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海へ <最終回>

ヨット

今年は71歳の斉藤実さん、66歳の堀江健一さんがそれぞれ世界単独世界一周を実行しました。テレビのニュースで見る世界一周を成し遂げた後の斎藤さんの“ビールはもう飲んじゃった、カツオが食べたい、マグロも食べたい”というあのひげを伸ばした笑顔は、単なるどこにでもいる酔っ払いのおじさんが日帰りのクルージングから戻ってきた時と同じような雰囲気でしたが、風速40mを超える荒れ狂う海もあるなか、たった一人で半年以上航海することは、想像を絶する精神力と体力がなければ成し遂げることのできない本当にすごいことです。47歳の私が斎藤さんと同じ歳で世界一周を行なうとすると、これから準備期間が20年もあり心強い限りです。尤も私は一人で海に出るのではなく、気の合う仲間たちと馬鹿話をしながらのんびりクルージングという世界にぬくぬくと浸かってしまっている為、実行するとしてもいいところ日本一周程度かとは思います。彼らの世界一周成功と前後して、奥さんの遺骨を日本のお墓に納骨するためアメリカからクルージングで太平洋を横断した人が、無事納骨後アメリカへ戻る途中で亡くなってしまうという悲しいニュースもありました。いずれにしてもこれからの高齢化社会に向け、社会保険の問題、お年寄りを狙った詐欺事件、親殺し、子殺し…など暗いニュースばかりの中、年齢に関係なく夢を持ってそれに向って邁進することこそ人生の最大の楽しみだと言うことを、年配の人が実証してくれたことは事実です。

世界一周という派手な話題もさることながら、一歩視点を足元に移して、地元千葉県の印旛沼でも是非ヨットがたくさん帆走する姿を見たいものです。印旛沼公園や佐倉草ぶえの丘から見下ろす湖面は大変風情のある、自然に恵まれた風景です。ちょっと狭く水深も浅いためヨットにとっては理想的な水域ではありませんが、佐倉のサイクリング道路同様印旛沼周遊のセーリングは周囲の自然の景色を見ながら楽しめるものと思います。佐倉のふるさと広場、風車のたもとではレンタル自転車が休日ともなると大繁盛しています。沼をめぐる観光船もにぎわっています。貸しヨットがあったら、桜の季節には私は絶対に缶ビール片手にヨットの上から花見を楽しむでしょう。子供のためのヨットスクールもいいでしょう。四方が岸のため、万一転覆しても遭難する危険性は大変少ない場所です。成田空港から京成電車を利用する海外からの旅行客は、印旛沼でヨットを楽しんでいる光景を見ただけで日本を見直すこと間違い無しです。私自身も少しでも日本でのヨット人口が増えるよう、ヨットの素晴らしさをできるだけ多くの人に体験してもらうことに努力していきたいと思います。

毎月思いつくままヨットや海について書き綴ってきましたが、今回でこのコラムは終了です。次回からはこのコラムを、インターネットを通じて30年間振りに再会した小学校時代の同級生にバトンタッチします。彼は20年以上国連で開発途上国を巡り歩き、もともと好奇心旺盛で何でもやってみる性格だったこともあり、普通の人では経験しないことを数多く体験しています。国連というと日本が常任理事国になるかどうかという話題で昨今はにぎわっていましたが、そんな政治的な裏話がでてくるか、はたまた途上国の珍道中の話が出てくるのか乞うご期待です。

さあ、今年の夏もヨットで花火を見に行くぞ。

(文:高坂昌信)

© 日本シティジャーナル編集部