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第10回 自分の健康は自分で守る

前回、漢方薬と民間薬について、概略を述べましたが、もう少々続けたいと思います。民間療法の一環として日本人の古くからの経験を積み重ね伝承され、今日に至ったのが民間薬療法です。民間薬は基本的には単味(一品・一味)で用いられることが多く、これに対して漢方薬は複味(薬種を処方して)で使います。漢方薬と民間薬は同じ薬草であることもあります。

ドクダミは漢方薬名では魚腥草(ギョセイソウ)・(ジュウサイ)・十薬(ジュウヤク)等と呼ばれます。『魚のように生臭い』、『臭い草』という意味からの命名です。しかも十種類もの薬効があるというのです。

ヨモギ(蓬)はモチグサと愛称されています。私たちの国では、春の野の地上に二~五センチの芽を摘み取り、これを洗って蒸し、餅につき込まれたことから、この名があるのです。ヨモギは菊科に属する草本で大そう香りがよいのです。香りのよい草木は「邪」を祓うと信じられ、神仏のイベントにもよく用いられます。しかも、生命力が旺盛で所を選ばず、山地といわず、堤や土手、畦などに良く生育します。こんなことから『蓬室』とか『蓬戸』とは蓬のぼうぼうと生えた家のことを表し、荒屋とか乏しい家の形容にも使われます。さてヨモギは体を温め、止血、腹痛、腰痛、生理不順、食欲増進、胆汁分泌促進など多用されます。漢方薬名は艾葉(ガイヨウ)。六月頃の葉を採取し、陰乾たもので、漢方処方の(キュウキキョウガイ)湯は有名。痔出血、子宮出血、血尿、吐血に用います。また、五月頃に採取し、陰乾後、臼で搗き、葉脈を篩にかけて去り、綿のような繊維を集めたものをモグサとし、灸治療に用います。モグサとは『燃える草』という意味から名づけられています。意外と知られていないのが、捺印の際に使う朱肉の台、つまり朱肉を含ませている部分にはモグサがしっかり詰められていることです。

センブリはリンドウ科で、和名のセンブリとは『千回振り出してもなお苦い』という意味からの命名といわれます。漢名は当薬(トウヤク)で、筆者の山里のやや奥には自生のセンブリが今も豊富にあります。消化器系に作用し、唾液、胆汁、、血糖下降作用があることで知られています。特筆すべきは増毛、育毛作用があることです。ですから、発毛、増毛剤には必ずセンブリが配合されています。これらの服用法は前号を参考にして下さい。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
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