強い対応をしないといけない事態になる可能性がある」と語っています。よって12月13日、GoToトラベルが全国的に一時中止、という突然の発表が政府からあったことも、想定内の結論であったと言えるでしょう。

感染者の急増という現実の問題が社会全体を揺るがす最中、感染の拡大を食い止めるためには、今や海外におけるワクチン接種の成り行きを見届け、安全性を確認することが重要課題となっています。米ファイザー社や英アストラゼネカ社が開発をすすめるワクチンの有効性は70~95%と極めて高いことから、まずイギリスが先行して接種を開始しました。直後、アメリカでもFDA(米食品医薬品局)が緊急使用許可をファイザー社に与えることにより、2020年12月13日からワクチンの出荷がスタートしたのです。

それらの結果を踏まえたうえで、国内においても早急に接種が開始できるよう、厚生労働省は手続きの簡略化を進めながら、様々な特例措置が検討されています。日本政府が掲げている目先の目標は、2021年前半までに日本国民全員分のワクチンを確保することです。そのため、海外の薬品大手3社から既に、合わせて1億4500万人分の供給を受けることで基本合意されていると伝えられています。

しかしながら日本での治験はスタートがずれ込み、英アストラゼネカ社は8月から、米ファイザー社は10月より、遅ればせながら国内での治験に取り組んでいます。国内におけるワクチン接種の安全性を確認するための治験プロセスにおいては、当初から様々な問題が指摘されています。特にその規模感については未だに課題が残されています。米ファイザー社を例にとると、海外では世界中合わせて4万人以上の人々に対して治験を行っているのに対し、日本人の被験者は当初、たった160人しかいなかったのです。それほど日本では被験者が集まりにくいのが現状です。

それでも2020年5月には新型コロナの治療薬としてレムデシビルを、特例措置を用いて短期間で承認した実績もあることから、国内におけるワクチン接種の体制づくりを速やかに実現することに、日本政府は余念がありません。

感染症の事例とワクチン開発の過去

人類の歴史を振り返ると、これまで様々な感染症が多大なる被害を及ぼし、多くの方が尊い命を落とすこととなりました。そして撲滅されることなく、今もって続いている感染症も少なくありません。被害が甚大であった感染症の事例には以下があげられます。

  • 結核:例年20億人が感染、400万人が死亡
  • マラリア:例年3~5億人が感染、100~200万人が死亡
  • スペインかぜ(1918年):4000万人が死亡(世界人口の2%以上)
  • 新型インフルエンザ(A/H1N1):1万8000人以上が死亡
  • AIDS:過去6500万人が感染、2500万人が死亡

この度のコロナ禍における世界的な被害は、歴史にその名を連ねてきた重大な感染症ほど、まだ被害は広がってはいません。しかしながら今後、それらに匹敵するほどの甚大な被害をもたらす結果となる可能性があることは否めません。よって、新型コロナウィルスの感染拡大をできるだけ早く食い止めるため、多くの専門家らはワクチンの開発と接種を熱望し、その早期リリースを待ち望んでいるのです。しかしながら、その安全性を確認するための治験には相応の時間がかかり、それが専門家の間で議論の焦点となっています。


ポリオワクチンの投与
そもそも、安全性の確認を含むワクチンの開発には、長い年月を要すると考えられていました。例えば、戦後毎年1000人以上の患者が発生し、死亡率も30%と大変高かった小児麻痺を防ぐためのポリオワクチンが1955年にアメリカで認可されるまでには20年を要しました。ところが1960年、アメリカでポリオが流行したことから日本へのワクチンの供給が難しくなったのです。そして日本国内でも1961年の大流行を期に大量のワクチンが必要とされ、1300万人分の生ワクチンが急遽ソ連から輸入されることになりました。安全性の確認ができないまま、苦渋の選択を迫られた結果です。その緊急対応が功を奏し、幸いに事故例も殆どなく、患者発生率が急減することとなりました。はしかにおいては、ウィルスが分離されてから麻疹のワクチン認可が下りるまで9年の歳月を要しています。このような歴史的背景を踏まえると、この度のコロナウィルスに関わるワクチン開発が1年少々で達成できるというのは、驚異的な速さです。

