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第78回 自分の健康は自分で守る
身近なところに薬草がある

冬の寒い野辺、路傍にも、どっこい繁茂している草があります。タンポポ、ハコベなどが挙げられましょう。多少は日陰でも見かけることがあります。

カキドオシも、また同じ環境で息づいています。この草はつる性で地面を()うようにして繁殖する特性があり、垣根を越えて、ということから命名されたといいます。春になると、さらに新芽を()き、ほどなく紫色の淡い小花をつけます。

筆者は鳥や植物の観察、観賞が大好きですが、中でも野草にすこぶる関心をもっています。

さて、このカキドオシは北海道から九州まで生息域を伸ばしています。この草を春の開花時期に根ぎわから全草を刈り取り、これを水洗いして陰乾しにし、よく乾燥させてから密閉容器に入れて保存します。いうまでもなく、日光に当たらない暗所に保管します。日光に当たると、その中の紫外線によって成分を変化させてしまうからです。これが薬草として利用されていることは、意外と知られていません。

少々専門的になりますが、カキドオシは精油を含んでいます。シソ科の植物は香りが好いことで知られています。この生の葉を刻むとハッカの匂いがします。もちろんハッカもシソ科です。シソ科には薬剤として用いられるものが沢山ありますが、このことについては次にゆずることといたしましょう。

カキドオシは漢名で連銭草(レンセンソウ)といわれています。円い葉を(ぜに)になぞらえて、この葉が茎に連なっているところから、この名を得たということです。

漢方薬の多くは、利尿剤として用いられています。アカネ、アケビ(木通)、ナツメ(大棗(タイソウ))、ドクダミなど枚挙にいとまがありません。

カキオドシは民間薬としても漢方薬としても、処方されます。民間薬は主に単味で用いられることが常ですが、糖尿病には、これにタラの根の皮、一日15~20gを加え、水600ccで2/3に煎じつめ、煎じ汁をこして、これを一日3~4回服用します。

先に述べた精油の他にタンニン、バルミチン酸、アミノ酸などを含み、鎮咳、消炎、解毒の薬効が認められています。

いずれにしろ、野辺や原っぱに生えている野草の中には毒草もありますが、注意してみると有用なものが少なくありません。野草、薬草に関する本が数えきれないほど書店、(ほん)屋さんに並んでいます。身近に生えている草々を利用するようお勧めします。

しかし、やみくもに用いることも時として、危険を伴うことがあります。予備知識も重要です。薬草研究会や薬草研究家は今、大勢います。そうした方々の指導を受けることを切望いたします。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
  • お問合せ:03-3359-6693

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