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第69回 自分の健康は自分で守る
自然治癒力を活かす

痛い、(しび)れる、(かゆ)い、火照(ほて)る、冷える。いずれにしても、不快な症状に違いありません。私達動物はいろいろな行動の中で、すりむきや、時としては、人や硬いものにぶつかって筋肉や骨を損傷することがありましょう。手当て、治療、養生は古代人の生活の中から育まれ、伝承されてきたものです。洋の東西を問わず、それぞれの国や地域に存在しています。

私が専門としている漢方、鍼灸の医療も先人達の知恵の結晶です。ある病気や症状を訴えて来院された患者さんを癒すことが出来たとしても、それは私の手柄ではないのです。人のもっている生命力に薬やツボを通してはたらきかけただけなのです。ですから、私は診療に当たって、決して治してやった、などという言葉を一度も口にしたことはありません。

つまり、ヒトは病気や不快な症状、生体の生理的矛盾が生じたとしていても、正常に戻そうとする力、自然治癒力、自然良能力があるのです。それを上手に働きかけるのが医療者です。

ここで医療者と言いましたが、実はあなた自身が医療者なのです。医師や看護師、薬剤師が医療者なのではありません。この頃、生活習慣病という言葉が語られるようになりました。確かに自分自身の生き様が、健康を害することに繋がっているかも知れません。健康に過ごすために必要となる基本的なことは、今日の情報社会の中では十分に知らされているはずなのです。

人間は月にロケットを運び、その何がしかの情報をこの地球に知らせるというような素晴らしい技術を持ちあわせる半面、自堕落と言おうか、あまりにも情けないところもあります。東洋、いや中国哲学では、そのような事を“陰陽”という論を用いて、いろいろな事象を組み立てています。陰とは太陽の光が当たらないところ-日陰(ひかげ)。陽は日向(ひなた)を意味します。天地・左右・上下・裏表・善悪といった相対立することを陰と陽に区分します。

少し話がそれてしまったようです。以前、三快ということを紹介しました。快食、快便、快眠のことです。この三快が続いていれば、健康に暮せると古代中国の人は考えていました。

先に記しました通り、人間は(かしこ)さと(おろ)かな一面とを兼備(かねそな)えています。食べ過ぎ飲み過ぎ、寝不足、過労は体に良くないことは誰でも知っています。ならば、そうしなければ良いのです。善悪を承知していても、人はそうはいかない生活をしています。冒頭に記したのが、このことなのです。できるだけ健康に生きたいものです。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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