WHO(世界保健機構)が発表した情報によると、世界中で新型コロナウィルスのワクチン開発が急速に推し進められている最中、既に30種以上ものワクチンがリリースされる途上にあり、世界各地で臨床試験が続けられています。その安全性さえ確認できれば、日本国内でもワクチンの接種が開始されることになります。つまるところ、その安全性を確認するプロセスをいかに短縮することができるかが、重要なポイントになっています。それにしても、通常4~5年はかかると言われているワクチン開発が、たとえ医療技術と研究開発の仕組みが進化したとはいえ、治験のプロセスも含めて短期間で終了することが本当に可能なのでしょうか。

昨今のAI(人工知能)のめざましい発展と共に、機械学習やテクノロジーが進化したことにより、新薬においても開発のスピードは速まってくると考えられます。しかしながら健常者を用いた臨床試験における副作用の検証や、実際の患者に投与して効果を見極めるプロセスなどは時間を要することから、半年や1年という短期間で安全性を確認し、ワクチンをリリースすることは極めて難しいと言われています。新型コロナウィルスのワクチン開発は、世界の国々を巻き込む世紀の一大プロジェクトであるだけに、慎重を期して治験を繰り返しながら、安全性に妥協することなく、適時にワクチンがリリースされることを願ってやみません。

そもそもワクチンとは何か?

ウィルスの感染症を防ぐワクチン接種とは、あらかじめ病原体の一部を体に入れることにより、免疫を担う細胞がそれを記憶して、病原体そのものの侵入から体を守るように設計された薬物投与を意味します。ウィルスに対する免疫を保持するためには、実際に病気にかかって抗体を自然に持つか、ワクチンを接種して人為的に免疫力を持つかのいずれかになります。

これまで一般的に採用されてきたワクチンの仕組みとは、該当するウィルスをまず、不活性化させ、そのたんぱく質の断片を体内に注入して免疫をつくりあげていくという構想です。例えばVLPワクチンは、見た目がウィルスにそっくりであっても、実はウィルスの殻だけであり、それに対して免疫反応が自然に起こるという仕組みを元に研究が続けられています。中身のないウィルスの殻であることから、病気の発症はないと目論む訳です。さらには殻に存在するウィルスの一部だけを取り出して、免疫補助剤を活用してタンパク質を組み変えたワクチンの研究も進んでいます。さらにはウィルスそのものの毒性を弱めた生ワクチンが使われる事例もあります。

この度、新型コロナウィルスのワクチンが各国で開発されるにあたり、上記に加え、技術の進化と共に様々な新しい手法が取り入れられています。アストラゼネカ社が開発を手掛けたワクチンは、「遺伝子の運び屋」とも呼ばれるウィルスベクターを用いて、発病の可能性がないとされるウィルスに新型コロナウィルスの遺伝子の一部を付与し、体に投与する方法を取り入れています。ウィルスベクターを活用することにより、短期間でワクチンの開発が可能になりますが、その元となる別のウィルスが100%病気を起こさないか、そして新型コロナウィルスとの相乗により、何かしら想定外の副作用を起こす危険を秘めていないかなどの検証課題が残されています。

また、ウィルスの遺伝情報を直接、体内に入れるという「遺伝子ワクチン」の開発も進められています。米モデルナ社が開発を手掛けるワクチンはメッセンジャーRNAワクチンとも呼ばれ、既に遺伝情報を持つリボ核酸(RNA)をそのまま直接体内に入れることにより、免疫反応をおこすウィルスのたんぱく質を体内にて作りあげるという新しい試みです。同様に、ウィルスそのものを使わず、遺伝情報を有するウィルスのDNA設計図の一部を人工的に合成して活用する手法もあり、いずれも生産速度が確実に早くなると考えられています。

様々なワクチンの製造方法が試みられている昨今、臨床試験の結果を踏まえて適切な結論を出すためには、相応の治験期間が必要となることに違いはありません。そもそもワクチンとは、従来、体内に存在しなかったウィルスに結びつく異物を人為的に注入することを意味することから、緊急対応という大義名分があったとしても、十分な検証が不可欠です。慌ただしい開発の最中、ワクチンの安全性に関わるプロセスまで省略されてリリースされることのないよう願ってやみません。

ワクチン接種を拒む日本社会?

