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第38回 自分の健康は自分で守る

日本画の巨匠、横山大観は大の愛飲家として世に知られています。一日に約一升(1.8リットル)を痛飲していたと私の師、大塚敬節先生から聞いています。先生の漢方処方を服用していた折、直接画伯から話されたということです。愛飲家や経産婦には痔疾に悩まされている人が少なくありません。大観先生も、その一人。

あるとき、京都に赴いた際、灸の名士、沢田健氏を伴って出かけられたということです。

痔疾は肛門部の静脈がうっ血し、結節状の静脈が多く見られる(いぼ痔)、ほかに痔(あな痔)など、さらには肛門裂傷等の区別があります。

こうした疾患に灸治療が大変有効なことは、治療家にかかわらず、「知る人ぞ知る」です。

鍼灸、つまり“はり・きゅう治療”のうちでも、このは、灸治の方が鍼よりも優れているのです。

鍼灸治療の特徴の一つに、患部(局所)から離れたところのツボを用いて、効果を表すことが多々あります。肛門は消化器官の最も下に位置します。百会(ひゃくえ)というツボは頭頂部に位置します。ツボの名称の由来は、すべてのエネルギーがここに集まるということです。具体的に百会のツボの位置を示すとすれば、前後正中線と側正中線の交点から、やや後方ということになります。

もう一つのツボを紹介しましょう。ツボの名称は「孔最(こうさい)」です。

手のひらを胸の方に向けて、曲げたとき肘の親指側のしわ(皺)の端を基点にして、この点から、親指の中だけ内側で、ここから示指・中指・薬指を並べてはかった指先の方角。この二点、百会、孔最に直接に灸をすえます。近年は灸のやけどのが残り、美容上嫌う若い人が増えています。それなら無痕灸の灸もあります。薬局で相談してみて下さい。直接灸の方が有効なことは言うまでもありません。直接灸、米粒大7個。無痕灸もこれに準じます。

ツボ 孔最(こうさい)

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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