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第72回 自分の健康は自分で守る
風邪は万病の元

これから寒くなると、よく見かける症状に、感冒(風邪)があります。肺に出入りする空気の通り道を気道といい、鼻や口から声帯までを上気道と呼び、その先を下気道といいます。風邪は上気道の炎症性の病気です、下気道の炎症は気管支炎といい、さらにその奥にある肺の炎症を、肺炎と呼びます。単純な気管までの炎症は風邪と言う場合が多いといわれます。身体を冷したり、また過度に熱い思いをしたときなど、体熱の調整機能を崩すことを指します。

ところが日本列島の特に太平洋側では、冬の寒気に加えて空気が著しく乾燥すると、インフルエンザ・ウイルスが活発に動き出します。このウイルスによって感染し、発病したものは、流行性感冒と呼ばれます。多くの場合は高熱を発し、頭痛・四肢疼痛・全身倦怠感・食欲不振・頚や腰背部の強ばりなどの症状が現れます。小児幼児や高齢者など体力・免疫力が乏しい人は急性肺炎を起こし、生命を落とすこともあります。決して甘くみてはいけません。

さて、基本的に呼吸器の入り口は鼻です。鼻という器官はなかなか素晴らしい働きをしています。鼻を通じる気道。鼻の入口付近には鼻毛が生えています。粘膜から分泌した粘液によって鼻毛は浸っています。空気中の(ちり)(ほこり)を鼻毛に付けて、初期的に空気を清めます。さらにその先には粘膜が大いに発達しています。鼻毛で充分塵埃が除けなかったものは奥の粘膜に付着します。これにも限度があります。そうした場合は、くしゃみや鼻汁として外部に排泄されます。もちろん痰もそうです。

しかし、それも限度を越すと、気道に炎症を起し、激しい咳と鼻汁が流れます。更に炎症が進展すれば、先に挙げた現象となって現れます。

風邪について、今から二千年前に著わされました。中国で最古の医書に『素門』があります。この中に「風論篇」があり、次のような記載を見ることができます。“風者百病之長也、至其変化乃為他病也”。意味は「風は百病の長で、その病は他病に変化する」ということです。世間でよく慣用句として使われている“風邪は万病のもと”風邪はあらゆる病気の元であるから、充分用心すべきであるという教えの元でもあります。つまり、火事も大事にならない小火(ぼや)のうちに消し止めるのが肝要であるという教えです。くしゃみが出たり、鼻水が出、頭が重いと感じたら、温かくして、栄養に気を付け、睡眠をしっかりとって、体を休めることが大切です。これから寒気が、やってきます。充分気を付けて過ごしましょう。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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