WHO(世界保健機構)の専門家によると、集団免疫を効果的に実現するためには、国民のワクチン接種率が65~70%以上になることが必要とされています。米政権は2020年12月に始まるワクチン接種により、半年前後で新型コロナの集団免疫を獲得できると期待しています。しかしながら様々な世論調査の結果を見る限り、ワクチン接種を拒む人たちはアメリカにも多く存在し、新型コロナのワクチン接種が普及するには、もっと時間がかかるのではないかと言われています。

10月に仏イプソス社によって行なわれた調査では、ワクチンが利用可能になったら接種する、と答えた米国人は64%にとどまり、4割近くの回答者は接種しないと答えたのです。その理由として、臨床試験の進行が早すぎる、そして副作用が心配、という2つが挙げられていました。その後、11月に米国で行われたギャラップ調査では、例えワクチン接種が無料であったとしても接種を希望する人が58%にしか達せず、やはり40%以上の回答者が接種は受けないと答えたのです。つまり、米国人のおよそ4割は、ワクチン接種に対して拒絶反応をしているのです。

その数字以上に、日本ではワクチン接種に対する強い抵抗感があります。たとえ2021年の春頃に新型コロナのワクチンが国から認可されたとしても、果たして誰がそのワクチン接種を受けるのでしょうか。2020年12月9日、日本トレンドリサーチによる1000人を対象としたアンケートの結果発表では、すぐに新型コロナのワクチン接種を希望すると答えた人は、全体の1割にとどまりました。また、「いずれ接種したい」と答えた方は6割ほどいましたが、その中から実際に接種を受ける方の割合も極めて低いと推測されます。

それでも政府は2021年までに全国民がワクチンの接種を受けられるだけの数量を、海外製薬会社の大手、米国ファイザー社と英国アストラゼネカ社などから確保し、より多くの国民がワクチン接種を受けることができるようにと、広報を通じてアピールし続けています。日本ではワクチン接種は強要できないことから、2020年10月2日付の厚生労働省による発表においても、コロナワクチンの接種は原則、「努力義務とする」という方針が固められたにすぎません。つまり、受けたい人が受けるだけ、という曖昧な対応にならざるを得ないのが実情です。それ故、少しでも多くの国民が接種を希望できるように、「臨時接種の特例」に基づき、2020年度の予備費を充当したうえで、国民だけでなく、自治体に対しても財政負担を求めないとしたのです。

しかしながら、なぜ、それほどまでにワクチンに対して懸念をもつ日本国民が多いのでしょうか。現実問題として、WHO(世界保健機関)などが名指しで日本の状態に警告をだすほど、日本は予防接種後進国と名付けられるまで、ワクチン嫌いの国家として名を馳せています。その背景には、予防接種は安全ではないかもしれない、という不安を払拭できない過去の歴史が積み重なっていると考えられます。


ジフテリアの治療に使われている血清
これまでの歴史を振り返ると、世界中に広まった様々な疫病に対して用いられたワクチンの中には、想定外の被害が生じたケースが少なくありません。その最たる事例がジフテリアです。戦前まで世界中で流行していたジフテリアは恐ろしい病気であり、一旦感染すると、致死率も1割と高く、また、生存しても脳や筋肉に麻痺が生じて後遺症となる可能性が高いことが懸念されていました。そこで戦後、日本を一時的に統治したGHQ(連合国軍総司令部)は日本政府に対して予防接種の実施を指示し、1948年には予防接種法が施行されて、国民の接種が義務付けられたのです。しかしながら、それが悲劇のはじまりでした。当初、乳幼児全員に2度の予防接種が行われることになりましたが、その結果、3か月という短期間の間に京都府と島根県だけでも84名の乳幼児が死亡するという最悪の事態に陥ったのです。また、後遺症のために生涯つらい思いを強いられる人が後を絶ちませんでした。その後も様々なワクチンの後遺症による健康被害にニュースが続き、最近では韓国において2020年10月、インフルエンザのワクチン接種により、30人以上の方が接種直後に死亡した事例が報告されています。高齢者だけでなく、中には17歳の高校生も存在し、その原因は未だに解明できていません。

これらのワクチン被害を背景に、日本では強制をすることなく、ワクチンの接種はあくまで任意で行うというのが原則となったのです。つまり日本では予防接種は受けなくても問題視されることはあまりなく、それぞれが安全性や副作用、病気にかかる確率などの情報を得ながら、社会情勢や自分の体調、面倒さ、コストなどを踏まえて最終判断をするわけです。その結果、日本の接種率はなかなか向上しないまま今日に至っているのが実情です。法律によって強制することなく、本人の判断で予防接種を受けるかどうかを決めるわけですから、わざわざ接種などしなくてもよいのでは、と多くの国民が考えても不思議ではありません。

