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第81回 自分の健康は自分で守る
雑草の中に有用な草々があります

私は十五才まで郷里、常陸大宮市(旧玉川村)で過しました。辺りは山で囲まれ、その山と山との間に、狭いながらも田畑が広がり、川が流れていました。

たった十五年の田舎での生活の中で、今に想えば実に豊かな体験をしたものだと、つくづく考える日々です。川や沼、野や田畑、山林での多くの思い出が蘇って来ます。

農家の人達が目の(かたき)にしている、畑に生える雑草も、上手に用いれば、大そう役立つ植物や薬草に変えることが出来ます。

このシリーズで、幾つものそうした植物を紹介してきました。今回は“あかざ”について考察を加えてみましょう。

あかざは、畑の中でも荒地でも、どこでも見かけられる生命力の(たくま)しい草です。春先はこの(わか)葉を摘み、山菜として食べることが出来ます。種はつくだ煮にします。また、あかざの枯れる寸前の茎を切り採り、(つえ)にします。古来この杖は軽い上に、丈夫で握りやすい。

この葉と茎は薬用としても利用されます。夏にこれを採取し、天日で乾燥させて保存します。高血圧症やビタミンの補給には若葉で青汁をつくり飲むとよい。魚の目、イボ取りには乾燥した葉茎5~10gほどを、水200mlで比較的濃く煎じて患部に塗布する。

また、民間療法として良く知られる利用法に歯痛があります。葉の粉末とこんぶの粉末を同量混ぜ、痛む部分につける。また葉の煎汁でうがいをします。次に虫刺され。子供の頃、すすきの葉で皮膚を傷け、近くに生えていた、アカザの葉をもんでその汁を傷口につけて、出血と痛みを和らげた覚えがあります。高血圧の予防には、このアカザを乾燥させたものを必要に応じて、お茶がわりに煎じて飲む。必要に応じてと記しましたが、常々心がけることが肝腎です。高血圧に注意している人は、食物や適度な運動、睡眠にも気をつけるものです。

私の治療院の近くは、今、家やビルの建て替えが盛んです。更地になった所には早速雑草がはびこり始めますが、中でもアカザがよく目に入ります。この頃はアオザも元気です。アカザとアオザはどちらも、おひたしにしたり、薬用にしても、薬効に違いはないと報告されています。これまでにいろいろの草木を取り上げてきました。読者の皆さん、辺りの植物に関心を持ちましょう。そして、利用して、健康の維持に努めませんか。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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