日本の改革は国際都市、成田から始まる!
国際都市化を阻む成田の6悪
いつの時代も改革の旗は思いがけぬ地方から上がるものです。過去の歴史を振り返ってみても、斬新な文化革命、大胆な政策転換の実践、そして日本の歴史を揺るがすような精神的リバイバルの拠点は東京や大阪のような大都会ではなく、むしろ地方から始まることが多かったのです。だからこそ、成田から改革の烽火が上がっても何ら不思議はありません。
国際都市として生まれ変わろうとしている成田は潜在的に素晴らしい力を持っています。日本の玄関として成田空港があるだけでなく、魂の故郷として成田山新勝寺があり、野山と水源、公園等の自然に恵まれた環境を維持しながら、都会的な側面も兼ね備えていると言う理想に近い形で、都市と農村地区のバランスを保っています。大型商業物件も複数存在し、昨今の国内における不景気にも関わらず成田市の小売業年間販売額伸び率は全国の市町村においてトップ15に入っています。また首都圏や千葉市街にも1時間以内で行き来することができるだけでなく、銚子や九十九里の海辺へもすぐに行くことのできる、いわば千葉県の中心地と言えるのです。それ故、成田は国際都市に不可欠な潜在力、すなわち快適性と経済力、及び成長性を満たすキャラクターを兼ね備えた大変優秀な街と言えるのです。
しかしふと現実を振り返ってみると問題は山積みのままで言葉とアイデアだけが空回りすると言うジレンマに陥っているようにも思えます。そしていつしか無関心や悲観論がごく当たり前のようにはびこってしまい、「誰かがやってくれるだろう」、「自分だけ楽できればいい」という自己中心的な風潮に市民が飲み込まれてしまった感が否めません。このままでは我らの理想郷、国際都市成田が台無しになってしまいます!
国際都市化を阻む成田の6悪
いざ国際都市成田という看板を掲げていても、実態が伴わなければ無意味です。実際問題として、成田の現実は大変厳しいものです。社会インフラが整備されていないため、住居やビジネス、すなわち庶民の生活に関わる周辺環境の近代化が遅れているのです。道路網の整備は長期的展望が著しく欠け、市の発展性に限界を感じないではいられません。成田市の下水道普及率は東京都の100%と比較しても格段に低い80.5%となっており、光ファイバー等の最先端情報通信回線の普及も遅れをとったままになっています。教育システムの崩壊やモラルの低下も最近の報道で取りざたされているようにクリアーしなければならないハードルの1つです。そこで成田において国際都市化を妨げるポイントを以下の6項目にまとめてみました。
1.国際都市化の遅延に対する危機感の欠乏
真の国際都市になるため必死になって努力しなければ将来が無い、という危機感が乏しいのは成田だけでなく、むしろ日本の都市全体に共通する問題と言えます。早急に美と力を兼ね備えた国際都市になりきらなければ成田がじきに破綻することは目に見えており、そうなれば市民全体に深刻な悪影響を及ぼすことになります。現状維持のまま平凡な暮らしをしたい、という地元住民の声も根強いようですが、そのような「自分だけ満足できれば…」という考えを皆が貫いてしまっては都市計画が形骸化してしまいます。国際空港も存在し、多数の外国人の方々が日々成田を訪れている訳ですから、国際都市化は成田の存続をかけて何が何でも実現しなければならないのです。特に公務員の方々はこの不況の最中、民間企業が死に物狂いで熾烈なサバイバル競争を繰り広げているのを尻目にのんびりしすぎてはないでしょうか?成田市が経済危機を迎え、実践すべき課題が山積みになっているのですから、緊張感を持って必死に職務に取り組むのは当然です。
2.下水道普及率の低迷と汚水の垂れ流し
全国でも有数の汚染された水源として印旛沼は今でも毎年全国のトップ10にランキングされています。それだけでなく、市内の沼や池の多くが汚水ピットのようになっていることは周知の事実です。その一番大きな原因は家屋から汚水がダイレクトに垂れ流されていることにあります。単に下水道の普及率が低いだけでなく、浄化槽さえも設置されていないためにそのまま周辺の水源に垂れ流しをしている家屋が多いということは成田の恥と認識するべきです。
3.犯罪の増加と消極的な警察当局の在り方
残念なことにここ最近、成田地域でも犯罪が増加しています。車の盗難や窃盗事件等はよく耳にすることですが、とにかく市内をパトロールしている警官やパトカーを殆ど見かけることがありません。せっかく街並みを美しくしても安全に居住できなければ人はまた去っていきます。犯罪の取締りを今から徹底して実践しなければ、国際化の道を歩もうとする成田が単なる犯罪者の巣と化してしまうのです。
4.財政破綻を招きかねない行政の肥大化
世界的なトレンドである「小さな政府」の流れに沿って成田市でも行政レベルでしか実践できない特殊な公共事業のみにプロジェクトを特化するべきです。しかるに福祉のプロジェクトだ、子育ての援助だ、という大義名分で民間企業ならもっと効率良く運営できる事業を大掛かりに市が運営して時代に逆行しているのが現状です。今のご時世、行政の仕事で一番大事なことは余分な脂肪を全部カットしてスリムになり、その上で必須の公共事業をより効率良く、スピーディーに執り行い、行政の一般実務処理においても最大限の能率化を実現することです。これらを日々実践していかなければいつしか財政破綻を招き、国際都市化の計画は崩壊していきます。これは公務員の総数を削減し、歳入に見合ったシビアな予算編成を常に目指すことも意味します。
5.目障りな電柱と下品な立看板の氾濫
一体全体行政は何を考えているのだろうかと疑ってしまうくらい、下品な立看板が成田市の至るところに立てかけてあります。条例を改正して合法的にすぐに撤去するのが当たり前なのですが、何故かしら堂々と放置されたままになっています。またそれに一役買っている電柱も本来不要なものです。電柱の地中化無くしては、成田の国際都市化は考えられません。成田の美観を損なう電柱と立看板が氾濫して良いのでしょうか?
