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第51回 自分の健康は自分で守る

中国では古くから、事象や物事を二分割したり三分割して論ずることがしばしば行われています。陰陽、天地そして天地人、上中下などは普遍的に用いられています。

中国の伝統医学(漢方)でも、人体を三つに分けて論じられています。これを総して三焦といいます。

横隔膜より上位を上焦、横隔膜より下部で臍との間を中焦、臍より下部を下焦と命名されています。上焦には心と肺が、中焦には脾と胃が、下焦には腎・膀胱、肝などが位していると考えられています。

今回は下焦に焦点を当てて考えてみたいと思います。

下焦で最も重要な臓腑は腎です。伝統医学では腎臓という言い方はあまり使われません。何となれば腎臓といえば、血液から不要物質を浸透圧を通して、尿を生成し、その尿を輸尿管を経て膀胱に送るのが主なはたらきです。

中国の伝統医学では腎の下に臓を付けないことでもっと広い意義を持たせるのです。

腎は生殖器の機能、はたらきに重要な役目を負っているのです。

中国医学は伝統医学、体験医学、実践医学など、いろいろの言語で表現されます。こうするとこうなる。あゝしたら、あゝなったという、長い歴史を重ねて、今日に至りました。

今日の物象は自然科学を通して発展、理論づけが行われています。

私が漢方、つまり漢方薬療法や鍼(はり)・灸療法を学んでいる頃、東京大学の教授は臆面もなく“漢方医学は非科学である”と医療の専門雑誌に語っていたのです。丁度その雑誌に私も何回か記事を掲載していました。そして、その教授に反論したことが今、この原稿を書いているうちに鮮やかに思い出されます。“漢方は決して非科学的ではない。未科学なのだ”と。あの時から、三十有余年を経て、漢方薬剤・処方、経穴(ツボ)の作用が次々と科学の洗礼を受けて、明確な因果関係が証明されつゝあります。

はたまた、前置きが長くなってしまいました。

次号からは具体的な“性”に関する記事を書かせて頂きたいと考えています。インポテンツ、不感症、不妊症、生理不順、生理痛などなど。現代人は意外と“性”に頓着しないのに驚きます。“性”は生きる縁(よすが)であるはずなのですけれども。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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