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America's Cup

ヨット

ヨットの世界で一番を競うレースと言えば何といってもAmerica's Cup。4年に一度世界一を決めるこのレースは、国をあげてお祭り騒ぎをする海のF1とも呼ばれるレースです。レースは2艇が争うマッチレースと呼ばれる形式で行います。勝ったチームの国で次回のレースが行われるため、毎回開催される場所は変ります。もともとは1851年(嘉永4年、ペリ-が黒船に乗って浦賀に来る2年前のことです)イギリスで行われたヨットレースにアメリカの船が勝ってしまい、その後この記念カップをかけてヨットレースを行なったのがそもそものはじまりです。その後長い間アメリカが勝ちつづけていたためずっとアメリカで開催されていましたが、1983年にオーストラリアが優勝し、カップがアメリカから外に出たと大きなニュースになりました。

日本もバブル景気の時代はニッポンチャレンジとの名のもとに1992年、1995年、2000年と3回挑戦しましたが、残念ながらいずれも挑戦者を決める段階で敗退しています。昨年2003年は日本が参加しなかったため新聞やテレビでもほとんど取り上げられることが無くさびしく終ってしまいましたが、チャンピオンはスイスのアリンギというチーム。海の無いスイスのチームが優勝してしまうのもおかしなものですが、実はスキッパー(艇長)を努めたラッセル・クーツは前回優勝したニュージーランドチームのエース。ニュージーランドチーム優勝の立役者として全国民に称えられたヨット界のスーパースターです。ヨットの世界も野球やサッカーと同じように優秀なプレイヤーは国籍に関係なく活躍の場を求めて世界を渡り歩いているので、スイスチームへの移籍も条件が合い応じたのでしょう。当然の事ながら次回2007年の開催はスイスで行うところですが、前出のとおりスイスには海がありません。湖があるとはいっても巨大なヨットがレースできる環境には程遠いため、ヨーロッパ各国はこのレースの誘致に力を入れました。フランス、イタリア、ポルトガル等多くの希望がありましたが、最終的には地中海に面したスペインのヴァレンシア市に決定しました。ちなみにこの開催する権利費用としてヴァレンシア市は6000万ユーロ(数千万円)を投じたと報じられています。

次回はアメリカもニュージーランドもヨーロッパ各国もこれまで以上にカップの獲得に向けて力を入れることでしょう。アメリカの覇権主義に対抗心を燃やすヨーロッパ勢が勝つのか、我こそはヨットが国技とばかりカップの優勝経験が有るニュージーランド、オーストラリアの南太平洋の国々か、いずれのチームも既に準備をはじめています。残念ながら日本は次回の参加も見送りとなりそうです。純粋にスポーツと呼ぶには規模も大きくなり、費用も100億円単位で投入しないと優勝できないとも言われています。しかし、海洋国日本、いつか必ずこの舞台での活躍する姿を見たいものだと祈るばかりです。野球の松井、サッカーの中田、ヨットの????残念ながらまだいませんね。ヨットのスーパースターが出てくるためにはヨット人口が増え、新聞、TVでもレースやクルージングを取り上げられるようにならないといけません。まだまだ底辺を広げる努力が必要です。私も"ヨット界の底辺拡大に少しでも貢献するため"と大層な理屈をつけて、ふらふら海でビールを飲みに出かけることとしましょう。

(文:高坂昌信)

© 日本シティジャーナル編集部