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第87回 自分の健康は自分で守る
動物性の漢薬とは

漢方薬といえば、植物が最も多い。次が動物です。植物の場合、書籍では○○薬草という命名がついていることが一般的です。しかし、動物の漢方薬は世間ではあまり知られていません。

牛黄(ゴオウ)は牛科に属するウシの胆のうの中に生じた結石で、これを乾燥したものです。乾燥すると砕けやすく、味は胆汁の結石(ケッセキ)ですから、苦いのは当たり前のこと。薬効は下熱、鎮痙、解毒、強心薬、強精(壮)剤として用いられます。

また麝香(ジャコウ)は、インド、ネパール、中国の雲南省やチベット自治区の高山に生息するシカ科の哺乳動物ジャコウジカの雄の麝香腺分泌物を乾燥したものです。私は以前、中華医学会の招聘(ショウヘイ)で中国を訪問し、雲南省石林に伺った折、この麝香の姿に接しました。日本鹿よりやや小型で端正。麝香成分は特異なにおいがあります。薬効には、興奮、鎮痙、鎮静、強心、排膿、解毒等に用いる。薬剤処方では、六神丸、奇応丸、救命丸が有名です。漢方処方名には、○○(トウ)、○○(ガン)、○○(サン)があります。○○湯とは、漢方薬を煎じて服飲するもので、以下丸薬、粉薬(こなぐすり)で服用されるものです。

今回は動物性の漢薬を紹介しました。日本の薬草治療は民間薬と呼ばれ一味、すなわちで單味(タンミ)使われることが多いです。一方漢方薬は処方、何種かの薬物を調合して、それを内服または外用とします。

外用薬としては、紫雲膏(シウンコウ)、白雲膏などが高名です。紫雲膏は江戸時代に活躍した、紀伊の出身、初め漢方医学を学び、後に蘭方医方を修め外科医として幾多の功績を残した華岡(はなおか)青洲(セイシュウ)の開発したもの。なお特筆すべきは、世界初の全身麻酔のもと乳癌摘出(テキシュツ)手術に成功したことは医学界に金字塔を建立(コンリュウ)しました。

現代でも、京都大学や他の大学で、世界で未だ成果を挙げない細胞の研究で素晴らしい先駆けとなるニュースがあることは日本人の誇りですね。人類にいきがいを覚える、日進月歩に期待いたしましょう。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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