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第22回 自分の健康は自分で守る

中国医学の古典『黄帝内径・素問』は世界に誇れる人倫・医学・哲学を記した書籍です。私たち漢方医学を生業としている者にとって、座右に置いて、事有るごとに繙(ひもと)く重要なものと昔から伝えられています。

その第一篇は「上古天真論」と名付けられています。「上古」とは、人類の生活がまだごく初期の段階であったことを指す総称です。「天真」とは先天的に与えられた命と解釈されましょう。その命に備わった「氣」を元真とか元氣といいます。「ご無沙汰いたしていますが、お元氣ですか?」の元氣のことです。

さて、その第一篇の中に次のような文章を見かけます。

帝日、人年老而無子者、材力尽耶、將天数然也。岐伯曰、女子七歳腎氣盛、歯更髪長。二七而天癸至、任脈通、太衝脈盛、月事以時下。故有子。

直接現代の言葉に訳すと次の様になります。黄帝がいう。「老境に至れば、もう再び子供を産むことができなくなる。これは精力が不足したからなのか。それとも天から与えられた限度があるからなのか」。伯がいう「男女の一般的な生理過程は、女子は七歳になると、腎氣が充たされだし、歯が脱けかわり、毛髪もまた長くなってきます。十四歳になると、天癸が発育・成熟し、任脈はのびやかに通じ、太衝の脈は旺盛になって、月経が時に応じてめぐってきます。だから子供を産むことができます。」…と女子の人身の盛衰を述べています。いうまでもなく男子についても記されていますが、ここでは略します。

このように自然の摂理を観察し、質の良い生涯をいかに過ごすかを二千年以前に説いているのです。驚きです。

女性にとって月経は特別な意義があります。月経がある年齢になりますと、大人の女性としての美しさが具わります。それと子供を産む事が可能になるのです。しかし、月経期は決して楽でない人も少なくありません。往診の際、七転八倒の苦しみに喘ぐ方に会ったことがあります。そこで月経困難症、月経異常に用いて、著効をみるツボを紹介しましょう。東洋医学としての漢方薬・鍼・灸は絶妙な効果をもたらしてくれます。先ず、ツボの名は関元(かんげん)。へそと垂線下で恥骨上線を五等分します。へそから3/5のところが関元です。足三里は先月号で図解があります。三陰交は内踝(うちくるぶし)の上、約15cmのところ。月経時だけでなく、続けること。指圧でも、灸でもよい。この記事は次に続けます。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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