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第74回 自分の健康は自分で守る
風邪の症状を軽減するツボ

風邪の症状には、いくつかありますが、先月は解熱(ゲネツ)の名穴、大椎(ダイツイ)について記しました。

次に咳の名穴について記しましょう。咳とは呼吸の矛盾といえましょう。他にクシャミ、シャックリも、言うまでもなく呼吸の矛盾です。咳とは、“喉頭、氣管などの粘膜に加えられた刺激によって反射的に起こされる短くて強い息(広辞苑-岩波書店)”のことを言います。咳に効く経穴(ツボ)は、“曲池(キョクチ)”。上肢の(てのひら)を胸に向けて肘を曲げたとき、前腕と上腕の間にできる肘のしわの外側の角、ここが曲池です。ツボの刺激には、鍼・灸・指圧などがありますが、鍼は針を使わなければなりません。これには国家資格が必要です。灸も言うまでもありません。指圧は多くの人が行っているものですが、これも業とすれば資格が必要です。

さて、曲池への最も易しい刺激は指圧です。このツボを反対側に向けて一、二、三と呼吸に合わせて五回から七回続けてみましょう。風邪は早いうちに注意していれば、二~三日の内に軽減するでしょう。あまり真面目に強く押す事には留意すべきです。

次に“こり”、“(こわ)ばり”ともいわれます。筋肉の強ばりは発熱によって現れますが、加えてパソコンや図面作成等の仕事に携わっている人々には(うなじ)(くび)・肩・背の恒常的に相俟って重いこりが発生します。そこで、こる部分を蒸しタオル等で、温めることも一つの方法です。こるということは、その部分の血管が収縮し、血液の流れが悪くなり、酸素や栄養の供給が少なくなっている状態です。いずれの病症も、血液の供給が充分であることが、病症回復の必要条件です。

次に喀痰(カクタン)、タンのからまりです。このツボはなんと(のど)から遠く離れたところ。下肢(カシ)(足)の下腿(カタイ)(膝から下)に在ります。ツボの名称は豊隆(ホウリュウ)といいます。豊隆とは雷様のこと、氣管に痰がからまると、ヒューヒュー、あるいはゼーゼーと音をたてます。中国の古人はこれを雷になぞらえて、このツボの名としたということです。さて外側正中線(ズボンの外側の縫代(ぬいしろ)の線)で、外(くるぶし)と膝関節の中点がこの豊隆です。からまった痰を体外に排泄し、喘息の症状を(やわ)らげ、さらに胃腸の機能を活発にするなどの作用がある、大変貴重なツボでもあります。

風邪のひきはじめは、クシャミからです。そして悪寒(寒気(さむけ))です。そんな症状を覚えたら、こんな民間療法をおじいさんやおばあさんから教え伝わっていました。

親指の先端ぐらいの大きさの生姜を下ろし金で下し、それに葱の白い部分を細かく刻み、この2つを湯呑に入れ、熱湯を注ぎ、フウフウ息を吹きながら、唇や舌をやけどしないように気をつけながら飲みます。こうすることで、汗が出ます。漢方では汗・吐・下・和という基本的な治療法があります。この4つの事象については、後に記したいと思います。

ツボ

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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