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第43回 自分の健康は自分で守る

新緑の美しい季節がやって来ました。散歩を楽しむ道のほとりに草々、また見上げれば、けやき、えのき、くす、こぶしの梢の若芽。生き生きとした、春を謳歌しているように映ります。

私は職業柄、こうした植物を見るにつけ、この植物は×××の病氣、症状に効く薬剤に使われる、などと考えながら歩く習慣がついています。

さくらや朴(ほお)の樹皮は漢方薬に用いられるし、おおばこ(車前草)、あけび(木通)、染井吉野桜の咲く頃、同時に黄色い花をつける連翹(れんぎょう)も漢方薬として使われるし、日本の民衆が育んだ医療(民間)薬としても有名です。

上に記しましたのは予告編で次の号あたりから紹介したいと思っています。

今月は身近にある香辛料の中の七色(七味)唐辛子について書いてみることにいたしましょう。

赤唐辛子(アカトウガラシ)の粉末に、山椒(サンショウ)、胡麻(ごま)、陳皮(チンピ)、麻(あさ)の実、芥子(ケシ)、菜種、青海苔などを調えた 、日本の食卓によく見られる香辛料であることは、いまさら言うまでもないことです。

山椒は別名蜀椒(ショクショウ)ともいい、日本、中国、朝鮮半島に自生し、また栽培もされるミカン(蜜柑)科の植物です。果皮を乾燥し、粉末にしたもの。辛味を帯び、舌を軽く麻痺させます。健胃・整腸剤として、食欲不振、胃腸の痛み、回虫駆除の効能があります。

唐辛子はナス科。熱帯アメリカの原産と伝えられます。慶長年間に我国に渡来。辛味種と甘味種があります。ここでは辛味種について述べましょう。辛味成分の主なものはカプサイシン。興奮、駆風、健胃薬として消化不良、胃炎、疝痛(センツウ、はげしい発作性の腹痛、腹部内臓の諸疾患に伴う症状で、多くは胆石・腎石症発作にみられます)。また、この唐辛子からトウガラシチンキを作り、リウマチ、神経痛、腰痛、膝痛、しもやけの局所に塗布(トフ)治療します。

カラシチンキは局所の血管を拡張させ血流を促します。

陳皮はミカン(温州蜜柑)の成熟した果皮を乾燥したもので、芳香性に富み、苦味の強いものが良性と伝えられています。芳香性健胃、鎮咳、去痰、鎮嘔、感冒、吃逆(キツギャク、しゃっくり)の効があります。漢方処方としては、平胃散(ヘイイサン)、香蘇散(コウソサン)、二陳湯(ニチントウ)、参蘇飲(サンソイン)、釣藤散(チョウトウサン)、補中益氣湯(ホチュウエツキトウ)などに調合されます。処方名の下につく、湯は煎薬として、散は粉末にして服用することを原則とします。 次号へ続けます。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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