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第12回 自分の健康は自分で守る

暦の上では、二十四節氣の一つ白露も過ぎ、ようやく秋氣が感じられるようになりました。

今回はナス(茄子)とナス科について考えてみましょう。ナスはキウリなどと共に夏の食材に欠かせない野菜です。ナスの油炒め、糠漬など、食欲がないときでも、これさえあれば食が進んだという体験は誰もがもっているでしょう。

ナスはインド原産とされ、温帯・熱帯に広く分布しています。栽培品種が大そう多いことでも知られています。秋が深まるにつれて生長が鈍くなり、実も小ぶりになります。ところで、"秋ナスは嫁に食わすな"という慣用句があります。秋のナスは種が少なくて子種がないと困るからとか、身体が冷えると妊娠が困難になるからという、姑の氣遣いからでたものと考えられます。嫁が子を産めば、その腕に可愛い孫を抱くことができる。姑の切なる願望といえましょう。秋ナスは実が緊まっていて美味だから、「あたしから息子を奪ったにくい女になんか食わすもんか」と、こうした解釈が広く世間に伝えられているようです。日本の女性はそんな性根の人は少ないと私は思います。前者の考え方を私は支持したいですね。

ナスの仲間はジャガイモ、トマト、ホウズキなどの食用、クコなどの薬草、それにタバコ、チョウセンアサガオ、ハシリドコロといった有害な植物の三種に分類できます。

ナスは収斂(シュウレン)作用があります。収斂とは身体の組織を収縮するまたは収縮させること。ナスの収斂物質が身体の粘膜に働きかけ、局所の血管を収縮させ体液の分泌を抑え、組織の充血を抑制する作用があります。

昔の人々が経験的にナスのこうしたはたらきを知っていたとは驚きです。

今日ナスの黒焼きと食塩を混ぜた歯みがき剤を精製して薬局などで売られています。食塩も収斂作用があります。歯根を収縮させ噛む力を増強することができるからです。

秋ナスの収斂作用が、子宮を収縮させ妊娠しているかもしれない。もし流産でもさせてはならないという、優しい親心ということをもう一度力説しておきましょう。。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
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