日本シティジャーナルロゴ

求む、大和魂を復興させるリーダーを!!
日本の再生に命をかけて働くリーダーはいずこに!

日本の再生に命を賭けて働くリーダーはいずこに!

1980年代の前半、バブル期の日本は世界の経済大国としてNo.1の地位を独占していました。国内の企業はこぞって海外に進出し、大掛かりな不動産や外国企業の買収を行い、金融機関も金余りを背景に大胆な巨額融資を実行していました。当時、アメリカトップのビジネススクールではバーバードもウォートンスクールも皆一様に日本企業のビジネススタイルを鏡のように教え、どうしたらジャパニーズ・ビジネスを真似することが出来るかという議論に熱中していました。そして海外では当たり前のトップダウン的リーダーシップよりも、むしろ多少時間が余計にかかってもボトムアップの意思疎通を中心とした日本のスタイルこそ国際ビジネスで成功する秘訣であると思われたのです。それがどうでしょう。バブルが一旦はじけるとあっという間に国際世論は180度転換し、日本的ビジネスの欠点に非難の矢が向けられ、時間のロスが際立つ非効率さや、勇断に乏しいリスク回避型のリーダーシップ、及び馴れ合いの体質に甘んじた構造的弱さが指摘されるようになりました。

ここで注目したいことはリーダーのあるべき姿が時代によって変貌するということです。80年代においては確かに日本企業のリーダーシップは時代にフィットしており、正に無敵でした。バブル崩壊後日本が大きな落とし穴に陥った一番大きな原因はグローバル金融に対する無知と経験不足、そしてマスメディアに踊らされているとも知らず畝ぼれてしまった高慢が原因です。しかしそれは環境の変化に即座に対応できなかった日本的リーダーシップの欠点であったとも言えます。日本国債のランクも下がる一方の昨今、世界の頂点から奈落の底に落とされた感のある日本経済を立ち直らせて蘇るためには何はともあれポストバブル期の新世代に相応しい強烈なリーダーシップが必要です。ブロードバンド時代を迎えた昨今、世界がリアルタイムで手にとるように一瞬にしてわかるようになった今こそ、日本は世界に通用する逞しいリーダーを欲しているのです。

国際都市におけるリーダーの資質とは

まずリーダーには豊富な知識が求められます。著名なオーケストラの指揮者に小沢征爾氏がいます。指揮者は各楽器専任の演奏者ほどではなくとも殆どの楽器を弾きこなすだけのプロレベルの知識を持っています。だからこそ壇上からタクトをもって全ての音を細かく聞き分けながら指揮することができるのです。その的確な判断と音のセンス、演奏者をリードするダイナミックなキャラクターをもって、小沢征爾は世界の舞台で第一人者となることができました。

同様に国際都市のリーダーに要求されるのは、単なる肩書きだけでなく幅広い知識です。グローバル社会の中で成田を国際都市として健全に管理するためには、一般庶民が住みやすい街づくりを実現しながら、税収入を支える優良企業を積極的に誘致できるような環境を提供して、市の財務体質を改善していくことが不可欠です。そして在来の農家と地権者の意向も大切にしながらもグローバル社会で生き残るための力を蓄積するために、リーダーが上手に行政を舵取りしていく必要があります。世界のトレンドを見据えるだけの洞察力と知識、経験がリーダーの資質なのです。

またリーダーには素早い判断力が必要です。嵐にのまれた旅客船の船長はあらゆるデータを適時に取得しながら、緊急事態に対して即決即行で乗組員に指示して旅客の生命を守ります。突然暗礁に乗り上げ浸水した時に悠長にスタッフと協議している余地はありません。ただ即断あるのみです。この判断力と勇気が今日のリーダーには必要です。何故ならグローバル社会においては手ごわい海外勢を常時相手にせねばならず、一時の遅れが致命傷となりかねないからです。

更にリーダーには民衆と一つ心となるような側面も必要でしょう。今は亡きマザーテレサは偉大な霊的指導者でした。世界で最も貧しく弱者の立場にある人々の中に自ら進んで居住し、全ての人々をこよなく愛することに徹したのです。例え金や地位、名誉は無くても、民衆と一つ心となることによって、偉大なリーダーとして世界中の人々を驚嘆させました。それはマザーテレサが他を自分と同じように愛するという万国共通の教えに徹していたからに他なりません。

