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第64回 自分の健康は自分で守る
不眠症は心と体の病

眠ることは、人間の生理上、大変重要な条件の一つです。昼間の生活の疲労を(いや)すために、自然が与えてくれた摂理と言えましょう。就眠の目的で床に臥して間もなく、眠りに入ることができる人は幸いです。しかし最近、寝付きの悪い人や、深く眠ることのできない人が、特に増えています。不眠が続くと集中力や判断力、記憶力が鈍くなったりします。

不眠症は、さまざまな心や身体の病気が原因であることが分かっています。

不眠症を伴う体の疾患としては、高血圧症、脳血管障害(動脈硬化症、脳軟化症)、胃炎、肺結核といった慢性疾患。それに肺気腫(ハイキシュ)(肺の空気の容量が持続して増加し、肺が膨張したまま縮まりにくくなる症状)、気管支炎、胃・十二指腸潰瘍(カイヨウ)、神経痛(肋間、坐骨、三叉)、外相(諸々の骨折、創傷(ソウショウ)[切り傷])があります。心因性としては、病気への不安、ストレス、生活環境の急変など、枚挙(マイキョ)(いとま)がありません。

私はかつて、仲間を(つの)り精神・神経科専門の病棟で週に二日、ボランティアを行っていました。私達のプロジェクトチームは、家庭の主婦、看護師、マッサージ師、鍼灸(シンキュウ)師など多彩な人達で構成されていました。私達は、決して「○○をしてやろう」などという思いではなく、学ばせて頂くという思いで集まっておりました。

病棟は、北アルプスの山脈(やまなみ)を望む安曇野に()り、近くには高瀬川が流れている、風光明媚な場所に建っていました。

さて、初日にその病棟を訪ねてみて一番ビックリしたことは、入院患者さんの目です。輝きを失い、言葉は不明瞭で声にも力がなく、患者さん達の口からもれる言葉には一片の希望も感じられませんでした。

ここの患者さんの多くが、「眠れない」、「眠りたい」という言葉を連発していました。そこで私達がまず始めたのは、患者さん一人一人から丁寧に悩みをお聞きすることでした。

その成果については次号に譲ることにいたしましょう。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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