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第50回 自分の健康は自分で守る

先月は“肩こり”や“頸こり”について触れました。ヒトが直立二足歩行するようになったことが"こり"の主要な原因と記しました。が、病症の面から考察と、他にも誘因は多々思いあたります。過労、睡眠不足、高血圧・低血圧症、糖尿病や腎疾患、貧血症、循環器・消化器疾患と枚挙に遑(イトマ)がありません。それを解決する方法は、血液の循環を促すことが肝要なのです。その手段として、入浴し温まること。血管が拡張し、血液の流れがスムーズになります。たゞ熱い湯加減は血管を収縮させますからいけません。入浴中に意識を失ったり、不幸にも命を落すのに動脈硬化症の方が多いのは上のような事情であることと知り、注意する事が大切です。"酒は百薬の長"と言われますが、その人、その人、各人に適当な量があるはずです。酒は魔物です。酒好きな人は、杯を重ねるごとに量を増す傾向があります。百薬と言われるお酒もこうなれば毒になりましょう。少々の酒は血管を広げ、脈は増加し、新陳代謝を活発にしますから、内服薬などと洒落てもいいでしょう。

こゝでツボの登場です。ツボは以前にも書きましたが、全ての人が生れながらに持っています。医療の中で上手に用いれば手軽でしかも、お金のかゝらない最も優れた手段になります。こゝでは"頸こりや肩背部のこり"について考えています。肩のこりは肩の部分にあるツボを使うのは至極当り前ですね。先ず"肩井(ケンセイ)"というツボを紹介しましょう。右手で軽く反動をつけて左肩につけて下さい。そのとき、右手の中指が留まったところが、この肩井というツボです。体長の長短に依り多少の違いはありますが、おゝよそ、首の中心と肩の陵線の先端とを結ぶ、中点になるはずです。次に"盆(ボン)のくぼ"、後頭部で首の最上部、頭髪の生えぎわ、正中線から約二センチ外側の左右のくぼみ。このツボは"風池(フウチ)"と言います。頸や肩のこりばかりでなく、眼精疲労、風邪の予防、耳鳴、不眠症、集中力散漫などに効果があります。更に勝れているツボ、"陽陵泉(ヨウリョウセン)"。膝のお皿と俗に言われる、この骨は膝蓋骨(シツガイコツ)、この下の外側にグリグリした、出っ突った骨に触れるでしょう。このグリグリの真下の直ぐ前、ここが陽陵泉です。私は時々、いろいろな団体、会社、学校などで講演する機会があります。手を伸して、前に腰を曲げて、手が床に届かない人を選び、演壇に来てこの動作をしてもらいます。陽陵泉に指圧をすると、ものゝ見事に床に中指がつくのです。聴衆はこれを見てやっぱりツボは素晴らしいと感嘆の声を上げ、話を傾聴して下さいます。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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