そしてリーダーには強いカリスマ性が必要です。いくら能力があったとしても退屈なリーダーには民衆がついてきません。つい先日の長野県知事の選挙においては辞任に追い込まれた田中知事が再度圧勝するという結末に至りました。田中知事がビール箱をひっくり返した講壇に立って「田中でございます」と言うだけで人々が集まり、彼のトークに耳を傾けました。ところが対立候補は大衆を魅了するキャラクターに欠けており、それが最大の敗因となったようです。今日でも故田中角栄元首相のような強烈なカリスマ性で民衆を牽引するリーダーが登場したら、庶民は一発で虜になってしまいますね。このように人々の心を魅了するようなキャラクター、カリスマ性も大変重要な要素です。

行政の構造改革や危機管理体制の見直し、及び社会インフラの構築等、これら緊急課題の早期実現は良き強いリーダーの手腕にかかっていると言っても過言ではありません。そこで成田市が抱えている問題の実例をあげてリーダーの役割について考えてみましょう。

市民エゴとのバランスリーダーの決断は?

2002年4月、成田空港に短いながらも第2滑走路がオープンし、胸をなでおろした方も多いかと思います。それもそのはず、一般常識では考えられないことに長年滑走路の中に畑が残されており、海外でも物笑いの種となっていたのです。元々日本は世界で最も市民エゴが顕著な国であるといわれており、市民の「権利」に固執するあまり公共の利益を著しく損なうことが多々あります。第2滑走路問題が長期化したこともこの市民エゴに一部起因しており、その結果企業コストの膨大な損失を始めとして、国の経済に様々な悪影響を与えてしまいました。

つい先日まで成田―中国間はどの路線も便数が不足していました。その為予約が簡単に取れないだけでなく、例えば上海に行くのにディスカウント航空券でも往復10万円はかかっていました。ロスアンジェルスに3-5万円で行ける時代であることを考えるとかなり割高ですが、航空業界にとって中国路線は値下げをする必要のないドル箱路線となっていたのです。そして満席になると判れば、航空会社はビジネスクラスでさえもシートピッチを広げず、客席数を確保することに固執したのです。あまりに狭い座席に対して不満を持っていた旅行客も少なくなかったようです。

また今までは日本から光州への直行便が殆ど無かったために、渡航者はまず香港に飛行機で行き、そこから地下鉄やバスを使って香港と中国のダブル・ボーダーを通って深州にわたり、更にバスで揺られながら、片道3時間以上無駄な時間を費やしていたのです。これもひとえに成田に第2滑走路が無かったために生じた損失です。成田第2滑走路の完成により発着便数が従前の3倍近く増えた中国路線では各都市に直行便が増えただけでなく、早速運賃の引き下げが始まりました。その結果、中国が企業や一般庶民にとってより身近な存在となってきたのです。これから先、暫くの間は中国が台頭する時代です。だからこそ、中国の隣国である地の利を活かして日本はより素早く日本と中国間を自由に行き来し、海外勢との競争に負けないように中国とタイアップすべきです。

第2滑走路の問題は、当初から、これらの諸事情を見越した上で、市民エゴの舵取りを行い、問題の早期解決を実現する為の断固たるリーダーシップが必要だったのです。市民の権利を守ることは当たり前ですが、空港の建設及び拡張が短期間に実現できないとなると、企業を始め一般庶民に多大な迷惑がかかります。既に離着陸料金の高騰のため成田空港は多くの航空会社から敬遠されており、その上、米国系のメジャーな航空会社のハブ機能を失ったらその経済的マイナス面は図り知ることができません。成田市の現状を考えれば今や空港関連の問題は最重要課題の一つです。また空港の存在があってこそ地権者は今まで棚から牡丹餅的な恩恵を受けてきたわけですから、Give&Takeという側面からも協力を惜しまず開かれた心を持って頂きたいものです。一見難しい課題ではありますが、知恵を絞って乗り切る力量がリーダーにあれば、成田は国際都市として発展する力を持っているのです。

熾烈な海外勢との国際競争に負けた日本企業の行く末は経済の荒廃であり、生活水準の下落です。そのような事態を回避し、むしろ国が栄え、成田が潤うことを自分の喜びとするべく民と共に歩み、導くのがリーダーの役目です。リーダーとは民の代表であり、指導者です。弱者を守ることもリーダーの仕事の一つ。国益を守ることもリーダーの役割です。実に難しいこのバランスを舵とりながら、将来を見据えて立ち向かうリーダー。正にそのような強いリーダーを日本は、成田は、欲しています。

(文・中島尚彦)

© 日本シティジャーナル編集部