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第49回 自分の健康は自分で守る

水は不思議な物質です。あまりにも日常的で、普段から目にし、手や足など身体に触れています。

物理的な方面から考えて見れば、たった摂氏百度の温度差で、固体、液体、氣体という状態・形状に変化を現わす物質は他に見当りません。最も、この"水" が物理学の基準基礎として標準単位で論じられますが、ここでは略します。水の固体は氷といいます。水が凝固した状態です。この" 凝" という字を訓で読みますと、" こる" になりますね。 鍼灸・手技療法(指圧、按摩〔あんま〕、マッサージ)は物理学療法に分類されます。特に中国から伝えられた鍼灸、按摩療法はツボを用います。

世間では一般的に、ツボ療法が肩こりや頚(くび)こりに大変効果があることは衆人の知るところです。 それでは、どうして、頚や肩がこり易いのでしょうか。この辺りから考えてみましょう。

人は遠い昔は、いわゆる手をついて、手は足として働いていたといわれます。ところが、ある時期から直立二足歩行をするようになりました。すなわち、後肢のみで歩くことは、他の動物と区別される最大の特徴となったのです。

私たちは目覚めて、一日の活動が始まると、首を直立にし、手を垂らしています。頭の重心は前面に傾いています。手は肩甲骨と背骨とでその重力を支えることになります。頭を支える主な筋肉は後頚部にあります。起きている姿勢で、すでに、後頚部と肩甲骨内側の筋や肩関節の三角筋、さらには頚と肩関節を結ぶ筋が、こり易いことが知られています。

私たち人間は生活の中で、いろいろな仕事をしています。多くの仕事は頭を前にかしげなくてはなりません。従って先に記した部分の筋肉は大変な労力を強いられていることになります。筋肉は一定の過労を経ると固くなります。固くなると血行が悪くなり、新鮮な血液が組織に送られ難くなり、益々こりがひどくなります。

一にも二にも、その局所の血流を促進しなければなりません。お風呂にゆっくり入って温まるのもよいでしょう。こったところを緩やかに、揉(も)んだり、叩(たた)く、擦(さ)するのもいいでしょう。ただし強い刺激や長時間の手当は逆作用になりますから、自分の身体に貞(き)く事にしましょう。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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