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クルージング その2

ヨット

伊豆半島の付け根、真鶴へのクルージング初日は昼過ぎに現地の港へ到着。当日はメンバーの取引先のバーベキューパーティーに参加させてもらうことになっていたため、会場の海岸まで移動。朝9:00からスタートしていたパーティーは我々が到着した12:00にはすっかりできあがっての大宴会真っ盛り。土木関係の職人さんが中心のため筋骨隆々、言葉遣いは荒い、人の頭は遠慮なく平手打ち、100円玉を前にトランプに熱中と知り合いがいなければ半径10mには間違っても脚を踏み入れることのない、それは大層にぎやかで楽しいバーベキューでした。海岸から眺める5月の海は初夏の暖かい風のなか日の光を受けキラキラと光っています。つい数時間前あの海の上から陸地を探していたことが嘘のようです。海の上にいると早く陸地を探して港に入りたがり、陸に上がると恋しくなって一時も早くまた海の上に出たくなる。何と勝手なものだと我ながら想いつつ知らぬ間にウトウトと昼寝、極楽です。

大宴会も終わりメンバー2人は大宴会第2部へそのまま連れ去られ、残り2人は昨日に引き続き船中泊。テレビもラジオも何もない中、ワインを飲みながらゆっくりとした時間を誰に気兼ねすることなく寛ぎます。2人とも1年に1回この時間さえ持てれば年会費の元は取ったと意見の一致を見ました。心地よい夜風と波の音を子守唄に21:00就寝。翌日は帰るだけの気楽なスケジュール。5:00前に起床、日の出を拝むはずが200m先も見えない霧のため漁港近辺を散策、朝飯をすませたところで宴会三昧の2名もようやく戻り、出航準備を終了してもまだ9:00。早起きすると1日が長い。かかっていた霧も晴れ、昨日同様天候に恵まれ帰路のクルージングに出港です。

と、ここでアクシデント発生。エンジンをかけバックで出港していくはずが途中で船が動きません。それどころか船が前に動いているではありませんか。まずい、と思ったその瞬間エンジンは止まってしまいました。そうです、船底にロープが絡まり船が動かず、そのうちにプロペラにもロープが絡まって強制的にエンジンが止まってしまったのです。初夏の陽気とはいえまだ海水浴にはちょっと早いこの時期、ましてや港の脇には屎尿処理場もあって我々が立ち往生した場所はゴミや得体の知れないものが溜う透明度50cmの腐った水。お互いに顔を見合わせ"じゃんけん"の一声とともに中年オヤジの真剣な戦いです。負けた者が3回ほど潜ったところで息が続かずギブアップ。仕方が無いので順番で潜るはめとなりましたが、日頃の運動不足、視界の効かない海中、船底に潜ってロープに絡まり溺れてしまう事への恐怖感、朝から飲んだ一杯のビールと悪条件が重なりどうしてもロープを外すことができません。私も何回か挑戦しましたが慣れない素潜りでの作業に最後はふくらはぎがつってしまいギブアップ。最終的にはダイビングショップに依頼し、酸素ボンベを使って潜ること3分、あっという間にロープが外れました。ようやく出港したのが昼過ぎとなったためホームポート浦賀への帰港は日もとっぷりと暮れた19:30。途中でアクシデントがあったものの無事今年の連休クルージングは終了しました。家に戻って何はともあれヘドロの海に潜った衣類を洗濯しましたが汚れがひどく、海パンごときを2度洗いする破目に。幸い日頃から健康だけが取り得の体には何事も無く、休み明けは真っ黒に日焼けした顔で出勤してたまった仕事をバリバリ片付け、いつもの生活がスタートです。

(文:高坂昌信)

© 日本シティジャーナル編集部