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第31回 自分の健康は自分で守る

私たちの周りには、いろいろな草木が生えています。その中には食べられるものもあるし、毒草もあります。

私たちの先祖は生活の中で、これらの草木の芽や茎を食べたり、乾燥させて保存し、薬用として使ったものが沢山あります。

丁度この季節、採取に適するものに、ドクダミがあります。このドクダミは、道端や家の生け垣の辺りに生えています。大変生命力があり、これを草むしってもすぐに芽をだすことは、この草にかかわった人は実感されていましょう。

この草は決して好い臭いとは言えません。漢名では魚腥草と命名されています。その意味するところは生魚の臭みがある草だと譬えています。

この草は、草葉から根まで全体を採り、よく水洗いして、太陽の光に当てて乾燥させ、後に陰乾し、湿氣をさけて保存します。梅雨時は湿氣に十分氣を付けることが肝要です。生葉のときは臭いのですが、乾燥すると意外と好い香りになるのは不思議なことです。

センブリやゲンノウショウコと共に、医薬関係者に限らず多くの人々にその名が知られています。

ドダタミの薬効には解毒、背嚢作用、湿疹や蕁麻疹などの皮膚病、中耳炎、利尿などの薬効があります。

薬効のある草木には、染料としても使われることも多いようです。例えば、このドクダミの葉や茎を使い、アルミニウムやスズ媒染でうすい黄色、銅媒染で薄い茶色に染めることができます。鉄媒染ですと薄緑色に染まります。

近年の健康志向では、薬効のある草木を茶葉に加えたり、更に幾種類かの草木を足して飲用することが流行しています。こうした使い方は漢方医学理論とは別で、民間薬療法といわれています。

度々記しているように、漢方医学には、陰陽・五行論に従って、薬剤の処方や治療法が決定します。体質、病状、病期の過程などを勘案して処方・治療法を決めることは、いわゆる個人個人を診てのことですから、能率的ではありません。が医療としては大変人間的な対応といえましょう。これも平和だからこそ出来ることであって、戦時となれば、大衆生産、大衆消費の医療であり、個人を一人一人対応はできません。漢方医療や民間治療を大切にされる、この時代が長く続くことを願わずにはいられません。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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