玉拾いはコーチの仕事！

アメリカのテニスプレーヤーが強い理由は3つあります。まずテニスコートがどこにでもあり誰でも親しみやすいスポーツとして社会に根付いていること、優秀なコーチ陣が大勢揃っていて有名クラブに所属しながらプレーヤーを教えていること、そしてこれらのコーチに対して惜しみなくレッスン代を支払うテニス狂が大勢いることが挙げられます。レッスン代は1時間平均5-60ドルと決して安くはありません。だからこそプレーヤーはお金に見合う徹底したサービスをコーチに要求するというのがアメリカの考えなのです。例えば玉拾いはプレーヤーがするものではありません。コーチの仕事は生徒にできるだけ多くのボールを打たせることですので、プレーヤーはそのことだけに専念し、その為のボール集めはコーチの仕事と考えられているのです。またテニスが上達するためにはひたすら多くボールを打つ必要があります。それ故、プレーヤーは体力を温存するためにコーチに玉を拾わせる、というのがもう1つの理由です。先生と生徒の上下感覚に慣れてしまった日本人には考えられないことかも知れませんが、これもプロ意識が徹底したアメリカならではの割り切りといえます。

（文：中島 尚彦）