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第6回 自分の健康は自分で守る

漢方薬に「当帰」(トウキ)という名のセリ科の草根があります。中国の甘粛・雲南・四川省が主産地で、正しくはカラトウキと呼ばれます。セリ科の植物は血液を綺麗にする作用があります。漢方薬では他に、川(センキュウ)、独活(ドッカツ)、茴香(ウイキョウ)、白(ビャクシ)、三島柴胡(ミシマサイコ)などもセリ科に属し、おしなべて当帰と同じような薬効を持っています。当帰について、もう少し詳しく調べてみましょう。

前回はツボ、「帰来」について記しました。帰には夫のもとに嫁ぐという意義がありました。薬草の当帰は「当ニ帰グベシ」(まさにとつぐべし)と読めます。

ある女性が夫との生活に決別してやむなく生家に戻りました。夫のもとを去る理由は言う迄も無く夫婦生活の破綻です。妻の不感症や子供に恵まれないこと。昔は今日では考えられない理不尽がまかり通っていました。ところが生家で療養に励んだところ血液の循環がよくなり、女性としての生理も改善され、見違えるほど血色もよく元気になったのです。当帰を主剤とする薬を服用したからです。当帰の調合された処方には、当帰建中湯(トウキケンチュウトウ)、当帰散(トウキサン)、当帰四逆湯(トウキシギャクトウ)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクゴシュユショウキョウトウ)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、当帰生姜羊肉湯(トウキショウキョウヨウニクトウ)、当帰拈痛湯(トウキネンツウトウ)、当帰貝母苦参丸(トウキバイモクジンガン)、当帰六黄湯(トウキリクオウトウ)と多彩です。月経不順、月経痛、閉経、不妊症、冷え性、腰痛、腹痛、帯下、子宮後屈、子宮下垂(脱)、妊娠腎、妊婦将排尿困難、などにそれぞれ効果を発揮する優れものです。処方名のうち湯(トウ)は煎じて粕を去りその液のこと、散(サン)はそれを粉にすること、丸(ガン)は粉にしたものを蜂蜜などで練って丸薬にして服用する方法をいいます。

中国医学(漢方)で不妊症を治療とする場合、先ず月経が正常にあるか、卵管の閉塞はないかなど婦人科で診察を受けます。妊娠可能な状態でありながら不妊であるとき、漢方薬やツボ療法は大変有効ということになります。というのは、これらの治療法は体の本来持っているはたらき(機能)を正すからなのです。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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