6.性モラルの低下と風俗の氾濫
例え市役所前の日吉台が富里市の1部であったとしても、現実問題として市の目抜き通りが風俗業のネオンサインで輝き、新宿歌舞伎町のように役所が赤線地帯に隣接する形で存在すれば、成田のイメージも落ちてしまいます。合法的に営業許可を出すならば、きちんとゾーニングをしてアダルトショップが許される地域を指定するべきです。また成人向け店舗は決して民家や学校近辺にあってはいけないという認識を持つ必要があります。例えば学校施設より半径500m圏内にはパチンコや娯楽施設の設置を一切禁止する、というような条例は海外では当たり前のことです。また一般の本屋ならどこにでも成人向けの本が子供の目に付くところに置いてある事自体、異常事態です。きちんとガイドラインを定めて最低限自主規制を促すべきです。
魅力ある国際都市成田のあるべき姿
成田の未来像とはどのようなものでしょうか?国際都市としてあるべき成田の姿には最低限3つの条件が伴います。まずしっかりとした経済力を持つことです。財務体質が脆弱になればおのずから計画倒れとなり、何を語っても単なるたわごとで終わってしまいます。この経済力を蓄積するために市街地区においてはあらゆるソフト、ハード面を駆使してグローバルなビジネス社会のニーズを満たす環境を提供し、豊かな情報をベースに複数の地元企業に活躍してもらうことが大事です。そのために優れた社会インフラの構築をいかに早く、いかに安いコストで実現するかが大きな課題となります。
次に当然のことながら働く庶民のライフスタイルが大幅に改善され、外国人も含めてより快適に生活できる空間を提供する必要があります。これは単なる住居のアップグレードだけでなく、公園や運動場等、余暇を十分に楽しめる施設も含めて豊富に提供されていることを意味しています。
最後に自然環境の保護が重要です。国際都市といっても、自然環境に恵まれてこそ初めて調和がとれます。その自然を大切に保護し、市民が上手にエンジョイするのが国際都市のあるべき姿です。
数年前より海外諸国の急速な国際社会化に負けじと、日本も国家レベルにおいて国際都市化へのビジョンを政策の一環として明確に打ち出し、東京や大阪等の大都市を中心とした大掛かりな再生計画が始まりました。そのため内閣官房には都市再生本部が設置され、総理大臣を本部長とした舵取りが始まり、上海や香港に負けない国際都市造りが語られ始めました。
しかし情報革命が起こり、産業革命以来ともいえる歴史的なブロードバンド情報革命によってグローバル化が急速に進んだ昨今、東京や大阪など物理的ロケーションという利便性をベースに構築された都市再生プランの根本的なパラダイムが何時の間にか揺らいできてしまったのです。すなわち魅力ある国際都市が大都市でなければならない理由が無くなってきたのです。その上、既存の大型都市においては今日でも物的空間の改善、広々とした居住空間の提供、空港を含む交通網へのアクセスの改善、学校や病院、運動施設などの生活環境のグレードアップなど、実現が難しいプロジェクトが山積みです。これらはむしろ地方都市の方がより早く、改善できる可能性を持っています。そしてブロードバンド革命の結果として地域的バリヤーがなくなりつつある今、成田のような地方都市でも今や、企業社会がこぞって「是非、事業展開のベースを成田におきたい」と提言し、市民が「成田が一番住みごこちが良い」と語るような街づくりを実現することができるのです。
情熱をもって成田の将来を熱く語ろう!
改革の起点は理想、ビジョン、夢であり、それを成し遂げるために最も大事なことは情熱を持つ事です。夢だけ語っても心の底から沸き出る熱い情熱がなければ単なる妄想に終わります。成田が国際都市として飛躍する為にはもっと多くの市民が将来の「未来図」を心の中に描き、それを何とか実現したい、と強く願望しなければなりません。またみんなが「このままでは大変なことになる!」という危機意識を共に持ち合わせることも大事です。その結果、家族や身内という壁を越えて、周囲と協力して街造りに励むという積極的な姿勢に変ってくるものです。すなわち、成田の国際都市化を自分と自分の家族、孫、ひ孫の夢として認識し、その夢を庶民と共有することが大事なのです。
国際都市として発展するためには単にビジョンを掲げるだけでなく、その夢を実現する為にエネルギー、力、人間の労力を注ぐことを必要とします。すなわち人間が自らの手で働き、努力しなければならないのです。そして行政と企業がタイアップして様々なプロジェクトに取り組んでいくのです。
成田は生みの苦しみを経て始めて国際都市として歩み始めることができます。国際都市は行政が創生するものではありません。あくまで、市民一人一人の情熱、思い、夢によってアイデアが息吹き、市民の自らの努力によって形成されていくものです。この際皆で思い切って確信をもちましょう。「成田は凄い国際都市になる」、「成田から日本の改革が始まる!」と。
その情熱が改革の原点となるでしょう。
(文・中島尚彦)