ブックタイトル日本シティジャーナル vol.175

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日本シティジャーナル vol.175

2016年(平成28年)9月27日発行第175刊毎月第3土曜日発行購読無料日本シティジャーナルvol. 175Nihon City Journal発行:ネットハウス〒286-0825千葉県成田市新泉14-3TEL 0476-89-2333 FAX 0476-89-2334[平日]10:00? 19:00[土曜]12:00? 17:00http://www.nihoncity.com成田市、佐倉市、印西市、富里市、香取市、山武市、船橋市千葉市(花見川区、美浜区)、習志野市、八千代市、四街道市酒々井町、栄町、小林、安食、多古町、横芝光町、芝山町、神崎町発行部数:500,000部米国全寮制高校の最新事情子供たちの心と体を育てる教育環境の在り方を問う小豆島にて思う若者教育の理想と現実2016年8月、一度は訪れてみたいと思っていた小豆島を訪ねるチャンスに恵まれました。小豆島と言えば、春の選抜高校野球大会において、を、都会に住む子供達が体験NCJ109日本とユダヤのすることはできないものだろハーモニーから続くうかと考える、今日この頃です。会の雑踏から逃れて、ほっと東アジア史を塗り替えたイスラエル民族大移動の潮流21世紀枠出場校として名乗りを上げた小豆島高校(香川)と釜石高校(岩手)との対戦が思い起こされます。瀬戸内海に浮かぶ人口3万人弱の小豆島にある高校には今日も3 0 0人近くの生徒が集い、多くの少年が青春時代の情熱を野球に注いで、日々練習に励んでいます。惜しくも試合には負けてしまいましたが、大観衆の声援に囲まれてプレーした若者達は、甲子園という大舞台で思う存分活躍できたことを誇らしく思っていることでしょう。彼らが生まれ育った小豆島は、瀬戸内でも淡路島に近い離島です。島内では周辺の島々と同様に少子化と過疎化が進み、野球少年が通っている小豆島高校も来年には閉校され、土庄高校と合併される予定です。それでも小豆島という海に囲まれた自然の中に佇む小豆島高校の存在は、教師と生徒の信頼関係が厚いだけに重要であり、家庭との連携もしっかりと築かれていることでも知られています。小豆島は、著名な小説である「二十四の瞳」の舞台としても有名です。壺井栄が執筆したこの作品は、悲惨な戦争の現実がもたらす様々な苦悩や困難を背景に、1人の先生と12人の子供たちが離島で成長する姿を描いたものでした。子供たちの純朴な心に呼びかけるように、人として生きることの大切さを教えながら、共に苦難を乗り越えていく姿に、多くの人が感動を覚えたことでしょう。その「二十四の瞳」の映画化を記念して、小豆島には「二十四の瞳映画村」が開設されました。実際に映画のロケが行われた田浦地区の海岸沿いにある、およそ1万平方メートルの敷地に建築されたロケ用の施設を改築し、映画村として一般に公開されたのです。そこには木造の校舎や茶屋、漁師の家などが佇み、ちょっとした自然公園のような趣があります。瀬戸内海を見渡せることから、誰でも都したひと時を過ごすことができるのではないでしょうか。そのような「時間が止まる」空間が、今日の小豆島には残されています。二十四の瞳村の「せんせあそぼ」像現代社会に生きる多くの子供たちの心が病んでいることは周知の事実です。全国各地で連日のように事件が勃発し、子供が親族を殺害するような事件はもはや珍しいことではなく、友人関係においても殺傷事件が相次いでいます。のどかで素朴な昔の日本社会の様相は失われつつあり、今や孤独と愛に飢えた多くの若者は現実逃避に走っているようにも見えます。そして自らの理想と現実のかい離を苦にするあまり、時には怒りを抑えることもできず、精神的なダメージを背負いながら歩んでいるように思えてなりません。小豆島から穏やかな海を眺める時、ふと、食べるものにさえ困窮していた昔の方が幸せではなかったか、という思いが脳裏をかすめます。その時代に舞い戻ることは不可能ですが、それでも、時間の止まる空間が与える心の癒しこそ、今日の現代人が最も必要としていることなのかもしれません。「二十四の瞳」に描かれたような、離島という自然環境の中で培われた純朴な思いや友情を大切にする風土の中で、ゆとりある教育プログラムを提供することなど不可能なことなのでしょうか。若者が安心して学校に通い、教師との信頼関係によって結ばれた絆に支えられ、勉学に励むだけでなく、共に心や体も成長できるような学校環境アメリカ全寮制高校へのいざないもはや電気さえ無くても良いのではないか?