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茶の間でヨット

ヨット

この時期の北風は夏とは違い一定の強風(台風や春一番のように暴風とならない範囲で強い風)が吹き続き、視界は開け遠く富士山の山頂にかかる雪を眺めながら、腕を磨くには絶好の時期です。但し現在の私は本格的な冬の訪れと共に海に出る事も少なくなり、本やインターネットを見ながら想像の世界でヨットを楽しむ軟弱者になってしまっています。日本ではまだまだマイナーなスポーツのためテレビでヨットを取り上げることは皆無に近い状況ですが、ケーブルテレビで海外のスポーツチャンネルやニュース番組を見ると結構面白いものを見かけることがあります。オーストラリアでのレースのスタートを見た後、世界一周レースの船上から大波を滑り降りる瞬間息を詰め凝視し、フランスでは衝突し転覆したヨットが港に戻り大勢の野次馬に囲まれながら艇長がインタビューを受けている姿に"そっとしてあげてくれ"と思わずつぶやいてしまう、と言った具合です。日本ではアメリカンカップに不参加の現在ヨット番組はほとんどなく、NHKで放映していた年1回の葉山でのニッポンカップも現在は中止となり本当にさびしい限りです。

そんな中、茶の間での一番の楽しみは何といってもインターネットの世界です。 日本で代表的なサイトSailin'Japan(http://www.sawaji.com/sail-jpn/)を足がかりにヨットレースの結果を確認し、次のクルージング予定地の情報収集を行います。公式に準備された港の情報、個人のクルージング記録、数々の写真を検索し見ているだけでも楽しめます。また、パソコン用ゲームもヨットに関するものが各種出ています。残念ながら大部分は海外のものですが内容は年々高度なものが出ています。初期の頃のものとは違い船の大きさ、セールの種類を自由に選択し、10数艇の相手とレースができます。(私のお勧めはPosey Yacht Design http://www.poseysail.com/デモ版は無料です)。この種のゲームはヨットを知っている人が楽しむには非常に良くできたもので、ルールの勉強やヨットレースの戦術をマスターするには最適です。画面の視点も、前から後ろから、果てはヘリコプターに乗った気分で上からの画像も楽しめます。ただ、これは経験者向きのゲームですので、初めての人には正直なところ何が楽しいのかわからないかもしれません。

パソコン以外でもサイコロを振ってヨットのコマを進めるゲームもあります。このゲームはほとんど双六(最近あまり見ることが少なくなった遊びのひとつですね)と同じ遊び方ですが、海と同じ青い色の盤面に鉛でできたヨットの駒を動かし、一杯飲みながら大の大人が真剣にサイコロを振る姿は、お正月位は許してもらいたいところです。

直接関係はないものの、ついつい見てしまうものは気象情報。以前は新聞の天気図とテレビの天気予報、ちょっと頑張ってNHKラジオの気象情報を必死で聞きながら自分で作成する天気図といったところが気象についての主な情報源でした。現在では高層の気圧配置、アメダスの風速、風向、ひまわりの映像、全国各地のライブ映像など情報はいくらでもインターネットで入手することができます。様々な情報を自分なりに分析し、実際の雲の流れや風の強さから明日の天気を予想してみるのもなかなか奥の深いものがあります。

暖かい部屋の中でパソコンに向かうのもほどほどにして、寒いの暑いのと文句をいわず、海に向かいセーリングするのが本当の海の男、と頭ではわかっていても実行が伴わず、結局向かう先は近場の温泉、大和の湯。十分温まったところで冷たいビール。おっと、こんなことではいけない!! 寒風吹きさらす船上で悴む手で飲み干すジン(又はウオッカ又は日本酒、要はアルコールなら何でもいい)。体は芯から暖まり、誰もいない海の上で波しぶきをかぶり、遠くに見える伊豆七島を目指す。さあ早速メンバーに招集をかけ年末の予定を決めなくては !

(文:高坂昌信)

© 日本シティジャーナル編集部