従来からインフルエンザのワクチンなどは、接種率が例年5割前後ともいわれているほど、日本国内での接種率は低いままです。また、つい最近話題になった国内における、はしかの流行においても、いかに、はしかの予防接種をいまだに受けてない成人が多いかをあらわにした実例と言えるでしょう。厚生労働省のデータによると、はしかの予防接種においては、ここ最近の第1期接種率は95%前後を保ってはいるものの、第2期、第3期になると、接種率が落ちています。それだけ日本では、予防接種の必要性に対する認識が薄いのと、その安全性にも多少なりと疑問視する風潮があることの証だといえます。また、幼児のMRワクチン1期、接種率も従来から8割弱とさほど高くなく、特に新型コロナウィルスの影響下においては接種率が5割前後まで激減していることが問題視されています。

いずれにしても、安全性に対する疑問の声が日本では根強いことが、ワクチン接種を嫌う一番の理由です。予防接種を推進する向きからすると、その必要性と安全性について実証されていることは明らかであり、これまでの誤解を払拭しつつ、全国民に対して予防接種をするべきと訴えていますが、現実問題として予防接種の安全性については疑問視する声が絶えないのです。真冬の時期を迎え、新型コロナとインフルエンザの同時流行を警戒するだけに、不安がつのります。

ワクチン接種は安全か?

ワクチンの接種には絶対に安全、というものはありません。予防接種を受けることにより少なからずとも体質に微妙な変化を及ぼすことから、果たしてそれが人体にどのような影響を与えるかは、何十年という長い年月をかけないとわからないこともあるようです。例えば、予防接種を受けたあとに生じる自己免疫疾患についても、数年という短期のスパンでは十分に検証することは難しく、簡単に結論をだすことができません。さらには副作用が生じるおそれも100%は否定できず、臨床実験をくりかえしながら、副作用の可能性が極めて低いことがわかった時点で安全性が確認できたことにするしかないようです。よって、極まれに副作用による障害が生じ、人の命を左右するような事件に発展することがあります。その微々たるリスクも考えたくはない、という人にとって、予防接種は縁のない存在になりがちです。

厚生労働省の新型コロナウィルス感染症に対するワクチンに関するコメントには、「ワクチン接種には、副反応による健康被害が極めて稀ではあるものの、不可避的に発生します。」 と記載されています。そして日本への供給を計画している海外のワクチンについては、「ワクチン接種後に、ワクチン接種と因果関係がないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害事象がみられたことが報告されています。」と明記しているのです。つまり国として海外からワクチンを購入することは決めたものの、未だに安全性が確認されていないことを懸念する主旨の内容となっているのです。

それでも日本国政府は来年前半までに、全国民が自己負担なくワクチンを接種できるだけの量を確保する体制を目指し、医療従事者や高齢者を優先して接種する機会を提供する方針を示しています。未だ安全性が確認されているわけでもなく、しかも通常4~5年はかかると言われている臨床試験の壁を乗り越えて、1年少々で開発されたワクチンの供給を受入、既に政府は購入することを前提に英米製薬会社2社と基本合意しています。

WHO(世界保健機関)によれば、既に世界各国で開発されている新型コロナウィルスのワクチンは170を超え、そのうち既に30あまりが臨床試験の段階に入っています。たとえ最新の遺伝子情報などを駆使した新技術を導入したとしても、長期にわたる様々な副作用や、免疫持続期間などを検証するのは数か月では無理があるでしょう。既に原因不明の副作用が報告され、臨床試験が中断するという事例が後を絶ちません。中国製のワクチンにおいては、急激な筋力の低下や麻痺を起こすギランバレー症候群に類似した疾患の事例が既に報告されており、臨床試験が一時中断したというニュースも流れています。

ワクチンの安全性を確認するには時間を要します。特に日本国内における独自の臨床試験が不可欠であることから、過去生じたようなワクチン禍の被害を回避するためにも、しっかりと時間をかけて検証していただきたいものです。

ワクチン接種は受けるべきか?

