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第80回 自分の健康は自分で守る
ドクダミとは毒を矯めること

今年、すなわち2011年(平成23年)の3月11日、世界の歴史上の記録に残るであろう、東日本大震災が発生しました。私の故郷、茨城県北部でも、瓦屋根の損壊や、道路やJR(水郡線)の不通箇所が方々にみられました。なかでも墓石の崩壊はいかがなものかと先祖の墓所を訪ねました。筆舌に尽くし難い有様、石碑と墓石がガッチンコして粉砕と表現したい程でした。

その道々には、民間薬としても漢方薬としても有用な“ドクダミ”がかすかな風に揺れていました。この草は世間一般では雑草扱いにされています。日本のいたるところに見られる多年草です。根茎が地中を横にはりめぐり、それこそ繁殖が極めて旺盛です。草取りをして、この草を引き抜いても、根を残せば、すぐにまた生えてくるという厄介なものです。しかも、生草は特異な臭氣を放つため、多くの人々には歓迎されません。しかし乍ら薬草としては、古来、医薬専門家を中心に高く、その価値を認められています。丁度この稿が載るころ、白い可愛い十字形の花を見ることが出来るでしょう。

以前に鎌倉を訪れた折、八幡宮の裏通りの小さな店で、ドクダミの花を一輪、入口の窓にしつらえてあるのに、実にいい趣きと覚えました。

ドクダミの名は、(毒矯(どくだ)め)に由来すると言われます。矯めるとは、曲ったものを押し曲げて正しい形になおすという意味です。ここでは毒を払い除ける、ということです。分かり易く言えば毒消しの効能があるということですね。この若葉を摘んで天ぷらにして食べる地方があるとか。

ドクダミ茶、という健康茶が最近流行しています。梅雨頃、花を付けるころに、根ごと採集して、水洗いし、日当りがよく、風通しもよい所で乾燥し、その後、密閉できるビンか袋に入れて、直接日光を避け、できれば暗いところに保管し、必要に応じて取り出して用いましょう。

ドクダミの別名は、十薬(ジュウヤク)とも言われます。十ほどの、つまり多くの効果を発揮するということです。また、漢方薬名では“魚腥草(ギョセイソウ)”と名付けられています。魚のようになまぐさい(・・・・・)ような草だというのです。ところが先に述べましたように、乾燥したドクダミはむしろ、好い香りになります。不思議なものですね。

はて、さて、やけどや腫れもの、かぶれ、皮膚のただれには生の葉を火にあぶって患部にはる。言うまでもないですが、ガーゼなどでズレないように固定しましょう。また、急性胃炎、妊娠中の浮腫(むくみ)には一日量10~20g、水300ccで20~30分かけて半量に煎じ、粕をこし、これを1日3回に分けて服用します。便秘の効もあり、動脈硬化の予防にもよいと言われます。当たり前の事ですが、動脈硬化になると言われる生活習慣を改善しなければ勿論効果は薄くなります。この連載も“自分の健康は自分で守る”ことが最も重要ということで表題を設けさせて戴いています。

(一本堂横山鍼灸療院長 横山瑞生)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)

横山 瑞生(よこやま ずいしょう)
  • 1939年、茨城県常陸大宮市生まれ。

大塚敦節氏に漢方を、小川晴通氏に鍼灸を師事し、東京医療専門学校卒業後半年で母校の講師となる。中国医学研究会設立に参画、日中医療普及協会会長、東京都日中友好協会常任理事等、日中の友好関係へ尽力。

現在、一本堂横山鍼灸療院院長、東京医科大学にてホリスティック医学を講義中。「カラー版鍼灸解剖図」「アレルギーはツボで治る」など著書多数。

  • 診療所:東京都新宿区本塩町10 四谷エースビル101
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