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第13回 自分の健康は自分で守る

東洋医学(中医学)は氣の医学といわれます。そこで「氣」とは何か?私達は日常茶飯事に氣を使った熟語を用いています。氣分、天氣、氣持、氣配、病氣、その数は枚挙に遑が無い程です。

氣をエネルギーだと説く人がいます。決して違っているとはいえません。がもっと根本的な意義があります。むしろ氣は「エネルギーを発起させる力」と解いた方がよいと思われます。

人間はどのようにして、その氣を身体に取り入れているのでしょうか。今月はこの問題を考察してみたいと思います。

天然自然を三分別して論じる方法が中国文化の中にはあります。天地人、老壮靑、上中下。人の体も、また上中下に分けて、氣の取得と不必要物質の排泄に係わりを説いています。これを三焦といい、上焦・中焦・下焦と名付けています。上焦は横隔膜から上を指します。ここには心と肺が在ります。中焦は横隔膜から下、且つ臍より上の位置で脾・胃が在り、下焦は臍より下で大腸・腎などが在ります。

陽の氣である太陽の光を浴び、大氣を呼吸し肺に取り入れる、これは上焦のはたらきです。中焦の機能では、腐熟つまり上焦の入口である「口(くち)」から飲食物を受入れて、清と濁に分別します。清とは体内に取り入れる栄養物、濁とは不必要となった粕といえましょう。清は軽いが故に上焦へ、濁は重いが故に下焦へ送られます。下焦は濁を、やがて体外に排泄する役割を負っているのです。こうした中焦の機能を運化(ウンカ)といいます。

上焦には心と肺が在り、心は血液循環を、肺は呼吸により清氣(酸素)と濁氣(二酸化炭素)の交換を担っています。そして中焦で得た地氣と呼吸で得た天氣とが結合して、生命現象に最も大切な宗氣と呼ばれる原氣(ゲンキ)が生れるのです。東洋医学ではこの宗氣(原氣)を普段は単純に氣と言っています。

上焦のはたらきにより、清新な氣と血が全身を循ることで、私達は生かされていることになります。この流れが何らかの状態で阻害されると病変が現れるのです。この続きは次回分りやすく説明していくつもりです。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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