国立国際医療研究センターによる新型コロナウィルスに感染した入院患者6000人の調査によると、第1波後の重症化トレンドや死亡率は、明らかに減少したとのことです。その理由として20~30代の若い世代が感染する兆候が顕著になったこと、治療法が改善されて対策が充実してきたこと、そしてレムデシビル等の治療薬が使われるようになったことが要因としてあげられています。特に、検査体制が拡充しはじめたことにより、症状が出てから感染確認されるまでの日数が短くなり、早期に入院治療を受けることができるようになったことが重要視されています。その結果、重症化して入院した人の死亡率は第1波と第2波を比較すると後者は半減し、1割まで減少したのです。

最も大事なポイントは、無症状の感染者が大変多いだけでなく、症状がでた場合でも、殆どの感染者は軽度の風邪のような症状のみで回復しているという点です。2020年12月9日、厚生労働省が発表した速報値によると、重症者の割合は30代まではほぼ、ゼロ%に等しく、40代が0.5%、50代が1.2%、60代が3.6%、70代が5.1%、と、高齢者のみ、数値があがることがわかっています。重症者の割合の平均値は全体で1.6%ということからしても、新型コロナ感染症は当初考えられていたほど、恐ろしい病気ではなかったと言えそうです。それだけに、わざわざワクチンを接種して、人為的に作られた偽ウィルスとも言える異物を体内に入れるべきかどうか、今一度、見直すべき時がきました。

あなたの決断はいかに?ワクチン接種を受けなければ、新型コロナウィルスに感染するリスクは常に伴います。しかしながら重症化するリスクは低いと言えるでしょう。また、ワクチンの接種を受けるということは、コロナに感染していないのにも関わらず、体内に新型コロナウィルスに関連する人為的な造成物を入れることになり、例え免疫効果があったとしても、もしかしたら副作用に悩まされることがあるかもしれません。安全性の確認にはまだ、年数がかかると考えて間違いないでしょう。誰しもが苦渋の選択を迫られるのではないでしょうか。

マネーゲーム化するワクチン競争

コロナ禍が世界中に蔓延する最中、有効性の高いワクチンの開発に関わる様々なニュースと憶測から、経済が早急に回復するという期待も重なり、株価をはじめ世界経済は、ワクチンラリーともよばれるマネーゲームの様相を呈しています。ワクチン開発においては、開発元の製薬会社だけでなく、それら関連会社の株価まで、ニュースが流れるたびに暴騰することも多々あり、2020年夏頃より投資家は一喜一憂する日々が続いています。

そして11月になると米ファイザー社がワクチンの予防効果がこれまでの想定を大きく超える90%の有効性を発表したことを期に世界的な株高がはじまり、ダウ工業30種平均も上昇し続け、11月24日には史上初めて3万ドルを超えました。同様にNASDAQ市場も新高値を更新し続けています。新型コロナ関連の銘柄といわれ、巣篭りを前提として暴騰してきた日用品メーカーなどが急落し、新型コロナ問題が解決すれば再び元に戻るであろうと考えられたエンターテインメントを代表するディズニーや航空会社、船会社の株式が突如として暴騰したのです。そしてニューヨーク株式市場においては、NASDAQ、DOW共にコロナ禍であるにも関わらず、史上最高値を更新するという、想定外の相場の動きに、多くの投資家が目を見張りました。

有効性が90%を超えるワクチンとは、近年中に社会全体において集団免疫を獲得することができることを意味していることから、経済復興における先行きの見通しが、大変明るくなるということです。しかしながら、実際問題として有効性の数字には疑問が投げかけられています。まだ、最終段階の治験が終了したわけでもなく、また、米ファイザー社のワクチンのように配送中でも摂氏マイナス70度で保管しなければならないような大変厳しい条件もつくことから、ワクチンの劣化や有効性の変化などが懸念されているのです。そのようなワクチンそのものの問題に加え、ワクチンを接種しない人が大勢いるということも考えられることから、結果として集団免疫の獲得は難しいというのが、大方の見解のようです。

しかしながら世界的にコロナ禍が蔓延し、経済状況もひっ迫しているにも関わらず、ワクチンの開発に関わるニュースが流れる度に世界各国の株式市場は敏感に反応しながら急騰し続けている事実は直視する必要があります。例えば12月になり、英国で新型コロナウィルスワクチンの緊急使用が許可され、ワクチンの接種が始まるというニュースが世界を駆け巡ると同時に、それを製造する米ファイザー社の株式は1日で4%も急騰して年初来の高値を更新し、同じくコロナワクチンを開発している米モデルナ社は6%高となりました。それもそのはずです。米ファイザー社の例をあげると、2021年までに新型コロナワクチンに関連する売上は80億ドル、およそ840億円にもなると予測され、その収益効果には計り知れないメリットがあります。

