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第57回 自分の健康は自分で守る

昭和二十年は、私が国民学校に入学した年でした。その年の八月十五日が終戦となりました。間もなく国民学校という名称は元の小学校に戻りました。

この時の「コクゴ」の教科書の文章を、なぜか鮮明に覚えています。本を開くと先ず、“アカイ、アカイ、アサヒ、アサヒ”でした。次のページが“コマイヌサン、ア・ン”でした。何故こんな書き出しにしたかというと、実はこの次の話につながるのです。

神社を訪ねると、神社の社頭や社殿の前に据え置かれた一対の獅子に似た獣の像に出会うことでしょう。これは神域に邪が入り込まないよう守護しているコマイヌ(狛犬)さんなのです。もし近くで見かけたなら、この狛犬の像を注意して観察してみてください。社殿に向って右側の狛犬は口を開け、左側の狛犬は口を閉じているはずです。

神社の社殿の後は北、つまり社殿は南面しています。私たちが住んでいるこの国、日本は北半球に位置しています。ここで陰陽説を考察したいと思います。わかりやすい例として、先ず“北”という漢字の成立を調べてみましょう。

もともと漢字の成り立ちは、種々の象形(ショウケイ)(人や物の形)が元になって形つくられています。北という字も例外ではありません。“ ”という漢字は、人が互に背を向けている姿を現しています。先に述べましたように、北半球に住んでいる私たちは太陽の方に向って暮らしています。太陽は南に在りますから、当然北に背を向けているわけです。先に記しましたように、社殿の左側は東に、右側が西になります。

私達が社殿に向えば、左右が逆になることは当然です。東は太陽が昇る方向であり、西は太陽の沈む方向です。ここまでで言わんとしたいことがお分かりになったでしょうか。

繰り返しになりますが東は“陽”、西は“陰”と対応されます。社殿に向って右側の狛犬は口を開けて“嗚呼”(アア)と声を出し、左側の狛犬は“吽”(ン)と口を結んでいるのです(図)。

日本語の五十音でも、最初が“A”最後が“N”で終っていることに気付くでしょう。東洋医学の理論は“陰陽・五行説”で構築されています。この稿でも時折、この説が出てきます。例を挙げながら、わかりやすく解説できればと思っています。

“北”の象形文字

“北”の象形文字

図

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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