むしろ、物質的には恵まれていなかった昔の方が人間はもっと幸せではなかったのか?そんな思いが脳裏を駆け巡る中、ふと現実に戻ると、筆者の一番下の子供が運よく、アメリカでもトップクラスの全寮制高校に合格したことから、入学手続きをするためにアメリカまで同行することになりました。全寮制の学校はアメリカでは珍しくはなく、特に東海岸の北部、ニューイングランドと呼ばれる地域に多くの中学校や高校が存在します。中には小学校5年生から全寮制のプログラムを提供している学校もあり、また、中高一貫教育をモットーにしている学校も少なくありません。全寮制とは言っても10 0%の生徒が寮最終編に入る学校は少なく、寮生活をする各地からの学生と、学校の周辺地域から通う地元学生のミックスによって構成されています。子供たちを全寮制の学校に送る利点はいくつもあります。まず、公立の学校と比較すると、一般的に学業のレベルが高いことが挙げられます。全米でもトップクラスの高校は、そのほとんどが全寮制の学校であるといっても過言ではなく、米国大統領や著名人の多くは、これら全寮制高校の出身が多いことでも知られています。二つ目の利点は、全寮制という学校社会の中に10代の若者を隔離することにより、多くの社会悪や誘惑から子供たちを守ることができるということです。今日のアメリカ社会は未だに麻薬問題が絶えず、中高生の麻薬乱用率は一向に収まる兆しがありません。子供たちを麻薬の誘惑から守るという意味においても全寮制の学校は、有効な手段と言えるでしょう。また、多くのクラスメートと共同生活を営むことにより、協-1-調性と人間関係の大切さを学びながら、友達の大切さを学ぶことができることも、魅力です。俗に言われるオタクとはかけ離れた世界が全寮制の学校には存在します。そこでは誰もがクラスメートと一緒に暮らし、共に勉強し、スポーツを楽しみながら、日々を一緒に過ごすのです。つまり、全寮制の空間ではオタクになる暇も場所もなく、共同生活を楽しむことを大事にしているのです。もう一つ、忘れてはならない利点は、子供達を学校に預けることによって、親が仕事に専念できることです。子供の教育をプロの教師が揃う学校に一任し、子育てから解放されるため、親は自分の時間を持てるようになります。こうして子供はしっかりした教育を受け、共同生活という環境下で勉学に励みながらも友達と過ごす日々を思う存分満喫し、親も自らの仕事に専念して充実した毎日を過ごすことができるわけです。正に一石二鳥とも言えるような理にかなう生活環境ではないでしょうか。ところが、何事も良いこと尽くしなどありえません。全寮制の学校にも、大きな落とし穴が潜在しています。まず、学費と寮生活の費用が予想外に高額であることが挙げられます。学費は大学と同一レベルであり、生徒一人当たり年間400万円前後が当たり前のようになっており、それに寮生活の費用を加えると、合わせて600万円ほどになってしまいます。アメリカでは奨学金制度が整っていますが、それでも全体の2~3割程度しか補うことができず、親の負担がかさみます。N M H雄大な丘陵に広がるNMHのキャンパス風景では1940年から黒人生徒向けに独自の奨学金制度も導入されていますが、それでも十分ではありません。よって借金をしてでも全寮制の高校に、という強い意志を親が持たない限り、子供達を全寮制の学校へ送ることは難しいのです。もう一つの欠点は、全寮制高校の休みがとかく長いことです。ごく一般的に夏休みは3か月。11月にはサンクスギビング(感謝祭)の休暇が1~2週間、クリスマスを含むクリスマス休暇はおよそ2週間、そして3月にはイースターの春休みが3週間ほどあります。その他、年間通してロング・ウィークエンドと呼ばれる4~5日の休みが複数回あります。つまり、1年を通しておよそ5か月間は、学校が休みなのです!サマースクールと呼ばれる夏期講習は毎年提供されますが、それも1か月程度の期間です。よって、子供たちを全寮制の学校に預けたつもりが、1年のうち、4~5か月間は学校から放り出されることになります。無論、こうして家に帰るチャンスをふんだんに設けることにより、家族との絆を保ちながら、キャンパスライフからの息抜きの場を与えているのも事実です。それでも、これら全寮制の学校には多くの生徒が集まり続けています。それだけ、学校教育の内容そのものが魅力的であり、メリットは十分にあると、親子共々考える人たちが多いのでしょう。そこで今回、筆者の子供が入学したNorthfield MountHermon(NMH)という著名校を例に、全寮制の学校について学んでみることにしま次頁に続く