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第37回 自分の健康は自分で守る

健康で生きたい。だれもが願う共通の思いです。健康、それは心身、つまり精神・神経と肉体の両面であることは、言う迄も無いことです。衣食住が保証されていても、健康が確保されなければ、幸福な人生とは言えません。以前このシリーズで記したことがありますが、復習の意味で振り返ってみましょう。

漢方とは中国の漢代に成立した医方をいいます。今から約二千年も前のこと。その時代に、『素問(ソモン)・霊枢(レイスウ)』とか『傷寒雑病論(ショウカンザツビョウロン)』が著されています。そのうちの『素問』の第一篇ぺん(編)の冒頭に次のような文章を見ることができます。

「昔在黄帝而神霊弱而能言幼而徇斎長而敦敏成而登天」

この文意は昔黄帝という秀れた帝が在りました。「昔」の後の漢字は字こそ違っていても世間に稀に見る優れた人物であることを表わしているのです。以下は漢文から現代日本文に意訳して、紹介して参りましょう。

『素問』とは基本的な疑問を黄帝とその侍医達の間で交した問答形式で記されています。

「私は名医のそなたに、聞く。昔の人は百歳を過ぎても動作が衰えないが、今日の人は百才を半ばにして衰えてしまうのは、どうしたことか。時がそうしたのか。人の体質が変わってしまったのか?」、と。名医の岐伯(ギハク)は応えていいました。

「昔の人は自然を自然のままに受け入れ、生活していたのです。ですから百歳を越えて、生涯を全うしたのです。それはどういうことかというと、食べたり、飲むことに節度を守り、寝る、目覚めには決まった時刻を守ります。決して過労にはならないように努めます。

ですから身体も精神作用も与えられた寿命、百歳を越えて、この世を去ることができるのです」と。

「ところが今どきの人は、そうではないのです。酒を度をこして飲み、常々不養生をし、醉っては性欲をほしいままに交し、準備を充分にして、その目的を待つような心を払うようなことをしない。結果は明白です。このような不養生をしていれば、百歳を半ばにして、この世を去ることになるのです」と。

古代から今日に至るまで、自然の条理に変りがないことが分かります。ということは、二千年前に書かれた記録は、現在も言われ続けられています。人間とは知識はあっても、実行することは意外と難しいものです。しかし、その知識を活かすことは、自らの人生を左右することになりましょう。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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