しかし、これら一連の暴騰劇は一過性のものであり、実際にはワクチンビジネスの収益化はリスクが高く、難しいという専門家の意見もあります。世界各国では既に70社以上の企業がワクチン開発に着手をしており、いずれ競争が激しくなるだけでなく、副作用などの検証も不十分なことから、人体へのリスクファクターがいまだに解決していないと考えられるからです。

しかしながら現実を振り返ると、アメリカでは新型コロナウィルスの感染は拡大し続け、多くの都市で移動が制限されるようなロックダウンに近い状態が日常化し、雇用状況も悪化しています。よって株式相場は実態の経済と大きく乖離していると言わざるをえないのです。そして世界的な金余りの状況を背景に、ワクチン開発のプラス面のみを必要以上に織り込みながら、株式相場が大きく揺れ動いているのが現状です。

日本においては現実問題として、東京オリンピックの開催などの政治的な思惑が絡むだけでなく、製薬会社が巨大な資金を投じてワクチンの開発に取り組んでいることから、その資金の回収のために、当然のことから莫大な利益を得ようとあらゆる手を尽くすことになるはずです。よって、マネーゲームのバトルが常に水面下で行われていることになります。特にワクチンの開発に関わる製薬会社においては、何としてでも安全性を確保したうえで先進諸国の認可を受けることが不可欠であることから、あらゆる手段を尽くしてワクチンの早期開発を達成するために全力投球することでしょう。こうして、多くの製薬会社と医療に携わる大企業は、コロナを介して受注の争奪戦を繰り広げています。

その結果、もしかすると実用化を急ぐあまり、安全最優先の鉄則がないがしろにされて、虚偽の報告や隠ぺい作業が横行し、真相が隠されてしまいそうな暗雲が立ち込めはじめている可能性を否定できません。安全確認が十分にできてないままに、新型コロナワクチンが世間にリリースされてしまいそうな懸念は、果たして払しょくできるのでしょうか。巨額な資本が世界を駆け巡り、マネーゲームが行われていると解するならば、ありとあらゆる隠ぺい工作が行われていると仮定しても、決して不思議ではないのです。

日本政府は国民全員に対して、来年前半までに必要数のワクチンを確保して、個人の負担なくワクチンを接種できるようにすると公表しています。安全性が確認される前に、目標が設定されてしまっているだけでなく、その安全性に関するデータそのものも、信ぴょう性に黄色信号が灯ります。それ故、多くの日本国民は、状況を知れば知るほど、新型コロナのワクチン接種からは遠ざかっていくのではないでしょうか。ワクチン開発の背景には、巨額なマネーの争奪戦が行われていることを知る必要があります。

課題が山積みのワクチン接種

日本では2021年、東京オリンピックを控えていることからしても、ワクチンの早期リリースには不安が募ります。2020年12月15日現在、いまだに国内感染者の数は増加し続け、感染拡大が止まっていません。また、米国では都市のロックダウンが日常化し、ヨーロッパでも感染が拡大し続けています。それ故、東京オリンピックの開催は、極めて難しくなってきたといえます。例え日本の状況が一気に改善したとしても、諸外国の状況が同様に改善されないかぎり、オリンピックの開催は難しいからです。

最後に、現状、日本の国家が直面している新型コロナウィルス関連の課題について、検討すべき大事なポイントをまとめてみました。いかにしてワクチンの安全性を確保するだけでなく、ワクチンの接種者が実際には少ないという前提において、それでも社会の秩序を保ちながら、国民が安心して生活できる社会環境を構築できるかが、今後の課題となります。

今後の課題

  • 日本人に適した有効ワクチン開発の為に、どのような臨床試験を進めていくべきか?
  • ワクチン接種が嫌いな日本人に対して、どのように啓蒙し、接種を推奨していくか?
  • 国民の健康管理に関するデータを、どのようにデジタル化し、一元管理を実現するか?
  • クラスター削減の為、プライベートな行動情報を、行政がどこまで監視するべきか?
  • 安全性を担保できないままワクチンを接種するほど事態が深刻化しているか再検証?
  • インフルエンザ流行による例年の被害と比較しても、それ以上に危険と言えるのか?
  • ワクチンを買い付けても接種を希望する国民が少なければ、どうやって後処理するか?
  • 国民の税金を無駄なく使い、接種を進めるためには、少量からスタートするべきか?

課題は山積みですが、2021年、日本は必ず新型コロナに打ち勝ちます。大切なことは絶対に打ち勝つ、という「信念」です。新しい年明け、皆さんで一緒に乾杯し、共に新年を祝いたいものです。合掌

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(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部