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第4回 自分の健康は自分で守る

現代人は何かと忙しい。豊かな生活を得るためにはお金がかかる。そのためには働かなければなりません。つい過労になりがちです。睡眠時間も少なくなりましょう。いきおい心身がストレスに襲われることになります。

ストレスとは種々の外部刺激が負担となり、心身に機能変化が生ずることです。ストレスの原因として、気象、化学物質、病原微生物、精神的な刺激などを挙げることができます。

人間の身体で比較的敏感にストレスに反応する器官は消化器系です。そのうちでも胃と腸が最も鋭い反応を示します。

強いストレスを受けると末梢血管に普段と著しい収縮現象がみられます。つまり体の末端への血液循環量が減少します。血液は酸素を末梢に、末梢からは炭酸ガスを心臓に運ぶだけでなく、体内に取り入れた栄養を各組織に送り込むなどの仕事をしています。血液を充分に末梢に届けられなければ組織の機能は低下することは当然の結果です。

胃の表面は粘膜で被われています。粘膜も細かく分ければ上皮・固有層・筋板などの名称があり、その下層には粘膜下組織と呼ばれるところがあります。分類すれば上記のようになりますが、これらはせいぜい5mmほどの間に存在しているのです。

さて、この粘膜の機能低下が続くと胃・十二指腸潰瘍の原因となるのです。

胃粘膜の表層部からは胃液が分泌されます。その胃液には塩酸、消化酵素のペプシン、それに加えて粘液が含まれます。塩酸はpH1.0~2.5の強い濃度をもっており、胃に入ってきた蛋白質を、ペプシンと共に粥状にドロドロに溶かしてしまいます。しかし、自分自身の胃が消化されないのは粘液が守っているからです。消化液と粘液の機能のバランスが崩れたとき、潰瘍の進行が始まるのです。

病気に罹からないことがこの連載の目的ですが、人間は理想通りに生活できるとは限りません。生活の矛盾から病気をつくってしまうことがしばしばです。

ツボによる潰瘍(胃・十二指腸)の予防と治療に最も有効なのは足の「三里」です。このツボはどのような病気の治療にも組み合せて使われる秀れものです。指圧をしてみましょう。刺激して5分もすると胃の動きを観察することができます。他人ならば腹部にハンカチを置いて耳を近づければ、胃腸の動きを音で聞くことができます。更に拳を作ったとき、第4指の先端が掌にふれたところを「労宮」といいます。ストレスを和らげるのに有効です。

足の「三里」のツボ

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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