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第47回 自分の健康は自分で守る

〝ドクダミ〟という言葉を聞いたら「あっ、あの雑草か」と脳裏を過(よぎ)る人は多いだろう。そう、あの独特の匂いがする、というより臭いと表現した方が適切かもしれない、あの植物です。漢名では魚腥草と書き、魚の生臭い臭いがする、と譬(たと)えて命名されたとか。

湿氣を好み、風通しのよい日陰に特に繁茂します。決して日当りの良い所に生えないわけではないですが、葉が赤茶けて、やがて枯れかかるようになります。

家の周辺や路傍、畑によく見かけます。前号に記したカラスビシャクと同様、大変繁殖力が旺盛です。それ故に畑に生えたこの草は、農家の方々には厄介なものといえましょう。

しかし、この草本も、また重要な薬剤に用いられます。民間薬療法(日本に生まれた薬草の利用法)では、化膿性の腫れものに。また利尿、便通、高血圧の予防に用いられます。

化膿性の腫れものには、採取した葉を水洗いし、湿らせた新聞紙に包んで火に炙(あぶ)り、やわらかくなったのを確かめて、腫れものの上に当て、絆創膏で止めておくと、う・み・を吸い出し、腫れが引く。利尿、便通、高血圧予防には、六月頃白い花が咲き、この頃合に採取した全草( 花・茎・葉・根)を水洗いして陰乾ししたものを、一回20g前後を煎じて飲む。高血圧の予防には、ドクダミに含まれている、クエルチトリン、イソクエルチドリンが作用するといわれています。このドクダミのもう一つの別名は十薬といい、多くの薬効があるからとか。

相前後しますが、もしこのドクダミの草取りをしたとしても、根が柔らかく、地上部分で切れて根が深く残ってしまいますので、しばらくすると、また強情にもすぐに芽を出し、〝あっ!!〟という間に元の草むらに戻ってしまうのです。

近頃は健康志向で、健康茶なるものが巷に流れています。

魚腥草などと、嫌われているこの草本も乾してしまうと芳ばしい香りに変化することは、何とも不可思議なことです。

書き残しましたが、民間療法の優れもののドクダミは、副鼻腔炎(蓄膿症)に生葉をもんで、これを鼻の穴にねじ込んでいると、膿が良く出るということで、故郷(茨城)でも、子供の頃見かけました。今日では見掛(みか)けが悪いので、実践している人はいないようですが、夜寝るとき今日、明日と左右交互にすることは可能でしょう。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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