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オリンピック

ヨット

アテネオリンピックも今や遥か昔の出来事のように思えてきましたが、今回のオリンピックで日本のヨット界は、久々に男子470級で堂々の銅メダルを勝ち取ってきました。それまでは、ヨット競技の報道はテレビでは皆無、新聞でもベタ記事で順位のみ(全部で何ヶ国出場しているのかもわからない)。日本は本当に参加しているのかすら疑わしく思えるような状況でした。実際は27カ国(27隻)で延べ11レースを行い、その総合成績で順位を決定しています。

実際に3位が決定したのは最終11レース目でした。ヨットレースは11レースの中で最も悪い成績を除いた合計得点で計算します。従って10レースを終了した時点での順位は、1位アメリカ53点、2位イギリス55点、3位スウエーデン79点、4位日本79点、5位フランス95点、6位ニュージーランド95点という状況で最終レースを迎えました。この時点で2位と3位の点差は24点あるため、事実上1位と2位で優勝争い、4位と5位の点差も16点あり3位と4位でのみ銅メダルを争うというレース展開となっていたのです(テレビでも新聞でも誰もこのことは教えてくれません)。

27隻が一斉にスタート。見かけ上は全員が1位を目指してレースをしているように思えますが、この最終レースに限って言えば1位のアメリカはとにかくイギリスにさえ負けなければ金メダル、日本とスウェーデンは先にゴールしたほうが銅メダルという2つのマッチレースが行なわれ、あとの各国は最後にトップにでもなって一花咲かせるかと考える程度で、メダルとは関係無い、言わば消化試合のようなものでした。レース結果を見ても、それまでのレースで20位以下を取ったことのない1位2位が、最終レースだけは22位23位と明らかにお互いを牽制しあいながらレースを行なっていたことが一目瞭然です。日本チームも最終レースは11位、スウェーデンは15位となって、日本の銅メダルが確定しました。この最終レースの詳細結果を更によく見ると、日本チームは最初のマークを2位でクリアしていました。その後11位まで順位を落としたわけですが、その間スウェーデンチームに対してどのような作戦でマークをしていったのか、はたまた単なるミスで順位を落としてしまったのか大変気になるところです。

メダリストへのインタビューもそのあたりを聞いてもらえないか思いましたが、テレビの映像はゴールの瞬間のワンショットのみ、インタビューの内容も通り一遍のものばかりでヨットレースの深みを知らせてくれることはありませんでした。メダリストの関選手はインタビューに対して自分自身の結果についてはほとんど語らず、「海に囲まれた日本でもっともっと多くの人にヨットを楽しんでもらいたい」とヨット界を代表する発言をしていました。銅メダルを取ったことにより、1人でも多くの人がヨットに興味を持ってもらうことを私自身も強く願っています。

オリンピックレース結果

(文:高坂昌信)

© 日本シティジャーナル編集部